小説 3
ジムランナーV・2 (R18)
「暑いなら、プール、行く?」
三橋にそう言われたのは、メシができたって呼ばれたダイニングテーブルでのことだった。
プールって聞いて思い出すのは、学生時代に2人で行った遊園地のレジャープールだ。
混んでるし、ガキも多いし、カップルも多い。流れるプールなんて芋洗い状態そのもので、「泳ぐ」っつーより「浸かる」っつった方が正しい。
スライダーだって、30分40分並ぶのは当たり前で……けど、それでも三橋は嬉しそうに笑ってた。
大人の男2人でレジャープールもどうかと思うけど、幸せだった頃を思い出しつつ、気持ちを近付けてくのもいい。
「プールか……でも、混んでんじゃねぇ?」
昔を思い出しつつ言うと、三橋がちらっと目を細めた。
「イヤなら、いいよ」
「イヤとは言ってねーだろ」
慌てて言い募り、ニヤッと笑う。
「せっかくお前が誘ってくれたんだし、行きてーよ。つーか、行く」
そう言うと、三橋はふーんと鼻を鳴らしつつ、「分かった」ってうなずいてくれた。
「プール、6年くらい行ってねーな……」
メシ食いながらぼそりと言うと、「そう、なの?」って首をかしげられた。
「お前と行ったのが最後だ」
オレの正直な申告に、三橋はビックリしたみてーにデカい目を見開いた。
「そう……か……」
とつとつとした相槌。
三橋の脳裏にも今、2人で行った芋洗いプールが浮かんでんだろうか?
「あそこまでは、混んでない、よ」
目線を下げ、ふひっと笑われて、胸がじわっと温かくなった。
「お前は? 最近プール行った?」
照れ隠しに訊くと、あっさりとうなずかれた。
「オレは、しょっちゅう行ってる、よ」
行ってる、と、現在進行形で言われて、ドキッとする。
「誰と!?」
「ひとりでに決まってる、でしょ」
じろっと睨まれれば、「だよな……」としか言えねぇ。
コイツのストイックさも、女っ気のなさも、10ヶ月も経てば大体分かる。
別れてからの恋愛遍歴は、ちょっと怖くて訊けねーでいるけど、多分心配するようなことは何もなかったに違いねぇ。
邪推して嫉妬すんのは、多分溺れてるからだ。
シーツの海に横たわる、白い肌を押し撫でる。
引き締まった上体、キレイな背中、細い腰、何もかもに触れて、撫でて、思う存分に味わう。
すべらかな肌は、触り心地が良くて気持ちイイ。
三橋も気持ちいいんだろう。愛撫を続けてると、時々ふっと息を詰めんのが分かって、感じてくれてんのをしみじみと悟る。
仕返しするみてーに、三橋の両手がオレに伸ばされんのもいつものことだ。
胸から肩、肩から腕、筋張った大人の男の手のひらが、愛おしそうにオレを撫でる。
脇をくすぐられても平気なくせに、三橋にじっくりと撫でられるうちに、どんどん煽られて興奮して来るんだから不思議なことだ。
「三橋……」
名前を呼んで、白い肌に唇を押し当てる。
「プール! 行くんだ、から、痕つけない、で」
焦ったように言われて、ふふっと笑えた。
「じゃあ、見えねーとこならいい?」
訊きながら太ももを撫でると、「ダメ」ってキッパリ拒否された。
そんな小さな拒否が最初のうちは怖かったけど、10ヶ月も経てば慣れてくる。
「誰も見ねぇって」
くくっと笑いながら片ヒザを押し開き、あらわになった内ももに顔を近付ける。
「ちょっ……!」
三橋の制止を無視し、引き締まった白い脚にキスマークを1つ。
ちくりとした刺激に、見るまでもなく悟ったんだろう。「も、う」ってじろっと睨まれた。
「ワリー」
口先だけで謝って、目の前の股間にも口接ける。
キレイな色の睾丸、興奮に染まる陰茎、いっぱいのキスを落として先端を口に含んでやると、「ああっ」と高い声が漏れた。
しなやかな体が、快感に反らされる。
いくら口先で生意気なコト言ってても、体の反応は正直で好きだ。
唾液を絡め、じゅっじゅっと水音を立てながら口淫を施し、身をよじる様子を楽しむ。
「あっ……なか、も……っ」
上ずった声で促され、ローションを絡めた指で秘められた入口に触れると、三橋の声に甘みが増した。
すっかり柔らかくなったつぼみに指を埋め、お望み通り中に触れる。
月に数回のセックス。気持ちを確かめ合った後は、学生時代と同じくらいの頻度に戻んのもすぐだった。
ジム通いの成果はこんなとこにも現れてて、息切れを起こすこともなくなった。
「あ……う……っ」
中をほぐす指の動きに、三橋が悩ましげに声を上げる。
「気持ちイイ?」
「知ら、ない……んんっ」
びくんと跳ねる腰、反らされる背中、甘い声……どれを取っても感じてんのは明らかで、そのくせ素直に認めようとしねーのが可愛い。
ぽっかりと開いた口を唇で塞ぎ、遠慮なく舌を差し込んで口中を愛撫する。
「……挿れていい?」
耳元でこそりと訊くと、縁を赤くした目でじろっと睨まれた。
「挿れて」って言わされんのが、たまんなくイヤみてーだ。いちいち訊くなって、前に言われた。「どうして欲しい?」って訊いたら、もっと拗ねられた。
「だ、め」
ふいっと顔を逸らされながら、再びの拒否。
けどこれだって、そんな意味のある拒否じゃねぇって分かる。
ふふっと笑いながらさっくり無視して、両脚を押し開き、咲かせたつぼみを上に向ける。
んっ、と息を詰める三橋が、たまんなく色っぽくて愛おしくて仕方ねぇ。
ゆっくり身を沈めると、慎ましやかなソコにきゅうきゅうと食いつかれて、もっていかれそうになった。
熱い粘膜に包まれて、奥へ奥へと誘い込まれる。
「中はダメって言ってねーぞ」
耳元で囁くと、またじろっと睨まれたけど、ちっとも怖くねぇ。むしろ煽られて、手加減する自信がなくなった。
(続く)
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