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梅雨の洗濯
今日のアベミハ:洗濯物を干し終わった直後に雨が降ってきたので、キレながら超協力プレーで取り込む
#同棲してる2人の日常
https://shindanmaker.com/719224より




 天気予報を見たら、「曇り時々晴れ、ところにより雷雨またはにわか雨」って書かれてた。
「どんな天気だよ」
 阿部君がツッコむのを、うひっと笑って聞きながら、洗濯物をカゴに移す。
 梅雨明けはまだだけど、最近は晴れ間も多いし、台風だって来ていない。今は曇りだけど、東の空はほんのり明るく陽が差してて、きっと時々晴れるんだろうって思った。
 数日分の洗濯物をカゴに盛り、よいしょっと持ち上げてリビングに運び込む。
「窓、開けてー」
「おー」
 オレの頼みに、快くベランダの窓を開けてくれる阿部君。
 気が向けば手伝ってくれるし、干してくれるし、取り込んでくれるし、畳んでくれる。畳み方がちょっとかなり雑だったりもするけど、すごく頼りになる相棒、だ。

「こっちの端から干してくぞー」
 阿部君の言葉に、「お願い」って返事しながら、洗濯カゴからシャツを取り出す。
 ハンガーにかけてぴしっとしわを伸ばし、物干しざおに次々下げる。阿部君はフェイスタオルをバサッと拡げて、物干しハンガーにクリップで止めた。
 山盛りの洗濯物も、2人ならあっという間に干し終わる。
「はー、いっぱいあった、ねー」
 ため息をつきながら、やり遂げた達成感に浸ってると、いきなり空がどんより灰色になって来た。
 あれっ、って思うのと、ぽつっとベランダに雨が落ちるのと、ほぼ同時、で。次の瞬間、ザーッと音を立てて、とんでもない大雨が降って来た。
 ベランダに屋根はあるけど、どうしよう?

 悩んだのは、一瞬。
 ピカッと遠くの空に稲光が走るのを見て、阿部君が「三橋!」と大声を上げた。
「洗濯物、取り込め!」
「うん!」
 シャツを干したハンガーをざっと集め、どさっとハンガーごとカゴに入れる。
 阿部君は阿部君で、タオルがかかったまま、物干しハンガーを取り上げた。
 バスタオルを取り込むオレの後ろで、阿部君がガラッとベランダを開ける。
「タオル!」
「はい!」
「カゴ!」
「はい!」
 バケツリレーの要領で、洗濯物を全部取り込み、ベランダから非難した直後、ザァッと雨が横殴りになって、ベランダの窓をバラバラと打った。
 ドドーン。遠くで雷が鳴り、ますます雨足が強まる。

「なんだよ、天気予報」
 ちっ、と舌打ちする阿部君に、オレもこくこくうなずいた。
 せっかくキレイに干せたのに、って思うと、ちょっと残念だ。でも、雨に濡れずに取り込めてよかった。
 それに……。
「さ、さっきの連携、すごかった、ね」
 とっさのバケツリレーを思い出し、ふひっと笑みが漏れる。
 阿部君は「ああー?」って機嫌悪そうに窓の外を眺めてたけど、じきにふふっと頬を緩めた。
「そーだな、息ぴったりだったな」
「ねー」
 2人してうなずき合い、笑い合う。
 リビングの床に座り込み、ハンガーからシャツを抜き取って、もっかい洗濯カゴに入れると、阿部君が「よし」って立ち上がった。

「じゃあ、コインランドリー行くか」
 目の前に右手を伸ばされて、「うん」と返事してそれを掴む。
「ついでに、デートしようぜ」
 そんな嬉しいこと言ってくれる阿部君は、息ぴったりの相棒で、最高の恋人だ。
 突然の雷雨は洗濯物に優しくないけど、梅雨明けも近いと思うと悪くない。
 ざーざー降りの雨を見ながら、さっきの連携を思い出し、小さな幸せにちょっと浸った。

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