拍手Log 三橋君と裸白衣 お風呂のお湯の溜まる音が鳴っても、阿部さんはなかなか「風呂行こうか」って言い出さなかった。 何してたかって言うと、コーヒー飲んだり……キス、したり。 あぐらをかいた阿部さんのヒザの上に乗せられて、服の下に手を差し込まれ、胸とか背中とかを撫で回されたりしてた。 首筋に唇を這わされると、あっという間に全身が熱くなって困る。お風呂もまだだし、今日はえっちできない日、なのに。 「ふあ、だ、ダメ、です……」 上ずった声で言っても、牽制にはならないみたい。 「分かってるって」 阿部さんはそう言って、くくっと笑いながらも手加減してはくれなかった。 それでも、触られたのが上半身だけだったから、まだ手加減されてた方なの、かな? ジーンズがキツくなるくらい勃起してたけど、そこを触られたり、脱がされたりはしなかった。 実を言うとちょっと辛かった、けど……「辛い」なんて言っちゃったら、何されるか分かんない、し。 阿部さん、時々意地悪だから、言えなかった。 そのうち、洗濯機がピーと鳴って、阿部さんの執拗な愛撫もやんだ。 もしかして、洗濯が終わるの待ってたの、かな? いつもなら乾燥も一緒にすませちゃうから、もっと時間かかるハズ、なのに。今日は乾燥、しないの、かな? ぼーっとしながら考えてたら、ヒザから降ろされてシャツを脱がされた。 「風呂行くぞ」 促されて、立たされる。 ベルトに手を掛けられて、慌てて「自分で脱げます」って言ったんだけど、聞いて貰えなかった。 恥ずかしがるの分かってるくせに、意地悪、だ。 阿部さんはオレの抵抗を軽くいなして、手際よくジーンズを引きおろし、あっという間に下着1枚の姿にした。 下着には、さっきの愛撫のせいで、恥ずかしい染みが付いていて――カァッと顔が熱くなる。 「どうした、それ?」 とか、訊かないで欲しい。阿部さんのせい、なの、に。 格好いい顔でふふっと笑われて、意地悪なのに大好きで、背中がぶるっと震えた。 阿部さんが服を脱いでる間に、オレは先に浴室に入った。 はしたなく勃起してるの、知られてるって分かってるけど、見られたくなかった。 間もなく、バタンと音がして、阿部さんが洗濯乾燥機の戸を閉めたと分かった。 あれ? 何したんだろう? 振り向くと、ちょうど阿部さんが戸を開けて入って来るところだった。 何か白いモノを小脇に抱えてて、何だろうと思う。今、洗濯機から出したんだよね? タオル? シーツ? それともワイシャツかな? 「それ、は?」 首をかしげて尋ねると、ニヤッと笑われてドキッとした。 「お仕置きって言っただろ?」 って。洗濯の終わって濡れた白衣を、びろっと目の前に拡げられる。 『赤い肌に白い白衣か』 1時間前に言われた意地悪なセリフが、頭の中によみがえる。 「う、え……」 1歩退がろうとしたけど、狭い浴室内に逃げられる場所はどこにもなく、て。 優しく、でもキッパリと、「着てみて」って言われれば、もう受け取るしかなかった。 濡れた白衣に恐る恐る袖を通すと、冷たくてぶるっとした。洗濯したばかりなんだから、当たり前か。温水で洗うんじゃない、もんね。 濡れた布がペトッと肌に貼り付いて来て、余計冷たい。 「これ、ボタン、は……?」 ためらいながら1つハメたところで、阿部さんに「冷てーか?」って訊かれた。 うなずく前に、キュッとコックを捻る音がして、体にシャワーを浴びせられる。 「冷えたら困るからな」 って。そう思うなら、白衣、脱がせてくれればいい、のに。 でも、文句は言えなかった。キスされる。 温かいシャワーが白衣を濡らし、ゆっくりオレを温める。 冷たい白衣のせいで萎えかけたモノが、阿部さんの勃起してるのを見て、またギンギンに張り詰めた。 えっちできないのは分かってる、けど。どうしよう、触りたいし、触って欲しい。 「阿部、さん……」 白衣の胸元をギュッと握った時――。 「ははっ、スゲー可愛いぞ、三橋」 阿部さんが機嫌よく言って、ちゅっとキスをしてくれた。 「ふえ?」 可愛い? 不思議に思いながら視線を落として、ギョッとする。「うわっ」って悲鳴を上げても、もう遅い。 オレの着た白衣は、たっぷりお湯を吸って透けてて。肌に貼り付いて、とんでもない状況になっていた。 これは実験用の白衣だから、生地が割と分厚い。だから、いくら白だっていっても、YシャツやTシャツみたいに透け透けにはならない。 ならない、けど……。 「乳首、勃ってんのが薄っすら見えるな」 嬉しそうな阿部さんの言葉に、ドキドキして苦しい。 「透けそうで絶妙に透けねーのがエロい」 って。 白衣の上から乳首をつままれ、オレは「ふわっ」と悲鳴を上げた。 シャワーがやむ。 浴室の壁に押し付けられ、勃起した股間を、ヒザでぐりっと刺激される。 「あっ、ふわっ、阿部さん……」 オレは射精したくて切なくて、訳が分かんなくなって彼に縋った。 抱き締められ、上を向かされてキスされて、どうしようもなくゾクゾクする。 おかしくなりそう。 触って欲しい。 でも――いつもならとうに、大きな手のひらで包まれて射精させられてる頃なのに、いつまで経っても「イッていい」とは言われなかった。 「お仕置きだ」 響きのいい低い声が、残酷にオレに言った。 「根元を握って、勝手に出さねーようにしとけ」 「うえっ? そ、そんな」 眉を下げて抗議してみてもダメだった。 肩を押され、床に座らされたオレの目の前に、巨きくそそり立ったモノがあてがわれる。 「オレをイカせたら、お前もイッていーぜ」 そんな、阿部さん、遅めなのに――。そう思ったけど。 「イヤです」なんて言えなかった。 オレはごくりと生唾を呑み込み、素直に大きく口を開けた。 (続く) [*前へ][次へ#] |