戦国
肯定否定A(慶+政)
※続きです
「来ちまったなぁ〜………」
慶次は勢いで奥州まで来てしまったが、訪ねることを躊躇してしまい、開け広げられた城門の脇に腰を下ろしていた。
「………会うにしたって、何て面通りしともらおっかねぇ………」
帰るという選択肢も頭を過った頃、軍馬が十数頭こちらに向かって来ているのが見えた。
「伊達軍かなぁ〜……声掛けてみるかぁ」
慶次は重い腰を上げた。
「門の前に誰かいるぜぇ!?」
慶次に気付いた集団は門の手前で馬を歩かせ近づいてきた。
伊達軍は一戦終えた帰りのようで、武装した格好は砂埃で汚れていた。
「誰だてめぇ!?」
「あぁ〜……どうも〜……」
左頬に大きな傷のある男に睨まれて慶次は愛想笑いをしてみた。
「俺、前田慶次っつーんだけど………」
「前田だぁ?」
「Ha!………前田んとこの風来坊かよ!」
「あ…………」
柄の悪い集団の中から蒼い陣羽織を着た人物が現れた途端に空気が張り詰めた。
「弦月の前立ッ………あんたが………!」
噂に聞いていた兜の前立物、独眼、一介の武将ではない身に感じる威圧感……目の前にいるのが目的の人物だと慶次はすぐに分かった。
「Ah〜?俺に用か?」
「ん……まぁ……」
「いいぜ……入んな」
「政宗様っ!訳の分からない輩を城に上げるなど」
「単身で乗り込んで来てんだ……構わねぇよ」
頬傷の男は側近であろうが、政宗は意見を聞き流した。
「ちょっと待ってな」
「あ、あぁ………」
馬上から見下ろす眼はとても強く、慶次は気圧されてしまった。
────
「…………」
慶次は広い客間に通されて一人手持ちぶさたでいた。
(あれが独眼竜さんねぇ…………………喰われるかと思ったぜ)
竜と呼ばれるに相応しい強い眼差しや振る舞いを思い出し、背筋がゾクッとして苦笑いしてしまった。
「幾らなんでもあれは抱けないって〜………ん?」
部屋に近づいてくる足音が聴こえた。
「─────ッ!?」
スッと開かれた襖から現れた人物に慶次は口が開いてしまった。
「Sorry………待たせたな」
「だ……伊達政宗……?」
「Ah〜?」
「あ……いや……さっきと印象が違うから……別人かと思えて……」
「………さっきは人を斬った後で気が張ってたんだろうよ」
淡い藍色の着流しを纏った政宗は、穏やかな表情で確かに華奢だが凛とした姿勢で動き一つ一つが優雅に見えた。
「………で、何の用だ?」
「あ、あぁ〜………」
うっかり意識を奪われてしまった慶次は視線を外した。
「何だ?」
上座に座った政宗は肘置きに体を預けると、髪がさらりと流れた。
(ちょい………これは………予想外………)
深呼吸してから慶次は視線を戻し、政宗の視線と交差させた。
「幸村……」
「……真田?」
「あぁ………」
慶次は見落とさなかった。
「幸村」という名前を出した時に政宗の目の色が変わったことを……
「幸村に………あんたのことを聞いて……ここへ……」
「ククッ……あいつは何て言った?」
政宗は楽しそうに目を細めて慶次の言葉を待った。
「強くて美しくて賢いって」
「………それだけか?」
「ん〜………」
慶次は言葉を選んだが政宗は見抜いているようでにやりと笑った。
「愛しくて……気持ち良くて……満たしてくれるって……」
「Ha!あいつは何でも話しちまうな」
慶次の俯き加減で躊躇した話し方は、どこまで知っているか明らかだった。
「…………で、お前がここに来た理由は?」
「あぁ〜………まぁ………興味が湧いてさぁ……」
慶次はちらりと視線を戻すと、まだ政宗は口端を上げたままだった。
「………幸村達が口を揃えて絶品だとかいうからさぁ……」
「……………お前も試すか?」
「はいぃぃっ!!?」
慶次は心臓が跳ね上がった。
「わざわざ奥州まで来てんだ………俺は構わねぇよ」
「えっ!いや………でも……俺は女の子しか………」
慶次はこんな挑発をされると思っていなかったので動揺してしまった。
「男も女も大差ねぇよ………」
「……………」
「どうする?」
「あ………あぁ……………」
政宗の妖艶な笑みに吸い寄せられるように慶次は距離を縮めた……………
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濡れ場オンリーに続きます。
男とは初体験の慶次の運命やいかに!?(笑)
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