進め!巨人殺し
その日まで必ず(エレジャン)







目に焼き付いている貴方の鮮やかな斬撃は
俺に力を与える


歴代の中でも際立つ貴方の苦渋で非情なる決断は
俺に勇気を与える







コンコン・・・・


「団長、朝ですのでそろそろ起きて下さい」

ガチャ



「おはよう、もう起きてるよ」
「あッ!!へ、兵長もご一緒でしたか!!失礼しました!!!」
寝室のドアを開けた兵士は慌てて立ち去っていった。

「何だ?俺達の関係を知らないわけじゃあるまいし」
荒々しく閉められたドアをきょとんと見つめていると、まだシーツに包まった塊がもぞりと動いた。

「お前が裸だから生々しかったんだろ」
「あぁ・・・なるほど」
「ハァ・・・・だる・・・」
ベッドから身体を起こしたこちらも裸体だ。

「無茶しやがって・・・」
「ちゃんと加減はしたぞ?」
「自分を基準にするな・・・・お前は見た目同様に若い気でいるかもしれないが歳を考えろ」
気怠さから声色にも不機嫌さが滲む。

「腰が痛くて落馬したらお前のせいだからな」
「大丈夫だよ、お前は上に乗るのが上手いからな」
「バ、カ・・・・ッ」
昨夜の情事を思いだし、カァッと赤くなる。

「羨望の眼差しで見つめられる団長様があんな淫らな体位で喘いでいると知ったら、皆はどう思うだろうな」
「お、い・・・・」
顔を寄せキスをする。
そして、その腰に手を伸ばす。

「盛るな・・・・もう支度をしないと出発の時間に遅れる」
「・・・・名残惜しい」
「これで終わりみたいな言い方をするなよ」
肩を押し退け距離を取ろうとするその表情は怒りを含んでいる。

「俺は常に『生きて帰る』ことを最優先にしてるんだ・・・・今回の壁外調査も例外じゃない」
「あぁ・・・・俺もまだ死ぬつもりはないよ」
「だったら」
「戻ってきたら、指一本動かせなくなるまでイカせてくれるか?」
「ッ・・・・か、考えとくッ」
これが最後になるかもしれないという不安や未練より、
その後の楽しみを目標に生きる活力とする。


「お前の指揮下にいるのだから必ず帰ってくるよ」
「指揮下と言っても俺は優秀な参謀に助けられてるだけだがな」
「違うだろ」
強い眼が真っ直ぐ見つめる。


「例え参謀が優秀だとしても、その意見を判断し、決断して指揮を執るのはお前だろう?」
「・・・・・」
「アルミンが優秀なのは子供の頃から俺がよく知ってる」
幼馴染みを思い浮かべて口元が緩む。


「けれど、皆はお前の言葉だから従うんだぜ?・・・・ジャン団長」
「フ・・・・一番人の話を聞かないお前がよく言うよ」
頬に手を伸ばし、愛おしくそっと撫でる。


「だろ?人類の希望であり、人類最強のエレン兵士長」
「なぁ・・・・やっぱりもう一回シようぜ?」
頬に添えられた手に手を重ねて誘う。


「しねぇよバーカ」
「クソ・・・・」
ジャンはエレンの手を払う。

「アルミンが時間にうるさいのもよく知ってるだろ?アイツ怒らせるとしつこいんだって」
「・・・・まぁな・・・・」
長い付き合いだからそれは身に染みている。

「・・・・じゃあ、キスだけで我慢するよ」
「おい、ンッ!!」
エレンはジャンをベッドに押し倒しながら濃い口付けをする。
ジャンは諦めたようにエレンの首に腕を回した。




先人達の意志を受け継ぎ、
人類の未来のために

必ず生きて帰って来よう。


巨人を駆逐するその日まで必ず・・・・






×××××××××××××

二十年前の貴方達に捧ぐ
いつかこんな日が来ると思う。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!