小説 3
くろがね王と月の舞姫 4 (R18・飛ばしても大丈夫です)
オレの薄い胸を撫でながら王様が言った。
「お前、踊りながら誰を見てた?」
「王様を、見てました」
王様の唇が胸を這う。固い乳首を舐められて、思わず「ひゃっ」と声が出る。すると王様はくすくす笑った。
「色気のねー声だな」
「だって、そんなとこ……っ」
片方を口で、もう片方を指先でいじられると、もう喋れなくなった。くすぐったい、だけじゃなくて、痛い、訳じゃなくて。気持ちよくて。
「んっ」
声が漏れるのが恥ずかしくて、丸めた手を口元に当てる。
胸への刺激がやみ、おそるおそる目を開ければ、王様が自分の白いシャツを脱いでいた。月明かりの下、広い肩と、たくましい胸板が現れる。
なんてキレイな裸なんだろう。筋肉の張った胸、力強い二の腕、肩から首への、美しいライン。
「何を見てる?」
「王様を……」
オレの上に王様が覆いかぶさり、唇が重なった。一瞬、裸の胸と胸とが触れ合い、気持ちよさに体が震えた。
「なら、これからもずっとオレだけを見ろ」
背中に手を当てて抱き起こされ、腰に巻いた絹帯が解かれる。口に深く入り込む甘い舌が、オレから返す言葉を奪う。再び寝台に倒され、と同時に、絹のズボンが奪われた。
「あっ、やだっ」
シャン、と足首の鈴が鳴る。恥ずかしい部分が丸出しになる。いくら暗くても、丸出しはイヤだ。
いたたまれなくて顔を隠すと、手首を掴まれ、また顔の横に押し付けられた。手首の鈴が鳴った。
「踊りながら笑ってたな」
「幸せ、で」
黒い瞳が覗き込む。逆らうことの許されない、強いまなざし。
「今は?」
「今も、多分」
魅せられる。聡明で勇猛な、美しい王に。若く、温かく、力強い王に。こんな近くで、彼にこうして触れられることは、きっと恐れ多いことだけど。でも、ただ、嬉しくて幸せ。
王様は笑って言った。
「お前はキレイだ」
そして、オレの股間に手を伸ばした。
「やだっ」
びくりと体が跳ねる。そんなとこ、他人に……まして、敬愛する王様に触られるようなものじゃない。なのに何でだろう、快感に形が変わっていく。次第に熱を帯びていく。気持ちいい。
「だ、ダメっ、イヤっ」
「イヤもダメも禁止だ」
「えっ」
王様の体がすいっと離れる。ぬくもりが突然失われ、怖くて慌てて起き上がる。王様はオレを見て、ふっと笑った。
「少し待ってろ」
そしてベルトを外し、ズボンを下ろし、生まれたままの姿になった。
はっと息を呑んだ。王様の裸の美しさに。男らしさに。中心にそそり立つものの、猛々しさに。
「何を見てる?」
王様がオレに尋ねた。そんなに何度も訊かれるくらい、オレは王様を見てるのかな。いや、絶対見てるんだ。だって今もずっと、王様の顔を見てる。昂ぶったような笑顔。真っ黒な瞳。
目が離せない。
横から掬うように両足を持ち上げられ、ひざを割られた。間に王様の体が挟まれて、はしたなくも閉じられない。
イヤもダメも禁止。
王様の命令がオレを縛る。
もっと恥ずかしい場所に王様の指が触れても、指を入れられても、開かされても……。オレは言葉にならない声を、上げるしかできなかった。
そして。
「あ、あっ」
痛みと衝撃と共に、王様が入って来た。ぐっ、と押し込まれる、圧倒的な存在感。
「あああああ、んっ」
奥まで穿たれて、声が漏れる。
「これは、儀式だ」
王様が、熱っぽい声で言った。見上げると、王様がオレを上から覗き込んでいた。顔が寄せられる。唇が重なる。中の楔が動く。
「んんっ」
痛みかもしれない。違うかもしれない。言葉にもならない。分からない。何のために、こんなことをしてるのか。されるのか。儀式だと王様が言う意味も、その訳も。
ただ………。
「これで、お前は、オレのものだ」
ゆっくりと動きながら、王様が言った。
「あ、あっ」
返事したくてもできなかった。何の言葉も浮かばない。オレの頭の中は、今、抜き差しされる楔のことでいっぱいだった。それしか考えられなかった。頭の奥まで貫かれ、支配されてるも同然だった。
王様に揺らされるたびに、足首の鈴がシャンシャン鳴った。身もだえするたびに、手首の鈴も鳴った。オレを貫き、突き上げるものは、思った通りに猛々しく、オレを滅茶苦茶に狂わせた。
イヤもダメもなく、オレはただ声を上げた。その口を閉じるのは、王様の唇で塞がれた時だけ。それでも、やっぱり声は漏れた。
オレは何度も白いものを吐き出し、王様の腹を汚したけれど、王様は怒るどころか、微笑んで、更に強くオレを揺すった。
月明かりの中、いつまでも、その儀式は続けられた。
(続く)
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