捧げ物
27000打☆能瀬様へ
※現パロ連載『太陽と月の距離』番外編












──俺は霧隠才蔵。



普通に居酒屋の店員をやってる普通の独身3*歳。







…………何故、普通を強調するかって?






「ちょっと旦那!顔にご飯ついてるよ」

「どこだ?」

「あぁー!溢してる!!」

「ぬぉ!?」






世話を焼くオカンと
手のかかる息子……




どちらも20年くらいの付き合いになるが、「普通」とは離れた連中だと思う。







幸村さんは………


本当に抜けていて、大丈夫か?ってくらいに世間知らずで(これは佐助の教育のせいか?)、純情で純粋な人だ。



でも真っ直ぐな信念と強い瞳、人の上に立てる器や責任感……


あの人は、人を惹き付ける何かカリスマ性を持っていると思う。



何故か……慕ってしまうような………



まぁ、気付いたら年下なのに「さん」付けで呼んでいるしな。





そんな幸村さんのオカンの佐助………



コイツとはガキの頃から大学まで一緒で、奴が店を出すって言うから何かついつい……腐れ縁が続いてる。




このオカンも……

苦労性っていうか、面倒見がいいっていうか、誰にでもヘラヘラして、お調子者っていうか………たまに腹黒いけどな。




今は帳簿つけてるけど、真剣なツラで黙ってりゃ割りと良い男なのにな………




「………なんだ?男前で見惚れてたか?」

「っ………子連れに惚れる物好きがいるかよ」





……コイツってたまに変な勘が働くっつーか、人の心読むんだよな。




「子連れって……」

「そろそろ幸村さんから卒業したらどうだ?」

「旦那は面倒見ないとダメだよ〜」

「そんなんじゃ幸村さんもお前も嫁貰えねぇだろ?」

「旦那は時期がきたら離れていくし、俺は別にいらないよ」

「……男盛りの30代が悲しいな」

「……お前はどうなんだよ?」





………あぁ……




俺もか。




ついつい苦笑いしてしまうと佐助も釣られて笑った。



「まぁ、俺はこのままで十分だな………」

「俺も才蔵がパートナーでいれば十分だよ」







……パートナー……?




「お前っ………それって」



コイツの言葉に唖然とした。






「さ、早く片付けて帰るよ〜」

「………」




ただの腐れ縁同士、人生を共に過ごす………


悪くはないが、それでいいのか……?






「……おい、ボーッとしてんなよ?」




頬をペシペシと叩かれて、佐助が前に立っているのに気付いた。




背は高いし、収入もそこそこあって、ツラはまぁいい。


モテる野郎なのに、女日照りはもったいないんじゃねぇのかな………




「何だ?キスして欲しいのか?」

「は?………中年オヤジが気色悪いんだよ!」

「あぁ!?テメーもオヤジじゃねぇか!このヤロー!キスしてやる!」

「おい!やめろよ!」

「ムカついた!」

「や……めろっ……て言ってんだろ!!」

「ぎゃ………ッ」




何を狂うか、迫ってきた佐助を鉄拳で撃退した。




「うぅ………一応客商売なのに、普通顔殴るかなぁ……」

「お前が悪いんだろうがっ」

「冗談の1つも通じなくて………さてはお前、本気なのか?」

「て……めぇ………ブッ殺す!!」







仲が良いわけでも悪いわけでもなく、昔からこんな調子だ。



まぁ俺達の関係は、二人とも白髪のじーさんになるまで続いてくんだろうな。



途中、幸村さんに彼女が出来て結婚したらコイツは泣くんだろうな。


幸村さんが嫁さんと出ていったら、俺が一緒に住んで世話してやるか………。











─────


「いてて………」

「今日は二人とも体が痛むようだが、何かあったのか?」




昨日、取っ組み合った結果がこれだ………


もう若くないってことだなぁ。




「昨日は才蔵に操を奪われて、激しく犯されて体がボロボロだよ」

「テメェ………佐助っ!!」




泣き真似をしてとんでもないこと言いやがって!



俺は胸倉を掴みかかったが、既に遅し………。





「さ……才蔵の破廉恥ィィーッ!!」

「ぁ………」




幸村さんは絶叫しながら店を飛び出してしまった。



どうしてくれんだよ………。





「ははは………旦那は結婚どころか、童貞のまま老後を迎えるんじゃない?」

「テメェ……笑い事じゃねぇだろ!誤解されたじゃねぇか!」

「どうせ誤解されたんなら既成事実作っちゃう?」

「笑えねぇっつーの!」








おちゃらけで腹黒いコイツをどうにかしてくれ………。


そして、純粋培養な幸村さんもどうにかしないとな………。





こんな二人の面倒を見る俺って物好きなのかもなぁ〜。










───俺は霧隠才蔵




普通の居酒屋店員なんだけど、

意外に普通じゃなかったりするかもしれない………?




「才蔵………類友だぜ?」

「ッ………」




だからお前は人の心を読むなってーの!!











×××××××××××××××

27000hit押し付け小説です。
リク内容は、『店が開くまでの仕込み時間帯』だったのですが、閉店後になりました(笑)

この番外編で才蔵のキャラが定着したような?
オヤジ二人が愛しいです。

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あきゅろす。
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