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羽根の素敵な贈り物 2


二人の男女の間に手を繋がれて歩いているのは十三、四歳頃の青色の瞳の色白な少女。仲良く手を繋ぎつつ三人はキョロキョロと誰かを探すように周りを観察していた。


「どこにいるのかしらね?」
「まぁ…今日はお祭りで普段より人も多いから見つけ難いかもしれないね」
「ごめんね。お兄ちゃん、お姉ちゃん…」


しゅん、とうなだれる少女にジャックとティナは笑った。ジャックの繋いでいない方の手が少女の頭に乗った。


「大丈夫さ!絶対にみつかるよ」



物 2



とある店の前で出会った少女は泣いている理由を尋ねたジャックとティナにその少女は「人とはぐれた」と言った。どうやら少女が店のショーウインドウに夢中になっていた間にはぐれてしまい途方に暮れていたらしい。それを聞いた二人は少女の探し人を一緒に探そうと言って冒頭の状況になったのだ。
祭りの空気が漂う中、街を歩く。聞いたところによると少女の探し人は青い髪の男性らしい。青髪は珍しいのでそれならすぐに見つかるだろうと思っていたが実際はなかなか見つからずに今に至っている。困った三人は一時間程歩き続けていたのでとりあえず一旦休憩を取る為に広場のベンチにクレープを買って座った。


「最初に別れたあのお店で待っているべきだったのかしら?」
「でも君はしばらくあそこで待っていたのだろう?」
「うん。でも彼、来なかったの」


もぐもぐとクレープを頬張りながら少女は答えた。


「せめて今日が祭りでなかったならもう少し見つけやすかったかもしれないね」
「ええ、でもきっと彼も貴女の事を探している筈だもの。気長に探しましょう?」
「うん!」


クレープを食べ終わった少女は元気に返事をして立ち上がった。それを見てジャックとティナも立ち上がる。


「行こうか」
「今度はあちらの噴水の方を探してみましょう」


そして二人は少女を真ん中に挟み、手を繋いで歩き出した。




噴水の広場にやって来るとそこでは三人を水しぶきと真っ白な鳥達が出迎えてくれた。幻想的な風景を見つめキラキラと目を輝かせる少女に自然と二人の頬は緩む。


「とても綺麗」


ティナの呟いた言葉にジャックはそうだね、と穏やかに答えた。それを聞いていた少女は己のそれぞれの手の先の二人を見上げた。


「お兄さんとお姉さんははコイビトなの?」
「!!」
「…どうしてそう思うんだい?」

驚いて声の出ないティナに代わってジャックが苦笑いをしながら少女の顔を見つめ返した。


「うーん…、なんとなくそんな感じがしたの。お兄さんもお姉さんもお互いを見つめる時はとても優しい目をしているから」
「…そうか」


少女の答えを聞いてジャックは笑った。その表情を不思議だ、と言わんばかりの少女の頭にジャックは手を乗せた。


「私達は恋人ではないよ。…親友、なんだ」
「…ふーん」


納得のいかない顔をしている少女に我に返ったティナも頷いてそれを肯定する。それから広場をぐるりと見渡した。


「どうかしら、彼はいる?」


言われて少女は見渡すが首を横に振った。どうやらそれらしき人はここにもいないらしい。


「ここでもないとすると…後はどこを探したらいいのかしら?」
「私達もあまり街には出ないからね。いまいちどこに何があるか分からないし」
「お兄さん、お姉さん。もう一度最初のお店に戻って……」


不自然に途切れた少女の声。二人は訝しげに自分達の後ろを見つめる少女を見る。


「……見つけた!」
「…え?」


噴水で水浴びをしていた真っ白な鳥達が一斉に羽ばたいた。





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