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「お、落ち着け、ハリー」
まだあたふたとして落ち着かないハリーを、グリフィンドール寮生全員がこぞって見ようとしている。上級生は下級生に寝ろと指示しながらも、横目でハリーをとらえ続けていた。
ハーマイオニーは、今まで見たことないほどあわてるハリーに、しょうがないなとでも言うように溜め息をついた。
唯一事態を楽しむ、事の発端フレッドとジョージは、一層ニヤケて肩を叩き合った。
「なぁ、誰なんだよ?グリフィンドールかぁ?もしかしてレイブンクローとかっ!!」
「まーさーか、スリザリン…じゃねぇだろうな」
茶化した笑いがハリーの周りを取り巻く。
しかしハリーのまとまらない頭は、ただフレッドの問いを反芻していた。
ーグリフィンドール?レイブンクロー?ハッフルパブ?
答えは否。
だって彼は、スリザリンの。
思考が答えを導いた時、ハリーの慌てようはピークに達した。
「そ、そんなワケ、ないだろ!」
大きな声が気づかないうちに漏れ、伸ばした手に当たった食べ物をやけ食いの如く貪った。
「あああー!!」
「どーしたんだよ、フレッド」
「おい、アレ」
「げっ!」
「どうしたの、あのクッキーが何か…」
「アレは、特別なクッキーだ!」
「また、何か変なのを作ったのね」
ハーマイオニーがむっと顰めっ面をして、避難する目つきで2人を睨んだ。フレッドが悪いと唇の端で呟く。
「ハリー、どうしたのかしら?」
あちゃー、見事なハモリが双子から聞こえたが、それよりハリーの顔が緩み始め狂ったように笑い出したため、ハーマイオニーはそちらに気を取られた。
「何、いれたのかしら」
どんどん変になるハリーを見ながら、ハーマイオニーは頬をひきつらせて言った。
「誰でも見境なく好きになる薬、俺達は恋の妙薬WZと名付けた!」
「へぇ、そう」
今にもキレそうなハーマイオニーを宥めるロンが目に留まった。
体を揺さぶるあの感覚に理性を消し去られそうになりながら、ハリーはすみません、と愛しき人に謝った。
また、僕が壊れる。
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