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小説 3
盛夏恋・9 (にょた・R18)
 靴音に続き、がやがやと話し声も聞こえて着た
 何を話してるかは分からない。男の人の声、女の人の声、話し声、笑い声……。
 隆也さんの腕の中、体に快感を刻まれながら、耳でそれらの音を拾う。
 集中できない。
 だって……そんな、あからさまに人の気配がする場所で、今まで抱かれたことはなかった。

 私達を呼びに来た訳じゃないだろうけど。今、ノックされても困る。
 鍵はかけたんだった?
 部屋に戻って来た時のことをぼんやり思い出そうとしてたら、集中してないのが分かったみたい。隆也さんに小声で怒られた。
「考え事してて、いいんですか?」
 びくっと目を開けると、少し汗ばんだ端正な顔が、すぐ真上で笑ってた。

 頬が熱くなる。慌てて目を閉じると、まぶたをべろっと舐められた。
 その舌の感触すら、快感に変わってぞくぞくする。体が小さく跳ねてしまったの、きっと気付かれただろうと思う。
 いつも、彼の思うがまま。余裕なんてない。
 なのに。
「ずいぶん余裕です、ねっ」
 同時に、強く突き上げられた。
「んんっ」
 口を閉じてるのに、耐えられなくて声が漏れて。それをたしなめるように、隆也さんがまた「しー」と言った。

 誰のせいですか、なんて文句を言いたくても言えなくて、声が出せなくて。ただ必死に彼にしがみついた。
 廊下からの物音は、まだ続いてる。
 これだけ騒がしければ、逆にこちらの音は聞こえてないかも知れない。
 分からない。
 考えることができない。激しく攻められる。
「んっ、ふんん、んんん、んんっ」
 抑えてるハズの喘ぎ声が、気のせいか、だんだん大きくなってくみたい。
 だって、激しくて。
 彼に爪を立てても、身をよじっても、快感を逃せなくて。

「あっ」
 高い声が出た。

 彼に取りすがってた腕を緩め、片手の甲で口を押える。
 ふはっ、と隆也さんが荒い息を吐いた。
 私を抱き込んでいた、力強い腕が離れていく。目を閉じてても感じる、彼の息遣い。
「感じた?」
 そんな意地悪な質問される。
 私の両脇に両手を突いて。彼が上から覗き込む。
 その間も、彼は動きを続けてて。
 体勢を変えたせいで、こすられる場所が変わって、さらに余裕がなくなった。

 漏れる声に、必死で唇を閉ざす。
 気持ち良くて、恥ずかしくて、彼の顔を見られない。
 私の顔も、見ないで欲しい、けど。そんなことをお願いしたって、きいては貰えないことも、もう知ってる。
 きれいだ、って言われるたびに、居たたまれなくて恥ずかしいけど。でもさっきみたいに、鏡を見せられるのはもうイヤだ。

 入り口から奥まで、彼にこすられる。強く。激しく。
 奥の奥まで貫かれ、行き止まりの壁をつつかれる。 声が漏れる。
「んっ、んっ、ん……」
 手の甲を当てても、隠せない声。
 もう片方の手で、太くたくましい腕を掴んだ。
 何かにつかまっていなければ、溶けておぼれてしまいそうだった。

 その、最中に――ゴトンゴトンと足音が響いて、そして部屋の戸をノックされた。
 コンコンコン。
「んっ」
 私は慌てて、悲鳴を上げた。
 それを消すかのように、キスされる。唇を塞がれる。
 すっかり慣れてしまった大人のキス。舌で舌をこすられ、強く吸われた。
 くちゅくちゅと、いやらしい湿った音が聞こえる。
 ベッドがきしむ音。肌の打ち合う音。
 隠し切れない、喘ぎ声。
 そして。

「兄さん?」

 隆也さんを呼ぶ、シュンさんの声。
 でも、隆也さんはびくともしない。私に深くキスして、私を深く貫いて、思うままに存分に動いて、そしてそれを止めることはなかった。


 固く太い楔が私の中から抜かれた後。
 使い終わった避妊具の処理をして、彼はそれから、私を後ろ向きに抱き締めた。
 いつの間にか、廊下は静かになっていた。
 シュンさんもいない。
 後ろから回された手が、イタズラに私の胸をもてあそんだ。
 包み込むように揉んで、敏感なところをつまんで、指先で転がして。
 まだ少し青い胸は、固くて痛い。
 でも、その痛みにさえ……濡れる。

「日焼けしましたね」
 穏やかな声が、耳元で言った。
 私の両胸をもてあそびながら、悔しいくらい冷静な声。
 こんな時、やっぱり彼は大人だと思う。
 手のひらで転がされてる。
 でも……イヤじゃない。

 まだ冷めきってなかった体は、彼の胸への愛撫だけで、簡単に火をともされ、濡らされていく。
 腰に、固いモノが押し付けられた。
 ハッと息を呑んだ時、裸のままの私の肩に、隆也さんが吸い付いた。
 じきに、ちりっと痛みが走る。
 ふふっと満足そうに、隆也さんが笑った。
 何をされたのかも分からないまま、転がされ、仰向けにされる。
 胸への愛撫をまた始めながら、隆也さんはその胸元にも口接けた。
 また、ちりっと痛みが走ったけれど、乳首を強く指先でつままれ、転がされて、「あああっ」と声を出さされて……小さな痛みなど、気にならなかった。
 そうして、その後、もう一度抱かれた。

 あの、ちりっとした小さな痛みが何だったのかを知ったのは……翌朝、指摘されてからだった。

(続く)

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あきゅろす。
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