拍手Log 梅雨のある日 お題は診断メーカー様: 今日のアベミハ:暇なのでてるてる坊主を大量に作った #同棲してる2人の日常 https://shindanmaker.com/719224 より いつものように阿部君と2人で買い物に行って、それから家に帰ってお昼ご飯を食べた。いつもの休日の、穏やかな午後だ。 借りた映画を一緒に見たり、持ち帰りの仕事したり、ネットで情報集めたり、そんな感じでのんびり過ごす。 天気が良ければ散歩したり、キャッチボールしたりもするけど、あいにく今日は曇り空だ。 降水確率は50%。天気予報では、「曇り時々晴れで、所によりにわか雨もあるでしょう」って。晴れるのか雨なのか、どっちなのって感じだった。 まだ梅雨明けしてないし、仕方ないんだけど、むーんと蒸し暑くて過ごしにくい。 カンカン照りよりは涼しいし、散歩にはいいかもなんだけど、あまり洗濯には優しくなかった。 ベランダには、オレたち2人の1週間分の洗濯物が並んでる。 さっき見たけど、まだちゃんと乾いてなくて、取り込めるまではもうちょっとかかりそう。 でもお天気は不安で――。だから2人して、リビングでゴロゴロしながら、洗濯ものの番をしてる感じだ。 「もういっそ、乾燥機買うか?」 阿部君の言葉に、「そう、だね」とうなずきながら、手慰みにティッシュを丸める。 丸めたティッシュをティッシュで包み、輪ゴムで縛ると、のっぺらぼうのテルテル坊主の出来上がり、だ。 使ったのは、この間阿部君がごそっと貰って来た、質の悪いポケットティッシュ。 ガサガサで、ちょっと口元をぬぐっただけでヒリヒリして来て、顔には絶対使えない。無料で貰った物に、文句付けるのはおかしいかもだけど、ヒドかった。 通りがかっただけで大量に貰ったのって、大量に余ってたせいじゃないの、かな? トイレットペーパーよりはマシだけど、水に溶けない分、トイレットペーパーよりも使い道はなくて、テルテル坊主にするのも、惜しくない。 「か、乾燥機、買うなら、ドラム式のにしたい」 ぼそっと阿部君に自分の希望を伝えながら、ペン立てから油性ペンを取り出す。 「ドラム式かぁ、高くねぇ?」 「高い、ねー」 適当に相槌を打ちながら、油性ペンで顔を描くと、阿部君に似せようと思ったのに、ちょっと見せられない感じになった。 無言でテーブルに置き、ポケットティッシュをまた1枚抜き出して、丸める。丸めたものにティッシュをかぶせ、輪ゴムできゅきゅっと首を絞める。 ちなみにこの輪ゴムは、スーパーで野菜やお総菜や弁当を買うと、もれなく色つきのがついて来る。 あんま長持ちしないゴムだけど、テルテル坊主にはちょうどいい。 出来上がったモノに、再び顔を描くべく油性ペンのキャップを開けると、目を描こうとした瞬間、「何やってんだ?」って声かけられてドキッとした。 「う、お」 垂れ目にしようとしたのに、すっごくヘンタイっぽいのになっちゃった。 慌ててバッと隠すと、さっきの失敗作を手に取られ、阿部君にぶはっと笑われる。 「おっ前、下手くそだな」 くくっと笑われて、むうっと唇を尖らせるオレの前で、阿部君がティッシュを1枚取り出す。 大きな手の中で適当に丸められたそれは、どう見ても丸じゃなくて、すっごいイビツだ。しかも頭、デカい。 「それじゃ、きっとひっくり返る、よー」 言いながら、自分も負けじとティシュを取り出す。 「こ、これくらい、ちゃんと丸くしない、と」 「いーんだよ、適当で」 言い合い、見せ合いながら競うようにティッシュを取り出し、テルテル坊主を作り合って――気が付くと、すっごくいっぱいのテルテル坊主がテーブルの上に積みあがってた。 「……なんでオレら、こんないっぱい作ったんだ?」 「暇、だから?」 首をかしげつつ、1個1個の顔を見ると、なんだかすごく無茶苦茶で、かわいそうだけどすごく笑えた。 笑えたけど、ご利益はあったみたい。 「お、晴れたな」 阿部君の言葉に目を向けると、さっきまでどんより雲ってた窓の向こうに、すっきりな青空が広がってた。 [次へ#] |