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崩れゆくものを止める術


※16巻が予想外の展開だったのでちょっと混乱気味です。今まで書いてきた話の辻褄が合わなくなる恐れが出てきたので今後の原作の流れ次第では話の変更・削除があるかもしれません。予めご了承下さい。

若干のネタバレ注意!








お願い
彼をーー…



閉じていた目を開けばそこは金色の光が満ちている世界。降ってくる金色をしばらく見つめていると柔らかく降り注ぐその中に人影があることに気付く。久しぶりに見た後ろ姿に何故か胸が熱くなった。


「ティナ…さん?」


オレの声に振り返った女性は予想通り彼女だったが、彼女は以前会った時とは違って何故かとても悲しそうな表情だった。気を抜いてしまえば泣きそうなその表情に胸がもっと熱くなる。


「どうしたんですか…?」


尋ねても彼女はオレの顔を見つめたまま何も言わず、ただ悲しげな表情をするだけ。すると急に金色の光が満ちて視界を遮り始めていく。


「ーー…」
「え?」


金色の光の中で彼女が口を開いたのが見えたが声は届かない。


「ティナさんっ!」


やはり声は届かない。そして金色の光で彼女が見えなくなる直前に、


「ーーー…」
「!」


届いた言葉の意味を、オレは理解する事が出来なかった。それが分かったのはもうしばらく後の、こと。






金色の光が満ちたこの世界を、誰かが素晴らしい世界だと言った。


「ーー…お願い」


私に手を伸ばしたが届く前に消えてしまったオズ君に声が届いたかは分からない。オズ君が私を呼んでくれていたことには気付いていたがこちらから彼に干渉する事は出来ないのだ。
それでも他でもない、オズ君に伝えたかった。


「彼を、」


私の大切な人を

お願いだから





「ジャックを止めてーー…!」





ジャックがグレンと再びまみえる前に
争いになってしまう前に
これ以上、崩れてしまう前に


ああ、私に出来ることがあればいいのにと、何度思ったことか。




「お願い、」




誰かが言うようにこの世界は確かに素敵だ。誰もが羨んだこの世界。
けれど、私にとっての世界は彼ら。
だから、



私の世界を
塗り替えてくれた
貴方達が




間違った道を進むのならば、私は



(親友として、貴方達を止めましょう)




あきゅろす。
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