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想定外



「アレ?何でみょうじがいるんでィ?」

「バカ、察してやれ。教室間違えたんだろ」

「マジですかィ?ダッセ」



バカはあんた達だ。





君に捧ぐ空
06:想定外
(ここは戦場ですか)





『……そうだった…。こいつらがいたんじゃん、このクラス…』

「オイ、何落ち込んでんだお前」



額に手を当てて落ち込むあたしに、土方が理由を聞いてくる。

土方って、根は優しいんだろうけど、テンションを下げている元凶に心配されても正直困るよね。



「ハッ、これだから話を聞かない愚民共は困るネ。なまえは今日から同じクラスになったアル!」

「はあ?」



沖田と土方を見下すように誇らしげに語る神楽ちゃんは、すっごい楽しそうだ。

うーん…もしかして仲悪いのかな。



「何でお前がこのクラスに入るんだよ」

『…色々あって』

「お前だけはお断りでさァ」

『死ね沖田』



しっしっ、と宙を仰ぐあの憎たらしい手、折ってもいいですか。

ほんとにこいつら(主に沖田)とは、出会ったら口ゲンカばっかりしてる気がする。


そんな元A組と3Zの生徒の会話がさすがに予想外だったのか、銀八がジャンプから視線を上げた。



「何だ、多串くん達知り合いだったの?」

「土方だ!!」

「風紀違反の常習犯でねィ。毎回注意してんのに聞かねー困った奴でさァ」

『沖田、君ちょっと黙ってくれる?』



合ってるけど!別に間違ってないんだけど!

こいつに言われるとなんかムカつく。



「あ〜…確かにそのスカートにニーハイっつーのはなー…」

『別にこのくらいの長さ普通でしょ』

「明らかに短ェだろうが!見えんだよ!」

『へえ……何が?』

「…っ…な、!」



くすくす、と笑いながら土方の席の前に立って顔を覗き込めば、顔を赤くしてうろたえる

ふふ、面白ーい。



『ねえ、土方?あたし、言ってくれないとわかんないなあ』



猫なで声で言えば、耳まで赤くなる顔がおかしくて仕方ない。

ねえ、と再度紡ごうとした言葉は、沖田に投げられた辞書のせいで阻まれた。



『ちょっと沖田!当たったらどうすんの!』

「キモイでさァ。公害に値するもん見せられた奴らの気持ち考えてくだせェ」

『……あんたほんっと良い性格してるよね』

「マジですかィ?照れまさ」
『褒めてないから』



わざとらしく頭をかく沖田に、なぜか「ずるいアル!」と神楽ちゃんが殴りかかった光景に視線を逸らした。

…いや、だってあの破壊力気のせいだと思いたいもん。


大きな破壊音を背に、さっきまで居た教卓の近くまで戻れば、銀八の視線がずっと動いてなかった。


…………脚から。



『どこ見てんですか』

「脚」

『………』

「いやァ〜…ニーハイもいいけどよォ。お前は絶対脱いだ方がいいって。生足になれ」

『センセーが灰になってくれるなら』



急に黙ったと思ったらそんなこと考えてたのか、と頭が痛くなる。


神楽ちゃんと沖田のケンカ(というより戦争?)はますます酷くなっていってるのに、クラスメートは完全無視



『さすが3Z…』



あたし、ほんとにここでやってけるのかな。





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