進め!巨人殺し
逃げ道はありません(アニジャン)








「アニ・・・・少し相談が・・・・」
「何?パンならあげないけど」
「そんな・・・・ッ!!!」
食堂でサシャが神妙な面持ちで話し掛けてきたので、アニはさらりと切り捨てる。


「いや、違うんです!パンもそりゃ欲しいですけどちゃんとした相談なんです」
「・・・・何?」
食べ物以外に何を相談するのかと少しだけ興味が湧いた。

「あのですね・・・・私・・・・自分が、実は巨人ではないのかと思えて仕方ないんです」
「え・・・・」
表情には出ないけれど、アニはドキッとした。

「何かあったの?」
「えぇ・・・・最近、人を見て『美味しそう』と思うことが増えまして」
「美味しそう・・・」
「はい・・・・だから、人を食べたいと思うなんてこれはもしや?と思っているんです」
サシャは頭を抱えて本気で悩んでいるようだが、一瞬でも驚いたアニは既に呆れ顔だ。


「大丈夫よ、それは考え過ぎだから」
「本当ですか!?アニ!」
「巨人は食欲を満たすために人間を襲うわけじゃないから」
「そうなんですか?」
「・・・・あなたも習ってる」
もうアニは相手にすることさえ面倒になってきていた。

「それなら何故私は人を美味しそうなんて思うのでしょうか?」
「それだけ空腹なんじゃない?」
「んー・・・そうなんですかねぇ??」
「・・・・」
腑に落ちない様子のサシャを無視しようかと思ったが、アニは大きく息を吐く。

「誰を見てもそう思うの?」
「いえ、ジャンだけです」
「ジャン・・・?」
「はい」
もう少しだけ相手をしようかと思ったら、特定の人物名が出てきてアニはサシャの方を向く。

「どういうこと?」
「んー・・・・何となく、ジャンを見ていると凄く美味しそうな感じがするというか、いい匂いがするというか?」
「何それ・・・」
「こう・・・・ガブッとうなじに噛みつきたくなるというか」
サシャはモヤモヤしている気持ちを表現しようと手をバタバタさせる。

(あぁ・・・・そういうこと)
アニは、サシャの表情がぽぉーっとしていることに気がついた。

そして、
サシャは知らないうちにジャンに惚れてしまったのか、
単なる動物的な嗅覚でフェロモンでも嗅ぎ取っているのか
どちらかだろうという結論に辿り着く。

(うちの男共もこんな顔して見てたこともあったから後者か・・・・)
アニは溜め息が零れる。


「ねぇ!アニ!!私は本当に大丈夫なんでしょうか!?」
「ッ」
サシャはアニの手を握り、必死に訴えかけてくる。

「大丈夫よ・・・・きっと空腹でジャンが馬っぽくて美味しそうに見えただけよ」
何ていい加減で酷い答えだろうか。

「アニッ!!お前まで俺を馬面だって馬鹿にすんのかよ!!」
「ジャン・・・」
不機嫌な顔でジャンがアニの横に立っていた。

「お前等、人のこと馬面って言うけどなぁ、俺は馬面じゃねぇ!!」
「それは他人が評価することであってあなたが決めることじゃない」
「何気にお前ってひでぇこと言うけど違うっつーの!」
感情に任せてジャンは否定を続けるが、少し涙目で本人は傷ついているのかもしれない。

(ぁ・・・・こういうこと)
アニはジャンを見上げていて分かったことがあった。

「ねぇ、ジャン」
「何だよ!?」
「明日、対人格闘訓練で私が負けたらあなたに謝るよ」
「そ、そんなの無理に決まってるだろ!お前超強ぇんだし、嫌だよ!」
「断らないでよ?私だって女なんだから傷つくわ」
「ぐっ・・・!!」
案外と紳士な面を持つジャンはそれ以上言い返せなくなった。

「明日が楽しみね」
アニは立ち上がってその場を去った。


「・・・・芋女ッ!!お前のせいだ!!」
「何で私なんですか!?」
行き場のない怒りとやるせなさと明日への恐怖をサシャに八つ当たりした。




「あれ?アニどうしたの?ご機嫌だね」
「少しだけあんた達の気持ちが分かったの」
アニとすれ違ったライナーとベルトルトの頭上には「?」マークが浮かんでいた。



アニはジャンの泣きそうな顔を見てドキドキしたのだ。
もっと泣かせたいと思った。
プライドの高いジャンを辱めたい。
そう考えたら可愛いとも思え、サシャの言う『美味しそう』という意味も理解出来た。


「明日が楽しみ・・・・」
僅かにアニは微笑んだ。

果たして、ジャンの運命や如何に!?




「アニッもう、やめッ!アッ──────!!」






13.06.11
×××××××××
アニジャンwww
女子にすら攻められる残念なイケメン。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!