戦国
肯定否定(幸+慶+親)
※9.今宵喰らうは……に、微妙に続いてる感じ?














「幸村ぁ〜!!邪魔するぜぇ〜」




上田城に間延びしたような大声が響き渡った。





「おぉ!慶次殿ではないか!どうされましたか?」

「謙信とこ行ってきてな、ちょっと立ち寄ってみたんだよ」

「左様でしたか……どうぞお上がり下され」



慶次を城へ招き入れた。



「佐助………茶を」

「はーいはい」



幸村は庭木にボソッと小声で呟くと、葉が数枚舞い散ると同時に忍の気配が消えた。





「最近どうだい?」

「鍛練を怠らず精進を続けております!」

「あ〜………じゃなくて、恋とかさぁ〜」

「恋は……」




慶次は幸村が「破廉恥!」と叫ばなかったことに驚いた。




「恋はしておりますぞ」

「えぇ!?ホントかよ!!すげぇ!」




胡座をかいて座っていた体を乗り出し、目を輝かせて食い付いた。




「何々!?どんな子なんだよ?」

「ふふふ……」



鼻息荒い慶次とは対照的に幸村は落ち着いていて、想い人を考えうっとりした表情をしていた。



「某の焦がれている方は………」

「旦那〜……」

「佐助?」

「おっと………」




わくわくとしている所へ暗い顔で項垂れた佐助が入ってきたので慶次はガクッと崩れた。



「どうしたのだ?」

「もう一人お客さ……」




スパーンッ!!!!





佐助が言い終える前に襖が両方向に勢いよく開けられた。




「いよぉ〜虎若子」

「元親殿!?」




突然現れた銀髪の鬼に幸村は驚き、慶次は目が点だった。




「誰?」

「あっ………こちら前田慶次殿と、こちら長曾我部元親殿です」




幸村は突発的な来客同士を紹介した。




「へぇ〜、あんたが西海の鬼さんかい」

「お前が前田の風来坊ねぇ」



元親と慶次はお互いが相手を「でかい、奇抜、何だこいつ?」と思いながらも「おもしろそうだ」と腹の中でニヤッと笑った。




「先客があったのに悪いなぁ」

「いや、俺はふらっと来ただけだから気にすんなよ」



元親はズカズカと部屋へ入り込み、幸村の横に腰を下ろした。




「元親殿も突然ですが、どうされました?」

「北に行った帰りに立ち寄りたくなってよ〜………」

「……俺様お茶追加してこよ………」




ふてぶてしい元親が苦手なのか、人の話を聞かない楽天家の慶次が苦手なのか佐助は部屋をこっそりと出ていった。




「北というと……」

「あぁ……会ってきたぜぇ……独眼竜」

「左様で……」



幸村は「独眼竜」という言葉に生唾を飲み込んでしまった。





「ど……どうでござったか?」

「ん〜………」




元親は幸村が興味津々なのに気付いて勿体振った。





「政宗殿は………」

「クッ………」




元親は耐えきれず笑みが零れた。




「あれは絶品だな!」

「やはり!!」




幸村は両拳を握り締めた。



「お前が褒め千切ってた理由がよく分かったぜ」

「でしょう!政宗殿程の御仁はそうお目に掛かれますまい!」




幸村は興奮して声を荒立て、元親はニヤニヤと笑っていた。




「ん〜ちょっと……話の腰折って悪いな」

「慶次殿?」

「伊達政宗の話ってそんな盛り上がるもんなのか?」



蚊帳の外にいた慶次は首を突っ込んだ。




「当然でござる!政宗殿のことで冷静になれるわけがござらんッ!某が恋して止まぬお方です故ッ」

「まぁまぁ……───って、はいぃぃっ!?」




更に暑苦しさが増した幸村を制止しようとした慶次だったが、最後の言葉に絶句した。




「おま……幸……今何て……」

「政宗殿は某の愛しき方でござるよ……」




恥じらうように頬を赤く染めて視線を逸らす幸村に開いた口が塞がらなかった。



「ちょ………恋って男にしてるってことかい?」

「左様でござるよ」

「はぁ………なんてこった………」




幸村が恋をしたことは喜ばしかったが、相手が男ということで肩を落とした慶次だった。



「慶次殿が言われてた通り、恋とは良きことですね……」

「いや………確かに恋をしろとは言ってたけどよ、野郎ってのは違うぜ……」

「何故ですか?」

「だってよ、女の子はにこやかで可愛くて良い香りで白くて細い体で守ってやりたくなって一緒にいて胸がドキドキするけどよッ」

「政宗殿は絹のような白い肌で華奢でとても麗しい方です!腕も立ち、芯の強い志に凛とした振る舞い……たまに意地悪をしますがお優しく心の細やかで聡明な御仁ですぞ!」



慶次の力説に負けじと熱く語った幸村だったが、政宗を思い出して体がゾクゾクと震えた。




「けどよ!女の子は柔らかくて温かくて気持ちいいんだぜ!?」

「政宗殿はひんやりと滑らかな肌で気持ちが良いです!」

「女の子とを夜を共にしたら絶対気持ち良いだろ!」

「政宗殿も気持ち良くして下さる!」

「───ッ!!」




慶次は絶句した………




「ハッハッハッ!この押し問答は幸村の勝ちかぁ〜?」



元親はくつろいで二人の言い合いを見て笑っていた。


「そんな………お前……男を……」

「政宗殿はとても……某を満たして下さいます」




愕然とする慶次に、頬を染めてもじもじとする幸村。




「おい風来坊………」

「はい〜??」

「政宗は相当癖になる味だぜ?」

「えぇぇえ!?鬼さんも!?」

「なんと!元親殿も政宗殿と肌を重ねたのですか!」



元親の告白に慶次は引き、幸村は食い付いた。




「………政宗殿はなんて罪なお方なのでしょう……元親殿!状況の詳細を是非!!」

「ハッハッ!淫らな様子をしっかり教えてやるよ!」

「はいぃ!!」




情事の内容を話し始めた。



「おいおい……そこは興奮してないで責め立てるとこだろ………」



一人良識的な世界に残された慶次は苦笑いをしてしまった。



「……竜の旦那とは恋仲じゃないから責めようがないよ」

「そうなのか!?」



背後から声がして振り向くと、お茶を持ってきた佐助が呆れ顔で立っていた。




「幸村は片恋なのに抱いちまったのか?」

「違うよ………竜の旦那もうちの旦那に想いは寄せてるけど、特定じゃないっていうか………」

「それで鬼さんも………だけど男が男と交わるなんてなしだよな〜」

「………………」

「…………って、お前もかよ!?」




急に無言になった佐助を振り返ると視線を外していて、慶次は気付いたのだ。



「おいおい………嘘だろ〜」

「いやぁ…………結構……ね」




佐助はにやけるのを堪えるように鼻の頭を掻いた。




「何なんだよ……伊達政宗って奴は………」




常識人と思っていた佐助すら虜にし、幸村と元親はまだ熱く語り合っている。


慶次は衆道には否定的だったが政宗という人物には興味が湧いてしまった。




「北へ……行ってみるか……!」















×××××××××××××××

続きます。


セフレ(?)いっぱいの淫らな政宗様大好き!


慶次はノンケのイメージが強いのでどう絡めようかな?

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あきゅろす。
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