戦国
戦国最強A
















「……………で?…………阿呆面を並べて何の用だ」



奥州の独眼竜は、上座から異様な情景を見下ろした。


「あはは………」




明らかに不機嫌な表情の政宗に、突然の訪問者四人は乾いた笑いが出てしまう。



「お前等が揃いも揃って、くだらねぇ理由だったら覚悟しねぇぜ?」

「く………くだらなくないでござるよ!某には一世一代の大事でござる!」

「…………」

「わぁ〜!旦那は少し落ち着こうね!」

「ま………まぁまぁ……たまには知った顔が集まるってのもいいじゃないか〜」



政宗は冷たい視線のままなので、佐助は幸村の暴走を止めて、慶次は笑って和ませようと努力した。



「………分かったから早く用件を言えよ」

「っ…………」



政宗の機嫌の悪さは予想出来なかったことではないのだが、勢いで乗り込んでしまったことを悔いた慶次と佐助は思わず目配せしてしまった。



「お前は誰と一番ヤリてぇか聞きにきたんだよ」

「ちょっと!そんな身も蓋もない………ッ!!」
「破廉恥ぃい!!」



単刀直入な元親に狼狽える真田主従。



「何だよ?違わねぇだろ?」

「まぁ〜……確かに違わないけど、もう少し言い方がね」



さすがの慶次も苦笑いした。



「………くだらねぇ………」

「ッ!!」



政宗の呟きに四人はハッとした。



「ククッ………お前等は本当にくだらねぇな!」

「…………ッ」



政宗は馬鹿にしているのだろうが、笑みを溢した。



「ここまで勝負にこだわるんとはな………ククッ……まぁいい………」

「ッ………」



政宗の笑みで空気は穏やかになったが、違った意味で四人は緊張した。



「ふぅん………」



政宗は値踏みするように各々をじっと眺めた。






好敵手であり、手合せした猛りをぶつけ合う幸村。
無知なのをいいことに自分優位に弄べ、跨って腰を揺らすことも逆に凌辱することもあり、どちらでも楽しめる。



下の者を守る強い意志は共感でき、同じ片目でも見ている世界の違いに少なからず魅力がある元親。
鬼と呼ばれるだけあって荒々しく、所構わず文字通り「喰らう」のだ。
そんな獣じみた行為は嫌いではない………。



ふらりと現れ、性格も掴み所のない慶次。
くすぐったい位優しく、焦らされているように丁寧で。
女を抱くような悦ばし方に、女のように恥じらってしまうから不思議だ。



肌を重ねた回数なら抜き出ている佐助。
焦がれるように、求めるように仕組む罠。
本気になったら負け、というような腹の内を見せない駆け引きばかり。




「………」



政宗はすっと眼を閉じた。



「……………」



沈黙は僅かな時間を長く感じさせた。




「…………………右………」

「右ッ─────!?」



四人は声を揃えて反応した。



「右って、右目の旦那!?」
「片倉殿ぉお!!」



自分だと思っていた真田主従は、政宗の一言に絶叫した。



「四六時中一緒の相手には勝てないよねぇ〜………」

「ヤリてぇ時にはすぐヤレるってわけかよ」



慶次と元親は納得するように苦笑いが出た。



「政宗様!何事ですか!?」



自分の名が聞こえた小十郎は勢いよく部屋に飛び込んできた。



「何でもねぇよ………つーかよ、馬鹿共……誰も小十郎とは言ってねぇだろ」

「え!?」



四人はガバッと政宗の方を向いた。



「だって………今……右って……」

「ククッ………右は、俺の右手だよ」

「─────はぁぁあ!!?」



愕然とする四人に、意味の分からない小十郎。
そして、それを見て喉の奥で笑う政宗。



「な………それって……」

「Ha!お前等ごときがこの俺を満足させられると思ってんのかよ!」

「嘘………」

「自分の善いPointは自分が一番知ってんだよ」

「ま………政宗殿が………ご自身を………慰め───………」

「うわぁ!旦那鼻血!人様んちの畳は汚さないで!」



想像の刺激に耐えられず幸村は鼻血を吹き、介抱する佐助。



「カッカッカ!そいつは適わねぇな!」

「ははは………政宗らしい……のかな?」

「全く……貴方という人は………」



豪快に笑う元親に、苦笑いをする慶次、話の流れの見当がつき、溜め息を洩らす小十郎。



「お前等、甘ぇんだよ!!」






『伊達政宗』の選ぶ一番の相手は、伊達政宗であった。


一番の座を勝ち取った(?)政宗は、項垂れる四人を笑うのだった。












×××××××××××××××

オマケ


「政宗!自己愛は分かった!けどさ、好きな子とか大事な人とかいるだろ?」

「Ah〜?…………まぁな……」

「ッ!?」



諦めきれない慶次の質問に、少し考えてからの思わぬ返答。



「何!?誰!?」

「…………そんなの決まってる………」




ゴクリッ────





「俺が大切なのは────」

「なのは…………?」

「……………民だ!」

「────ッ!!」




はぐらかしたのか、奥州を束ねる長としての本音なのか、政宗の笑みに込められた真意は誰も分からず、
ただ絶句をするばかりだった……………









×××××××××××××××
はい!一周年記念小説続編でした。
このサイトのキャラ考察になったはず??

とりあえず、政宗様は皆に愛される女王様ってことだ。

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あきゅろす。
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