あたしの朝は
「てめえ…スカートが短えって何度言えば分かるんだ?」
「うわ、スカートってどこ見てんだィ土方。キモッ」
「総悟ォォオオ!!」
風紀委員サンとの絡みから始まる。
君に捧ぐ空
01:毎朝の恒例
(…違反者なら他にもいっぱいいるじゃん)
「あんた懲りないねィ。さっさと髪の色直して下せェ」
『栗色ヘアーに言われたくないんだけど』
「何言ってんでィ。あんたにはドブ色がお似合いだって言ってるんでさァ。顔とマッチすること間違い無しですぜ。ププッ」
『ウゼェェェェ!!』
その可愛い顔とは裏腹に、あたしみたいな校則違反者をなじるのがだーい好きな、ドS王子こと沖田総悟。
『あたしはさ、平々凡々な生活を送りたいの。だから必要以上にあたしに関わらないでよ、頼むから』
「あぁ?」
「土方さんどーしやす?これじゃ土方さんの大好きなニーハイが拝めなくなりやすぜ」
『うわ…ニーハイフェチかよ土方。キモッ』
「おめーら打ち合わせでもしたのか」
瞳孔開きぎみで、何度目を擦って見ても悪役顔の剣道部“鬼の副部長”こと土方十四郎。
タバコやらバズーカで明らか誰よりも、校則違反しまくってるこの2人は風紀委員。朝の校門での服装チェックで何かと絡んでくる、問題児の集まり“3年Z組”の生徒だ。
ほんと、ありえないくらい関わりたくないんだよねあたし。
「うるせえな。オレらはいいんだよ、Z組は特別扱いだからな」
『…ずっる』
「残念だったな」
勝ち誇ったように笑う土方。嗚呼、このイライラをどこにぶつけてくれよう。
「みょうじ、みょうじ」
『んぁ?』
沖田の方を振り返ると視界いっぱいに黒い筒(別名バズーカ)が飛び込んで来た。…どこから出したんだ?
「これ貸してやらァ。今こそ土方コノヤローを亡き者に」
「上等だコラァァ!!」
びゅん、と凄い速さでグラウンドを駆け抜ける2人にため息を一つ。朝からあのテンションの高さは相変わらず拍手ものだな、うん
わ、もう姿見えないよ。すげー
『あ、時間やばい』
学校の時計は、本鈴5分前を指していた。
クラウチングスタート。…は、流石にしなかったけども、見事な走りを見せつけて、自分のクラスを目指す。
次第に見えてくる“3年A組”と書かれた標識の文字。
『よっしゃァァ!ギリギリセー…』
ドンッ
『Σぅわッ!』
「のわっ?!」
勢いよく吹き飛ばされた自分の身体。
教室に入る前に誰かとぶつかり、それと同時に本鈴が鳴り響いた。
『い…っ、たた…』
「アッハッハッ。朝から元気じゃのー」
『…、坂本先生……』
「なんじゃ〜…みょうじ?何でおんしゃ、こんな所に居るぜよ」
『おめーは自分の担当クラスの生徒も忘れたんですか』
モジャモジャ髪に方言バリバリのこの人は、あたしのクラス、A組担任の坂本辰馬。
性格とかはいいんだけど、脳みその代わりにヨーグルトが詰まってる頭カラの馬鹿教師。
「あり?あ、言ってなかったきに。おんしゃ今日からZ組じゃ」
『…………は?』
そして、全ての始まりがこの馬鹿教師の一言で幕を開けた。
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