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兎と太陽(夜兎兄妹)

*夜兎兄妹
*ほのぼの




○月×日。△曜日。
今日は久しぶりに晴れたアル。



ねずみ色の雲がいっぱいに広がっていた空に、ヒマワリのようなお日様が昇った。お日様はキラキラと輝いていた。
神楽は思わず外に飛び出した。肌がジリジリと焼けて少し痛かったけれど、雨の日よりはずっとよかった。


「神楽!」

後ろから自分を呼ぶ声がして、神楽は振り返った。そこにいたのは神威だった。神威は神楽のお兄さんだ。神威は右手で傘を差し、左手は可愛らしい傘を持っていた。

「ちゃんと差さないとダメでしょ?」

スッと左手の傘を差し出すと、神楽は飛び付くように受け取った。この傘は神楽のお気に入りなのだ。

「ありがとネ!」

神楽が笑うと、神威も笑った。



神楽は小さな両手で傘を差した。傘を持つのは大変だ。神威は少ししゃがんで、神楽にちゃんと傘を持たせた。

「さて、どこに行こうか?」

神楽の頭をそっと撫でて、神威は聞いた。

「楽しいところがいいアル」

神威は目を丸くした。そして、しばらく考えると立ち上がった。神楽の手をそっと握る。

「じゃあ、楽しいところ、連れてってあげる」

神楽はうんと頷いて、神威の手を握り返した。

神楽の歩幅に合わせながら、神威はゆっくりと歩く。
行き先はない。楽しいことが見つかるまで歩き続ければいい。


空にはお日様がギラギラと光っている。
神威が負けじと笑ってやると、神楽も笑った。



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あきゅろす。
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