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落書き
今日のアベミハ:相手が寝てる間に顔に落書きする(油性)
#同棲してる2人の日常
https://shindanmaker.com/719224
朝起きたらリビングで、ラグの上に大の字になってた。
「……あれ?」
なんでリビングで寝てるんだ?
昨日どうしたっけ?
記憶を探りながらむくっと起き上がると、同時にズキーンと差し込むような激痛が頭を襲う。
「いっ……てぇ」
頭を抑えつつリビングを見回すと、まず目に入ったのは、ローテーブルに突っ伏してる同棲中の恋人だ。
その周りにはビールの500ml缶がいっぱい転がってて、そういや飲んだっけー、と思い出す。
3連休の2日めだからって、調子に乗ってビールを飲み過ぎたらしい。
この間三橋が貰って来たお中元のおすそ分けビールが、早くも全部飲み干されてた。
「はー、よく飲んだな」
我ながら呆れつつ、ビールの空き缶を流しの中に持っていく。
歩くとちょっと頭が痛ぇけど、薬飲むほどでもねぇだろう。口の中の気持ち悪さをすすぐべく、歯磨きしようと洗面台に行って――そこで、鏡を見てビックリした。
「はあっ!?」
思わず大声を上げ、鏡の中を凝視する。
そこに映ったオレの顔は、眉毛がげじげじにくっついてて、こめかみに怒りマークが描かれてた。その下には「こらー」ってひらがなでセリフまで書かれてて、ビキッと血管が浮き上がる。
念の為に洗ってみたけど、眉もこめかみのも落ちなくて、油性マジックだと分かった。
「みーはーしー……」
犯人の名前を呼ぶ声が、腹の奥底から低く響く。
ウメボシだけが罰だと思うなよ!?
「こら、起きろ!」
ローテーブルに突っ伏したままの、呑気な恋人をぼかっと殴ると、三橋は「ふえっ!?」と奇声を上げて、キョロキョロと周りを見回した。
その間抜けな様子に、ぐわーっと盛り上がりかけてた怒りが、しゅうっと収まる。代わりにこみ上げてきたのは、抑えようのねぇ笑いだ。
「おっ前、なんだその顔?」
ぶはっと吹き出して、ゲラゲラと笑うと、三橋がむうっと唇をとがらせる。
そのデカい口の周りには、明らかに油性ペンでドロボウヒゲが描かれてて。両頬には3本ずつ、猫のヒゲも足されてた。
犯人は誰かっつったらオレしかいねーんだろうけど、まったく記憶にねぇ。
いつの間に描いたんだって考えても、何も思い浮かばねぇから、きっと酔ってる最中にやったんだろう。
「あ、べ君、格好よくなってる、ぞ」
オレの顔見て、うひっと笑ってるけど、どう見ても三橋の顔の方がヒデェ。
「どっちが格好いいか、鏡見て来いよ」
息も絶え絶えに笑いながら、洗面所に向かうよう三橋を促す。
首をかしげながら鏡を見た三橋が、悲鳴を上げるのは間もなくのこと。「ひ、どい!」って涙目で言われたけど、どっちもどっちだし。
落書きを落とす方法も、笑い過ぎて腹が痛くて、今はちょっと思いつきそうになかった。
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