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小説 3
片恋の罠・3 (R18)
 約束通り、夜10時に校門前で待ってると、周りをキョロキョロ見回しながら、三橋が校庭の方から歩いて来た。
 とうに閉ざされた校門越しに、「な、に?」って訊かれて笑みが漏れる。
「先生、開けてよ」
 ニヤッと笑いながら言うと、「ダメ、だっ」って首を振られた。
 けど、「ダメ」って言われたって、元から聞く耳は持ってねぇ。校門に手を掛け、地面を蹴り上げて、ひょいと門を飛び越える。
 すぐさまガシッと抱き着くと、三橋は再び「ダメッ」って小声で悲鳴を上げて、腕の中で身を固くした。
「ま、まだ他の先生、が……」
「見せつけてやりゃいーじゃん」
 小声での抗議に小声で応え、目の前のこめかみにキスを落とす。
 ビクッと肩を揺らした三橋は、さらに頬を舐め上げてやると、「やっ」って言いながら顔を逸らした。

 拒絶の言葉を突き付けられて、胸に昏い炎が燃え上がる。
 滅茶苦茶にしてやりてぇ。「イヤ」なんて口にできねぇようにしてぇ。その体の奥にオレの存在を刻み込み、自分が誰のモノか思い知らせてぇ。
「来いよ」
 抱き締める腕を放し、代わりに手首を掴んで強引に校庭の中を駆ける。
「だ、めっ」
 三橋はまだ小声で拒絶してたけど、オレを止める程の力はなかった。
 具体的にどこがいいっつー考えもねぇまま、三橋の手を引いて、夜の校庭を駆け抜ける。
 教室? 校舎の陰? 体育館裏? そこらの植え込み? それとも、いっそ、グラウンド?
 三橋を犯す場所を物色しながら、キョロキョロと真っ暗な校庭を見回すと、木立の奥のプールが目に入った。
 プールの下には部室棟があって、野球部の部室もそこにある。鍵は都合のいいことにダイヤル式の南京錠で、侵入すんのに丁度イイ。

「じゃあ、部室でヤリましょーか、先生」
 振り向いてニヤッと笑いかけると、三橋はやっぱ「ダメ、だ」って言ったけど――。
「その辺の草むらで犯されんのと、部室と、どっちがいーんだよ?」
 笑みを消して真顔で問いかけると、泣きそうに顔を歪めて、大人しく部室までついて来た。
「鍵の番号、知ってんでしょ? 開けてくださいよ」
 オレの指示にも黙って従い、三橋が南京錠のダイヤルを合わせる。
 ドアを開けると、もわっと土埃のニオイが鼻についたけど、たまにはこういう場所も悪くねぇ。
 ためらう三橋を部室の中に押し込めて、アルミのドアの内鍵を閉める。
「尻出して」
「阿部君……」
 短く命令すると、三橋は青ざめた顔で首を振ったけど、やめてやるつもりなんてなかった。

「こ、こういうの、よくない、よ」
 震え声で訴える三橋に、鼻で笑って言い返す。
「いいか悪ぃかは、オレが決める。それより早く、尻出して。それとも、生徒指導室の方がいーっスか?」
「せっ……あれは!」
 昼間のことを揶揄すると、三橋はデカい目を見開いて、ぶんぶんと首を振った。
 知らんぷりして「何のこと?」とか言われてもムカつくけど、そんな反応見せられてもムカつく。疾しいことがねぇにしてもムカつく。
「あの女と、昼間っからやってたんでしょ? どーでした? 女の方がイイ? そりゃ、イイよなぁ?」
「違っ、やってない!」
 オレの追及に耐えかねたのか、三橋がぐいっとオレの腕を掴んだ。興奮のせいかデカくなってる声を、「しーっ」と指を立ててたしなめる。
「正直に言っていーんスよ。やったんでしょ?」
「やってない、信じてっ」

 オレの腕を掴む手に、ぎゅっと力が込められる。その必死さが滑稽で、妙な充足感を覚えた。
「信じて欲しーなら、信じさせてよ、先生。四つん這いになって、尻出して」
 努めて冷たい声で命じると、三橋はひくっと息を呑んで、そろそろとオレの腕を離した。
 諦めたように顔を伏せ、小さな音を立てながらベルトを緩めてスラックスと下着を落とす。こっちに向けられた白い尻に満足しながら、オレはその姿を写真に撮った。
 カシャッ、と響く人工音。ケータイカメラのフラッシュに、白い尻が浮き上がる。
 三橋はビクッと背中を震わせたけど、それ以上は何も言わず、オレ自身を受け入れた。

 ローションはいつもカバンに入れっぱなしになってたけど、ゆっくり準備してやるような余裕はなかった。精神的にもなかったし、肉体的にもなかった。
 いきり立って、先走りをこぼしてたオレの肉根に、たっぷりローションをまとわせる。
 おざなりに指でかき回しただけの穴は、ひどくキツくて息が詰まる程だったけど、三橋も同じく息を詰まらせてたから、まあいいやと思った。
 メリメリと中を穿ち、細い腰をガシッと掴む。
「あっ!」
 一瞬、悲鳴が漏れたけど、「しーっ」って再びたしなめてやったら、そっからは声を出さなかった。
 苛立ちも執着も、憎しみも愛情も、何もかもを込めて乱暴に突き揺する。
 オレの荒い息と、三橋が声を詰まらせる音と、穴からぬちぬち漏れる淫らな音だけが響く部室。
 オレがガクガク揺さぶる度、三橋のネクタイが部室の古い畳をこすって、「教師を犯してる」っつーシチュに、いつになく興奮した。

「っ、先生、先生っ」
 抑えた声で三橋を呼び、射精感に震える。
 ぎゅっと閉じた目の奥に星が散って、再び目を開けると、三橋の四つ這いになった背中が見えた。
 Yシャツをまとったままの背中に手のひらを這わせ、布越しの感触を楽しむ。
「……先生」
 三橋からの返事はねぇ。
 ただ、数回揺さぶってから勢いをつけて引き抜くと、三橋は抑えた声で「はあっ」と喘いで、ガクッとヒジから崩れ落ちた。

(続く)

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あきゅろす。
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