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いつもの朝が今日も始まる
アベミハは自然にふたりで布団の中ですやすやと寝息を立てている。
朝目が覚めると、彼もちょうど目が覚めたようで寝起きの少しまぬけな顔を見てふたりで笑い合う。
今日も一日が始まるんだな。
https://shindanmaker.com/706181より




 いつものようにぐっすり眠って、いつものように目覚ましで起きた。
 普段はオレの方がちょっと早く起きるけど、もう夏休みだから、30分くらいゆっくりだ。
 アラームを鳴らすケータイを手に取り、「むにゃ」っと半眼を開ける。昔使ってたフィーチャーホンなら、目を開けなくても止められたのに、スマホはこういうところがイマイチ不便だ。
「むー……」
 唸りながらアラームを止めると、隣に寝てた阿部君がもそっと起きた。
「何時?」
「6時半」
 答えながら阿部君を見ると、くっきり二重の彼の目が、半分しか開いてない。片方の目は起きるの拒否してるみたいに閉じられてて、下手くそなウィンクみたいになってた。

 キリッと格好いい顔が、台無しでおかしい。
 思わず「ぷふっ」と噴き出すと、「あー?」って眠そうな目で睨まれる。けど、下手くそなウィンクはまだ終わってなくて、迫力も何もない。
「あ、べ君、その顔……っ」
 ふひひっと笑うと、「顔!?」って不機嫌そうに言われたけど、おかしいんだからしょうがない。
 止めらんなくて笑ってると、「お前こそ」って言いながら、阿部君がオレに手を伸ばした。
「すげー寝癖だぞ、お前。しかも、よだれ垂れてるし」
「よ、だれ!?」
 指摘され、慌てて口元をぬぐうと、ホントにべっとりアゴまで濡れてて、うわー、ってなった。
「間抜け可愛いな」
 って、ちっとも誉められてる気がしない。

「阿部君だって、間抜け格好いい、よっ」
 手に持ったままだったケータイを向け、「はあー?」って凄む阿部君の顔のアップを1枚撮ると、さっきまで閉じたままだった片目がうっすら開いてて、なんか怖くておかしかった。
 間抜けじゃないけど、おかしい。
 ぷふぁっと笑って震えてると、お返しにオレにもフラッシュを浴びせられた。
 互いに写真を見せ合って、「これはヒドイ」って笑い合う。
 ベッドの上でさんざん笑い合ってる内に、ようやく目も覚めて来た。

「はー、起きるか」
 大きく息を吐いて、阿部君がのっそりベッドから起きる。
「笑ったら、お腹すい、た」
「オレも」
 「お前のせいだぞ」って小突かれ、「そっちでしょー」って小突き返し、パジャマのままで寝室を出る。
 朝食に作るのは、定番の目玉焼きに、お弁当用も加えたウィンナー。小鍋にお湯を沸かし、ブロッコリーとオクラを茹でると、タイマーをセットしてた炊飯器から、軽快な音楽が流れてきた。
 いつもの朝の、いつもの風景。
 顔を洗った阿部君は、もうさっきまでの下手くそなウィンクをしてなくて、いつもどおり格好いい。

「トマト、切って」
「おー」
 オレの頼みに快く応じ、冷蔵庫を開ける阿部君。
 お皿を並べてくれるのはいいけど、トマトの切り方は、いつも通り豪快、で。今日もまた、1日が始まるんだなと思った。

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あきゅろす。
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