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年賀状のアレ
本気で年賀状の当たりくじを調べ、切手シートが当たったことに大喜びするアベミハ
https://shindanmaker.com/687454より




 補習で使うプリント問題の作成中、ちょっと確認したいことがあって、リビングの本棚を探った。
「えっと、資料、資料」
 ぼそぼそ呟きながら、本棚のあちこちを引っくり返す。
「いつも適当なトコに置きっぱなしだから、すぐに探せねーんだぞ」
 阿部君のお小言を「う、え」と聞き流しながら、ちょっとだけ反省しつつ、一番上の段を漁ると――ドサーッ、と音を立てて、年賀状の束が落ちてきた。
「うおっ!」
「あー、もう。何やってんだよ」
 ちっ、と舌打ちされて、「ごめん」と謝る。
 慌ててしゃがみ込み、散らばった年賀状をざかざか集めてると、ふいに阿部君が「ああっ!」と大きな声を上げた。

「今日何日だ!?」
「ふえっ、えっと、7月……」
 とっさに思い出せなくてキョドってると、「17じゃねーよな!?」て。何かと思って見てみると、年賀状のくじの引き換えが、7月17日までって書かれてて、ビックリした。
 リビングの壁のカレンダーを、2人同時に覗き込み、それから顔を見合わせる。
 今日は16日だから、明日だ。
「当たりの番号って、何番だっけ?」
 と、そう訊かれても、正直まるで覚えてない。
 オレがあわあわする一方、阿部君はさっとケータイを持って来て、ぱぱっと検索し始めた。
「あった。これ」
 バッと画面を差し出され、当選番号を確認する。

「21と、3840と……」
 呟きながら年賀状のくじの部分をざざっと見ると、下2桁が21なのが見つかって、「おおっ!」と思った。
「あった! 21!」
「こっちも21だ」
 互いに見つけたハガキを見せ合い、にんまりと笑い合う。
 他の番号は見付かんなかったけど、こんな引き換え日直前に発見するなんて、神様のお導きに違いない。

「切手シートォ!」
 ふざけて高々とハガキを持つ手でバンザイすると、阿部君もぶはっと吹き出して、「お祝いだ!」って言い出した。
 冷蔵庫から缶ビールを取り出し、乾杯して、ぐっと飲み干す。
 単に、ビール飲みたかっただけじゃないの、かな? と、そんなことを思ったのは、互いにビールを飲み干した後、で。
「じゃっ、片付けとけよ」
 そんな薄情な言葉と共に、トイレに行っちゃった阿部君を見送り、お祝い気分がしゅうっと抜けた。

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