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小説 3
光巡る・5 (R−18?)
 三橋が外から帰ってすぐに、そういうコトがあったせいで、晩メシを忘れてた。
 いや、忘れるほど没頭してた訳じゃねーんだけど、ちょっとくらいの空腹は気にならなかったし。メシより三橋が食いたかったんだから仕方ねぇ。
 三橋の手料理はごちそうだけど、光の体に外からも中からも存分に触れて、光を貰う方がごちそうだ。
 ただ、三橋はそうじゃなかったみてーだ。
 いつもならセックスの後、疲れ果てて寝ちまうんだけど、今回ばかりは眠気より食い気だったらしい。
 全部ガッついちまったオレのせいだし、ホントなら「ごめん」って謝んなきゃいけねーんだろうとは思うけど。
「うう、ご、ご飯……」
 うめき声を上げ、裸のままでミニキッチンによろよろと向かう様子は、なんか間抜けだけどエロ可愛いかった。

 裸エプロンのサービス付きで、じゃじゃっと簡単にチャーハンを作ってくれた三橋は、それ食ってまたオレのヒザの上に戻って来た。
 戻って来たっつーか……まあ、ちょっとだけ強引だったかも知んねーけど、嫌がってはなかったと思う。
「も、もう、阿部くんんっ」
 可愛く抗議してたけど、そんなんじゃ拒絶になんねーし。
「封筒ねーんだから、仕方ねーだろ」
 ちゅっと耳の後ろにキスして、エプロンの隙間から脇腹を撫でると、三橋は小さく可愛く喘いで、穴の奥をきゅうっと締めた。

 このっ、って思ったけど、まず手紙を仕上げる方が先だ。
 開封できねーようにテープで留めて、呪印を施すだけでも別にいーんだけど、それじゃもっかい三橋をメガネに会わせなきゃいけねぇ。
 なるべくなら、それは避けたい。
 ちょっかいとか出されたくねーし、また「隆也の匂いがする」とか言いながら、くんくん嗅がれたりしたらと思うと、考えただけで腹が立つ。
 もうこれ以上は、三橋に近寄って欲しくなかった。

 メガネに返事の手渡しできねーとなると、どうするか。そういう場合は、呪を使って一時的な式神に仕立てて、先方に送ってやればいい。
 そういう時に便利なのは、やっぱ鶴だ。
 息吹き込むだけで飛んでくれるし、まあ芸はねーけど、基本だと思う。誰でも作れるだろうし。
 けど……。
「じゃあ、悪いけどこれで鶴、折ってくれるか?」
 オレの頼みに「うんっ」と張り切ってうなずいた三橋は、1回折って大きな三角を作ったところで、ぴたっと手を止めちまった。

 3秒くらいそのままだったから、「どうした?」って軽く下から揺すってやる。
「ひゃっ、もうっ、か、考えてる、のにっ」
 可愛い声で文句言われたけど、折り紙なんか考えて作るもんじゃねーだろう。
「鶴、作れねーの?」
 くくっと笑いながら、左手をエプロンの胸元に忍ばせると、三橋は「ひゃん」っと啼き声を上げた。


 そんな感じで、鶴1羽折んのに随分時間かかっちまったけど、オレとしては楽しかったんで、まあいいだろう。
 三橋も十分楽しんでた。
 集中できなかったせいか、色々いびつな仕上がりだが、届けばいーんだし気にしねぇ。
 後は呪印を施して、飛ばすだけだ。
「ほら、手」
 凍った右手を三橋の前に差し出して、手首に触ってくれるよう促す。
 三橋はオレのヒザの上で、下から串刺しにされたまま息も絶え絶えになってたけど、「ほら」ともっかい揺すってやると、小さくうめいて顔を上げた。

「お前が作った可愛い鶴、飛ばして見せてやるから」
 くくくっと笑いながら囁くと、右手の凍ってねぇとこをぎゅうっとつねられた。
「へ、下手くそになっちゃったの、阿部君、のせい、でしょーっ」
 って。言った後、凍ってるとこをがぷっと噛まれる。
 そんくらいの攻撃、痛くもかゆくもねーっつの。やる事が可愛くて、はははっと笑える。
 ぎゅうっと左腕で抱き締めてやると、今度は噛んでるところを舐められた。

 あれっと思ったのは、まばたきした一瞬。
 黒い陰鬼の手形の痕、さっき三橋に舐められたところにだけ、光が消えずに残ってる。
 いや、消えんのが遅いってくらいだけど――唾液か? 体液?
 じゃあ……精液でもいーんかな?
 三橋自体が光ってっから、精液やよだれや涙にも光が混じってるかどうかとか、あんま今まで気にしてなかった。
 つーか、そんなこと考えながらセックスなんかしねーし。
 試しに手首に掛けてくれ、つったら、恥ずかしがって怒るかな? 想像すると、スゲー楽しい。


 三橋の手を借りて印を結び、いびつな鶴に呪印を施す。ぺたんと閉じた鶴の羽を開き、下部の穴から息を吹き込む。
 ふわっと浮かび上がった鶴に、三橋が「ふお……」と驚きの声を上げた。
 かすかな光の軌跡を描いて、手紙の鶴が榛名の元に飛んでいく。
 オレのニオイがついてるだろうとかは、あんま考えなかった。だってオレは、光の体に護られてたし。
 今は光と深く繋がってて、不安も恐怖も薄れてた。
 右手の調子もいつもよりイイ。

「あっ、やああ、ベッド、でっ」
 ささやかなワガママを言う三橋を、繋がったままで無理矢理立たせようとしたら、残念ながら抜けちまった。
 「あっ」と声を上げて、三橋のヒザががくんと崩れ、ベッドに上半身が倒れ込む。
 偶然か、それとも誘ってんのか? 尻をこっちに突き出した格好で、スゲーそそる。
「その格好でいーか?」
 返事はねぇ。じゃあ、いいってことだよな?

 尻から背中を左手で撫で、うまく動かねぇ右手を腰に回して引き寄せる。
 三橋は貫いた瞬間射精して、前に回したオレの手を濡らした。じゅっと音がするくらい、その白濁も熱く感じた。

(続く)

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あきゅろす。
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