戦国
ゆらぎ(幸×政)
※政宗視点。ちょい暗
お前は一途で、
眩しい位に真っ直ぐな瞳だ…………────
「ハァ、ハァ…………」
滴り落ちる汗。
全身を襲う倦怠感。
腹の上には白濁の塊………
荒い呼吸が静かな空間に響いた。
「至極幸せでござる………」
幸村は恍惚とした表情を見せる。
「お慕いしております……………政宗殿………」
色事の終わりを示す甘い口付け………
何度も愛を囁かれ、
何度も身体を重ね、
何度も吐精し、
何度もその瞳を覗き込み、
何度も俺ではない誰かを思い浮べた瞬間の、瞳の揺らぎを見つめていた…………
「政宗殿………いつまでも裸でいては風邪を召されますよ」
「…………あぁ………」
幸村は、俺の腹の上の汚れを拭き取り、着物に袖を通していた。
「なぁ幸村………」
「はい?」
俺は肘をついて身体を少し起こした。
呼び掛けに応えた幸村は、微笑んでいる。
本当に俺が愛しいのだろう、と疑う余地のない慈しむ眼差しだ………
「何でござるか?」
俺が次の言葉を紡がないことにきょとんとした表情。
当たり前だ
簡単に口に出来るわけがない…………
『お前んとこの忍と俺、どっちを選ぶ?』
極論はこれだ。
くだらねぇ独占欲………
子供のような駄々………
きっとこいつには伝わらない。
──何故比べるのか?
どちらも大切だ。
一方に絞る意味は?
それぞれ立場が違う
2人共不可欠だ───
返答が安易に想像出来るから、こんな馬鹿げた問い掛けはすんなり口から出て来ない。
幸村は俺を抱いた時、感じる場所や中の具合の違いに気付く。
今、抱いているのは奴ではなく俺なのだと………
それが真っ直ぐな瞳が揺らぐ瞬間………
身体が憶える程、
錯覚する程、
肌を合わせている証明………
嫉妬の炎がちりちりと胸を焦がす。
俺だけが取り残されそうで、
幸村への気持ちは口には出さない。
「政宗殿?どうされましたか?」
心配そうに首を傾げる。
「………今日も善かったぜ………幸村」
心半分の言葉を告げると幸村の表情は明るくなった。
「そのような………ことを言われてしまうと、某………もう一度………」
煽るのは簡単。
こいつは俺に遠慮をするだけで底なしだからな。
だから…………
逢瀬では俺を抱き、
日常では身近な奴を抱く………
気軽に逢えない距離がもどかしい。
2人の距離が妬ましい。
今は俺だけを考えて
「いいぜ、抱かせてやる………その代わり………」
俺の独占欲を
「満たしてくれ…………」
「はいッ………!」
悪気が全くない、真意が伝わらないお前の笑顔はとても憎い……………
×××××××××××××××
幸村、天然の二股?
政宗、まさかの一途?
モヤモヤする話になりました。
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