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小説 3
合体付喪神・中編 (R18)
 本物の三橋と再会したのは、付喪神「レン」が現われた翌日だった。
 田島に「久々にメシ食おうぜ」と呼び出され、顔を出すと、三橋もそこに座ってた。
「ひさし、ぶり」
 上目遣いでにへっと笑う様子が、相変わらず可愛い。
 鼓膜を震わせる声も可愛い。
「おー」
 素っ気ないフリで返事して、テーブルを挟んで向かいに座る。そしたら田島が三橋の脇にヒジ打ちした。
 相変わらず仲いーんだな。一瞬もやっと湧き上がった思いが、三橋の笑顔に中和される。
「コイツ、阿部に会いたかったんだってよ」
 そんな田島のセリフに、オレの方もドキッとした。

 田島はどうやら、ホントにオレと三橋とを会わせたかっただけらしい。他には誰も呼ばれてなくて、3人だけであれこれ喋ってメシを食った。
 三橋と田島は、ハタチ越えたからって得意げに酒も飲んでた。
 2人とも付き合ってる女はいねーらしい。「お前は?」って訊かれて首を振ると、田島にゲラゲラ笑われた。
「じゃあお前、まだオナホ使ってんの?」
 酔っぱらいに秘密をばらされ、ギョッとしてゴフッとウーロン茶にむせる。
 そういや、田島には据え置き型オナホの善さを滔々と語ったことあったっけ。さすがに「レン」って名付けたとは言ってなかったけど、色々思い出してすげー気まずい。
「お、オナ……」
 って、ドモリながら真っ赤になってる三橋が「レン」と重なって、股間がうずきそうになってヤベェ。

「三橋は何使ってんの?」
 そんな無粋な質問に、ぶるぶる首を横に振る三橋。男3人集まりゃ、シモネタになってくのは仕方ねーけど、好きなヤツの前だとあんま堂々と語れねぇ。
「阿部の、すげーらしいぞ。今度見せて貰えよ」
 ニヤニヤ笑いながら、三橋の脇をヒジ打ちする田島。
 三橋は「そ、そんな」って真っ赤になってっけど、オレだって諸事情があって「いーぜ」なんて言いにくい。
 つーか、使用済みのオナホなんか見せ合うモンでもねーだろう。
「お前なぁ」
 呆れたフリして、じろっと睨むだけでそれ以上何も言えなかった。

 その後、酔った田島は1人で帰り、オレは三橋をアイツの家まで送ってってやることになった。
 家っつっても、埼玉のあのデカい家じゃねぇ。オレと同様、いつの間にか一人暮らしを始めてたみてーで、意外だった。
 オレんちからそう遠くなかったのも意外だった。
「オレんち、2駅向こうだぜ」
「へ、へえ……」
 夜道を歩きながら、そんな会話をぽつぽつ話す。
 田島程じゃねーけど、やっぱ三橋もちょっと酔ってはいるらしい。まっすぐ歩けてなくて、可愛かった。
 別れ際、「お茶、でも」って誘ってくんのも可愛かった。他意はねーんだろうし、男同士ではあるんだけど、そんな簡単に男を家に誘うなよなっつの。
 正直、ぐらっと来たけど、「今日はいーや」つって断る。
 酔ってぽうっとしてる三橋を前に、暴走しねぇ自信がねぇ。また今度、昼間に会おうって約束して、早々に退散した。

 帰った後は、何もかもぶつける勢いで「レン」を抱いた。
 いつもなら丁寧にほぐす作業も、気が逸って待ち切れねぇ。ローションを注ぎ込むと、『あ、あ……』って声が頭に響く。
 三橋と同じ声。同じ顔。何もする前から蕩けた顔で、オレの挿入を煽ってる。
『中が熱い、よ。阿部君……オレ……』
 そんな風にねだられちゃ、オレだって我慢できねぇ。
「レン……」
 ぷりぷりの尻を掴み、慎ましい穴に勃起した肉根をぶち込む。
『あああん』
 脳裏に響く声にますます血がたぎり、欲望が高まる。
「は……キツ……」
 何度使ってもキツい穴が、いつも通りにオレを包んだ。ぐちゅっと鳴るローションと共に、あんあんと喘ぎ声が頭ん中を満たしてく。

「レン……三橋……」
 名前を呼びながら腰を揺すると、ベッドがキシキシ音を立てた。
 三橋との別れ際、シャツのスソをそっと掴まれたのを思い出し、うおーっと叫びてぇ気分になってくる。
 酔った三橋。照れた三橋。田島にヒジ打ちされながら、上目遣いで笑う三橋。
「はあ……っ、くそっ」
 たまんねぇ。
 愛おしさが湧きあがり、細腰を掴む手に力が入る。
『あっ、ああんっ、もっと、もっとっ』
 そんな風に煽る「レン」も悪ぃと思う。真っ裸で、目の前で悶えながら、三橋と同じ声でオレを呼ぶ。
『阿部君』
 ちっこいくせに凶悪で、好きだって気持ちが止まらねぇ。

 もし、あのまま三橋んちに上がり込んでたら、今頃は……? 現実には有り得ねぇって分かってるけど、妄想がぐるぐると渦巻いた。
 オレに会いたかった、って。なんだそれ、可愛過ぎんだろ。
「……三橋」
 歯を食いしばり、射精感に堪えながら乱暴なくらいに奥を突く。
『ああん、ああっ、しゅごいっ、しゅごいっ』
 舌足らずに善がり声を上げる「レン」は、やっぱり三橋と同じ顔で――あっちも同様に、可愛がりてぇと思った。

 その晩、抜かねぇまま3戦目に突入した後、「レン」の奥のひだが破れた。
 元々貫通式だったし、最奥まで乱暴に突っ込まなきゃ大丈夫だとは思うけど、付喪神「レン」の手前、何となく気まずい。
『い、いっぱい使ってくれた、証拠、だよっ』
 「レン」は嬉しそうに全裸のままで笑ってたけど、罪悪感は否めねぇ。
 つーか、もう昨日の段階で、耐久目一杯だったらしい。
 だからこそ付喪神が宿ったんだろうか?
 それとも、三橋との再会のフラグか?
 そう簡単に「レン」を卒業できるとは思ってなかったけど、いい加減勇気を持って、本物に向き合うべきかも知れなかった。

(続く)

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