「おい、焼きそばパン買ってきなせェ」
『………』
────ガチャン。
「無視するなんていい度胸でさァ」
『ちょ、バカ!タイムウウゥウウ!!』
「聞こえやせん」
君に捧ぐ空
10:席替え条件
(ルールはあたし)
ドカーン!と隣から発射されたバズーカ砲は、あたしの頬の数cm横をすり抜けて爆発した。
教室内をこげ臭い匂いが包み混んで、煙が巻き上がろうと、相変わらず平然な態度の先生とクラスメイト。
ああもう耐えられない。
『銀八!』
「何、なまえちゃん?もしかしてデートのお誘…」
『席替えを希望します!』
「席替え〜?」
教台でジャンプを読んでる銀八が、あたしの提案に面倒くさそうに本から顔を上げた。
「席替えっつっても、このクラス 4月からずっとこの席順だしなあ」
『じゃあ、ちょうどいいじゃないですか。そろそろ替えましょーよ』
「いや、いっそ卒業までこれでいいんじゃね?」
「勘弁してください」
1日でこれなのに、1年間 沖田の隣なんて耐えられるわけがない。
ぐるり。と教室を見回すと、クラスメイトの大半は席替えにノリ気みたいだ。
『ほら、皆も賛成みたいだし』
「今いねーヤツはどうすんだよ」
『………』
「え、何。どうしたの」
『銀八ってほんと稀に先生っぽいこと言いますね』
まさか空席の席の生徒の心配するなんて。
『わかりました。あたしが今からその子ら探して連れてくるんで、そしたら席替えしてください。風邪で欠席?関係ないですね。家を調べて引っ張ってきます』
「ええェエッ!?」
『ちょ、新八くんうるさい』
「す、すみません。……で、でも」
あたしの次なる提案に、またもや抗議の声が上がった。
どうやら、教室内の空席に座る人物たちは、3Zでも別格の不良軍団らしく、しかも、グループは2つあって、対立してるというおまけつき。
なんてベタな展開!
『あー…もう今更そんなこと気にしないから、あたし』
「慣れてんな」
『おかげさまで』
生徒会長になってから、ずっと3Zの問題行動に関わってるんだし。
『とりあえず行ってきます』
「おい、行くって居場所分かんの?」
『不良が授業サボるところっていったら、屋上か体育館裏ですよ』
「確かに、いつも屋上にたまってるみたいだけど…やっぱり危険よ、なまえちゃん」
(そんなに危険人物なのか)
全校生徒の名前と顔なら大体把握してるけど、さすがに性格までは掴めてない。
眉を下げて心配してくれる妙ちゃんに「大丈夫だ」と言っても、神楽ちゃんにまで止められた。
「なまえが行くなら、私も行くアル〜!」
「そうね。私たちもお供するわ」
『いいの?』
「もちろんよ」
『……ありがとう』
危険だって言う不良軍団に会いに行くっていうのに、なぜかニコニコ顔の神楽ちゃんと妙ちゃん。
多分、いや、絶対サボリたいだけだよね。なんて思いつつ、今日できた友人2人の申し出に甘えることにした。
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