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青春ノート



ガラリ。


「お、来た来た。みょうじお前どこ行ってたの?銀さん心配したんだからなー」

『…へえ……。どの口がそんなこと言ってるんですか?』

「あ、あれ……なんか怒ってる…?」





君に捧ぐ空
05:青春ノート
(新しく変わるもの)





“3Z”とでかでかと赤色のスプレーで主張された扉を勢いよく開けると、よく知ってる顔がこちらを向く。

にへら、と笑うだらしない顔に一直線に足を進めて八つ当たり気味に口を開いた。



『何で探しに来ないで、呑気にジャンプ読んでんだお前ェエ!!』

「あのなあ…お前、探すって迷子じゃねェんだからよォ」

『───!』

「………あり?」



く…っ、とっさに言い返せなかったけど、ここで黙ったら肯定してるようなもんじゃん!

案の定、目の前の人物はニヤニヤと更に口元を吊り上げている。



「校内で迷子って可愛いなァお前」
『う、うるさい!仕方ないでしょ!3Zの監視はあたしの担当じゃないんだから!』



馬鹿にされたような態度が妙に腹立たしくて教室の中だってことも構わず、しばらく言い争う。

そんな時でさえ、気だるげな銀八に少し呆れが入ってきてると、第三者の声が耳に届いた



「お前ごっさ可愛いネ!転校生アルか!?」

『へ……?』

「私神楽いうヨ!仲良くするヨロシ!」

『え?あ、うん。あたしは3Aのみょうじなまえ。転校生ではないよ』



牛乳瓶の底みたいなぐるぐる眼鏡をかけた、お団子ヘアーの女の子

小さくって明るい神楽ちゃんの可愛らしさに、銀八への怒りはどこかに行ってしまった。



「3A…?っていうかこの人、みょうじ生徒会長じゃないですか!」

「おー、よく分かったなダメガネ。今日からおめーらのお友達になるみょうじなまえだ。仲良くするんだぞー」

「誰がダメガネだァァアア!!」

『…………』



黒髪、眼鏡、ぱっとしない。一見真面目そうに見えるあんな子でも、3Zだとそうもいかないらしい。

あたしが【生徒会長】って知ってる分は、あの子もバドミントンのジミー(仮)くんも、銀八よりはマシだけど。



「なまえ生徒会長ってホントアルか?すごいネ!かっけーアル!」

『神楽ちゃん……!』



キラキラした目で、あたしの腰に抱きつく神楽ちゃんは可愛い。そりゃもうすっごく。

今日から3Zになる、ってことも詳しく説明すると、飛び上がって喜んでくれた。可愛い。そりゃもうすっごく



「……生徒を賭けるって、あんた相変わらず人道外れてますね」

『そのまま外れに外れまくって、妖怪にでも化ければいいのに』

「なまえちゃああん!?」



ガーン、とでも漫画だったら擬音語が入りそうな顔がおかしくて、くすりと笑う。

その後、何故か固まってしまった銀八を無視して、3Zの生徒たちの方を向いた。



『さっきの説明通り、今日からこのクラスに入ることになった、元3Aのみょうじなまえです。よろしく』



わあ、という歓声と共に大きな拍手。よろしく!って返事と、自分の名前を教えてくれる声が入り混じり、聞き取れない。


(なんか、思ってたより悪いヤツばっかじゃないのかも)


勝手にイメージをつくるのはよくないな、と少し反省してた矢先。



「なんでィうるせーな。寝れねーだろうが静かにしろィ」

「………あ?何の騒ぎだ………?」



忘れてた人物の存在を思い出した。





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あきゅろす。
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