進め!巨人殺し
ピンチな時ほど冷静に(ライジャン+アル)
.
「この馬面ッ!!少し立体起動装置が上手く扱えるからって調子に乗るなよ!!」
「うるせぇ童顔ッ!!精神論だけで上達するほど世の中は甘くねぇんだよ!!」
男子寮での日常茶飯事。
エレンとジャンの喧嘩が始まった。
きっかけは些細なこと。
訓練の評価でジャンがエレンより上回り、悔しかったエレンは頑張ろうと意気込む・・・・
たったそれだけのことで口論となり、今回は自己嫌悪に陥っていたエレンが逆上してジャンを殴り、いつも以上に血気盛んなこととなった。
「うわぁぁ!!エレン落ち着いてッ!!」
「暴力はダメだよ!!」
アルミンとマルコがエレンを取り押さえ、
「離せライナーッ!!俺の方が一発多く殴られてる!!」
ジャンはライナー1人に動きを封じられ、互いに距離を取る。
「ったく、お前等は毎回毎回・・・・」
「エレンが悪いんだよッ」
「ただの殴り合いなんて原始的なことだろ?」
「だってエレンが・・・・」
「お前は本当にエレンに対してだけ子供だな」
「それは・・・・」
ライナーに呆れられてようやくジャンは抵抗する力を弱めた。
「傷大丈夫か?」
「ん・・・・」
「唇が切れてる・・・・痛まないか?」
「平気」
解放されたジャンはライナーに顔を覗き込まれ、心配される。
「お前は放っておいたら何するか分かんないな」
「・・・・」
くしゃりと頭を撫でられ、ジャンはライナーをじっと見上げた。
「どうした?」
「何か・・・・自分に兄貴がいたらこんな感じなのかなーって思ってよ」
「じゃあ、お前は随分手の掛かる弟だな?」
ライナーは笑ったが、ジャンはキラキラとした真っ直ぐな瞳を向けたままだ。
「エレンは落ち着いたけどこっちはどう・・・・え?」
戻ってきたアルミンは目にした光景に言葉を失う。
「俺、一人っ子だから兄貴ってすげー欲しかったんだよ〜」
「そ、うか・・・・」
「ライナーって年上だし、ガタイいいし、頼りになるし、面倒見いいし、兄貴ってこんな感じだよなぁ・・・・」
ジャンはライナーにぎゅうっと抱き付き、肩口に頭を乗せてすりすりと甘えている。
「俺のこと叱ってくれるし、心配してくれるし、兄貴っていいなぁ」
(ジャン!!それは違うよ!!兄弟はそんなにベタベタ甘えないよ!!)
「しょうがねぇ奴だな」
アルミンの心のツッコミも虚しく、ライナーはジャンの頭を撫でながら腰の辺りに手を添える。
(ジャン!!気付くんだ!!ライナーが締まりのない笑みを浮かべていることに!!それでは外の世界でいう『アニキ』になってしまうんだ!!)
アルミンは様々な文献で得た知識が頭を過ぎり、悲痛の叫びが喉元まで出ようとしていた。
「なぁ、ライナー・・・・」
「何だ?」
「今夜一緒に寝ようぜ?」
(ジャァァアアンッ!!!!)
「一緒に・・・・あぁ、寝よう」
アルミンは頭を抱えた。
(君は甘えたくてその提案をしたんだろうけれど、既にライナーの下半身は巨人化しているんだ!!何でそれに気付かないんだ!!)
「あ・・・・」
ジャンはライナーから離れ、周囲に目を向ける。
ようやく正気を取り戻したのかとアルミンはホッとしかけたが、
「ライナーの隣りってベルトルトだよな?」
「う、うん?そうだけど」
いきなり話題を振られてベルトルトは困った顔をしている。
「じゃあ、お前も一緒に寝ようぜ?」
「え、」
「は?」
ジャンの加えた提案にきょとんとする。
「せっかくだし、3人がいいな」
(ジャンッ!!!!きっと君は『川の字』で寝ることを想像したんだね?何て甘えっ子さんなんだ!?)
「え、あ、ライナー?」
ベルトルトは困った顔でライナーの指示を求めた。
「いいじゃないか」
(ライナー!!!君って男は!!!今、頭に描いているのは3人でのいかがわしい行為ではないのか!?)
ジャンの無垢な可愛さとは正反対のライナーの邪な笑顔。
(これはベルトルトの良識にかかっている!!!)
アルミンは期待を込めてベルトルトの表情を見る。
「ライナー・・・・やるんだな?」
「あぁ、勝負は今!」
(ダメだ────────ッ!!!)
それは凛々しい男の顔だった。
「ジャ、ジャン・・・・ッ!!」
「アルミン?」
(喋りながらでも考えろ!!このままではジャンのウォールマリアが貫通されてしまうッ)
アルミンは必死に頭を働かせる。
「ねぇ・・・・ジャン・・・・僕はジャンみたいなお兄さんが欲しかったんだ」
「え!?」
「少し危なっかしいけど、しっかりしているジャンがいい、な」
(こんなことしか思いつかない・・・・ダメか?)
ジャンはポカーンとアルミンを見つめている。
「アルミーン!!!」
「うわぁッ!?」
突然ぎゅうっと抱き締められてアルミンは驚き、間の抜けた声が出てしまった。
「俺もお前みたいな優秀で可愛い弟が欲しかったんだよ!!」
「あ、はは・・・」
「なぁ、アルミン?今日一緒に寝ようぜ?な?」
「あ、うん」
「エレンはマルコに任せればいいからさ!」
思った以上に作戦は上手くいき、ジャンはアルミンの手を引いてベッドを目指す。
「・・・・・」
「ライナー・・・・君は戦士だったよ・・・」
ベルトルトは呆然と立ち尽くすライナーの肩に手を乗せた。
13.06.14
×××××××××
アニキなライナー。
甘えっ子なジャン可愛い♪
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