「あ〜あ。銀さん、清楚系美少女を想像してたのによォ」
『………』
こんな、ちゃらんぽらんな男が。見るからにやる気のなさそーな男が。こんなくるくるが。
『3Zの、担任…』
あぁ、あたしは今まで一体何の為に。
君に捧ぐ空
03:少女Aの本性
(人は見かけによりません)
『殴ります』
「は…!?ちょ、ちょっと待ってぐェぶ!!」
とりあえず一発。
不意打ちだったせいか、あたしの担任(になるらしい男)は、思いっきりほっぺたに拳を食らった。
理事長は仕方ない、というようにため息をついて、タバコをふかす(…校舎で堂々と吸うのはどうかと思う)
「おま、いきなり何すんのォォオ!!?」
『いきなりじゃないです。あたしちゃんと宣言しましたよ』
「してたねェ」
「オイ。何で宣言したら殴って良いみたいな感じになってんの」
痛ってー、と大げさに男の人は少し赤くなった頬を撫でる。
うん。明らかにあたしに文句を言いたそう。
「オイオイ。辰馬の奴、一体どーいう教育してんの?初対面の相手殴るか普通」
「そりゃ、殴りたくもなるってモンだよ」
「あぁ?」
理事長の言葉に更に眉間にシワを寄せたトコを見ると、ホントに理由が分からないらしい
ダメだ。ダメ。抑えろあたし…!
「みょうじはこの学校の生徒会長さ」
「生徒会長ォ!?」
「…本当に知らなかったのかィ?…まぁいい。ココの生徒会長は、学校内の問題に全ての責任を負わないといけなくてねェ」
「ほォ…そりゃ大変だ。でも、それで何で俺が殴られんだ」
ぷつん、とあたしの中で何かが切れた。
『あんたの組の犯罪沙汰をもみ消すのに、どれだけ苦労してると思ってんだァァア!!』
「ぎゃああああっ!!」
「ちょっと落ち着きな!みょうじ!!」
ガシャーン、と音を立てて、反射的に投げてしまった花瓶が男の人の横で割れた。
追撃をしようと構えた校長を形どった銅像は、理事長に奪われる。
でも、だからってあたしの怒りを抑えられるコトにはならない。
『あのモジャ毛が“3Zの担任はいい奴だから助けてやってくれ”って言うから、頑張ってたのに何こいつ!?』
「お、落ち着けって」
『このあたしがこんなプー太郎なんかのために何であんな…!』
「プーじゃねェェ!!銀さん、教師やってんだろォオ!?」
『黙れパー』
「パーって何だァァ!?脳みそか?それとも髪のこと言ってんですかコノヤロー!!」
『両ほ』
「てめェらうるせェェエ!!授業中だって分かってんのかァァ!!!」
ガンッガンッ
「『…い、っ…!』」
大声での言い合いをしてたら、とうとう理事長の鉄拳が頭に下りた。い…、痛すぎる
あたしは悪くないのに…!
『〜〜っ!先生、早く教室行きましょう!』
募る文句を何とか止めて、被害対策のため別校舎に移動させられた3Zの教室に向かう。
「オイ、待てって」
「…はぁ、銀八」
「何だよババァ」
「あの子は確かに優秀だが、扱いにくいから気をつけなよ」
「……あ、そう」
銀八はいつもの気だるそうな返事を返すと、口の中の棒つきキャンディーを転がしながらなまえの後を追った。
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