[携帯モード] [URL送信]
校長<<生徒会長




動物を教室で飼っていい、なんて許可した覚えは一度もない。





君に捧ぐ空
09:校長<<生徒会長
(秩序はあたし)





『……ということで、そこのゴリラはさっさと捨ててくるように』

「ちょ、ええェェェ!?なまえちゃん!?いきなり何イィィ!?」

「まあ素敵。なら、私が喜んでお手伝いするわ」



刹那、凄まじい轟音とともに、教室からゴリラが姿を消した。

妙ちゃんには逆らわない方が良い、ってことは頭の中にすでにインプットしてる。
ご機嫌がとれたなら何よりだ。



「てめ、近藤さんに何しやがる!?」

『だって暑苦しいんだもん』

「お前が“だもん”なんざ気持ち悪いでさァ」

『あんたほんとムカツク』



いちいち突っ掛かってくる沖田を思いっきり睨んでも、見下したような顔が返ってくる。

スルーすればいいのは分かってるんだけど、どうしてもこいつだけには負けたくない。
それがあたしの性格。



『それにヅラ。君のペンギンもどきもアウトだから』

「ヅラじゃない、桂だ。ペンギンじゃない、エリザベスだ」

『あと神楽ちゃん』

「な、何アルか」

『そのでっかい犬もアウト』



ビシッ、と神楽ちゃんの背中の後ろで押さえつけられている犬を指さす。

あれで隠してたつもりだったらしい神楽ちゃんは、なんでバレたのかと騒いでる。
一体、何匹ペットがいるんだろう、このクラス。



『ったく、これじゃ注意してもキリが……』

「みょうじさん」

『何……………』



名前を呼ばれて振り向いたことを一瞬で後悔した。



「僕は定春くんみたいな動物が教室にいた方が、賑やかで楽しいと思います」

『そっ、そうだよね…!みんな仲良くが1番だよねっ』

「あれ、何か顔色悪いですけど大丈夫ですか?」

『うん、大丈夫!とりあえずそのハサミしまってくれないかな!』



「ああ」と今気づいたようにハサミを机にしまう怪ぶ…人物。鬼のような顔面に、目に優しい緑色の体が見事にミスマッチな緑化委員のヘドロくんだ。
いくらあたしでも、目の前にあんな顔があったら言い返せない。

沖田総悟。志村妙。ヘドロ(くん)それに、担任の坂田銀八。
想像以上にデンジャラスゾーンらしい3Zに胃痛がした。



『問題起こさないようにちゃんと見張ってることを条件に、ペットは許可します』

「キャッホウウゥ!さすがなまえアル〜っ」

「おお、ありがとう」

『ちなみにゴリラは対象外』

「あら、それなら大賛成よ」

「近藤さんはゴリラじゃねェ」

「酷い人でさァ。誰もゴリラ=近藤さんだなんて言ってやせんぜ。こんな奴が剣道部副部長なんて死ねばいいのに」

「総悟オオォォオ!!」



机一個分横で聞こえてくるバズーカ音に本気で耳を塞ぎたくなる。と、いうか目を背けたいし、できればA組に戻りたい。

今日は何時まで残って後片付けしなきゃいけないんだろう。



『……風紀委員(=ゴリラ・ジミー)に押し付けるか』



そんなこんなで休み時間はあっという間に過ぎ去り、2校時の古文の授業に遅刻した上、またもやジャンプ片手に教室に入ってきた銀八に教科書を投げつけて八つ当たりした。




 前

 次


9/10ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!