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三橋君と夜のお仕置き (R18)
 ずるっ、と抜かれる感触でハッと目が覚めた。
「んっ!」
 いつもより太くて固くて、まだ萎えてないんだって分かる。
 オレはお尻だけ高く上げたような格好で、全裸で、うつ伏せになって寝てたみたい。
 寝てたって言うか……気を失ってた? えっ、いつからだろう?
 とにかく阿部さん、なかなかイッてくれなくて。いつもよりかなり激しく、かなり長く、えっちしてたのは確かだ。
 後ろにいる阿部さんの息が荒い。
 一応は射精したの、かな? 使い終わったゴムを捨ててる気配。それとも外れた? まさか破れたとかはない、と思う、けど。

 だるい腰を布団に倒し、のろのろと後ろを振り向くと……阿部さんと目が合って、ドキンとした。
「起きたか」
 汗まみれの阿部さんは、ゆっくりと息をしながら精悍に笑った。
 でもまだちょっと、余裕ないみたい。オレを見る目が熱っぽい。獲物を見るように見つめられて、オレの胸も熱くなる。
 布団に手を突いて身を起こすと、付けてたゴムが緩んでた。
 萎えたオレの陰茎から、重みのせいでベチョッと落ちる。

 うわ、我ながらいっぱい出したんだな。ほとんど覚えてないのが怖い。
 拾い上げて口を結びながら、阿部さんは、と見ると、やっぱりさっき外したゴムは空で……。
「あの、イケてないんです、か?」
 恐る恐る訊くと、「ああ」ってニヤッと笑われた。でも、目が笑ってない。
「なんかずれて来た気がして、1度換えようと思ったんだよ」
 って。
 見せつけるようにアルミパックを歯で破られて、またドキッとした。

「お前はいっぱい出したなぁ」
 なんて、責めるように言わないで欲しい。
「まだ出るか?」
 とか。
 意地悪に笑いながら、阿部さんがまた、オレの陰茎にゴムを付け直してくれた。半勃ちだったのが、太い指に触られて大きくなる。
 嬉しいけど恥ずかしい。阿部さんのだとちょっとゆるい、し。

 けど――。
「じゃ、じゃあ、阿部さんのは、オレが」
 そう言ってゴムの箱に伸ばしかけたオレの手を、「いらねぇ」って阿部さんが掴んだ。
 そのままぐいっと起こされて、また布団に押し倒される。
「ふわっ」
 ビックリして目を閉じると、そのままキスされた。深く差し込まれた肉厚の舌が、オレの口内をぐるっと舐める。
 その間、阿部さんの手はオレの太ももの内側を撫でてて――。

 糸を引いて離れた唇が、ニッと笑みを作った。

「どうせ出ねーし、いらねーだろ?」
「えっ?」
 出ない? いらない? 何が?
 と、訊くまでもなく片足首を掴まれて、ぐいっと脚を開かされた。
 来る、と期待に息を詰めた瞬間、ずずっと挿れられる。
「あっ」
 気絶してる間に、ローションか何か塗り込まれたのかな? 体のなかでぐちゅっとはしたない音がして、難なく阿部さんを受け入れた。

 あ、ナマだ、と悟ると同時に、さっきの言葉の意味も分かった。
 間もなく阿部さんが動き始めて、オレはまたさっきみたいに、自分の両手で口を塞いだ。
 どうしよう、やっぱりナマの方が気持ちイイ。
 肉と肉がこすれて、固いのに柔らかくて、溶けそうに気持ちイイ。
 阿部さんは余裕がないみたいで、オレを焦らすこともなく、一気に動きを早くする。
 オレはたちまち追い上げられて、悲鳴を噛み殺すのに必死だった。

「気持ちイイな」
 阿部さんがそう言って、オレの背中を抱き締めた。そのままぎゅっと拘束されて、結合が深くなってビクビクと震える。
「はっ……あっ」
 両手で押さえた口元から、消しきれない喘ぎ声が漏れた。
 イイトコばかりを集中して突かれて、ぶんぶんと首を振る。だって、オレだけ気持ちよくなっても仕方ない、のに。
「待っ、て」
 片手で阿部さんに縋る。
 もっとゆっくりして欲しい。

 でもそんな勝手な願いは、今の余裕のない阿部さんに聞いて貰えるハズもなくて。
 大きな手で口を塞がれ、容赦なく無茶苦茶に揺すられた。
 阿部さんの息が切れるまで、それは続いて――。
「んんんんっ、んんーっ」
 オレは阿部さんの手のひらの下、善がり声を上げ続けた。ここがどこかとか、廊下に声が漏れるとか、もう全部意識の外だった。

 快感と酸欠で、閉じた目の奥が赤くなる。
 何度も全身を駆け抜けるスパーク。
 さっき、火花が出そうって思うくらいにこすられた場所が、ローションのせいかナマのせいか、ジュルジュルと滑る。
 ズンズンと突かれて、中をこね回されて、きっと今にも泡が立ちそう。

「んんんんんーっ! あっ」
 口を封じる大きな手を振り切って、オレはもうたまんなくて、阿部さんに縋った。
「阿部さんっ」
 抑えた声で呼ぶと同時に、ぐいっと抱き寄せられて起こされた。
 ヒザに乗り上げた状態で、キスされる。
 最奥まで串刺しにされて喘いだオレに――阿部さんが言った。

「お前、さっきオレが寝てる間に、女と浮気してただろ?」

 その手には、いつの間にか脱がされてたオレの浴衣があって。ぐいっと顔に押し付けられ、花のような移り香を嗅がされた。
 あっ、と思い出したのは、散歩中に会ったちょっと強引な女の子2人だ。
 断りきれずにビールは呑んだけど、えっ、浮気じゃない、よね?
「こ、これは違っ! んっ!」
 言い訳しようとした瞬間、強く腰を掴まれ、揺らされて言葉に詰まる。
 恐る恐る顔を見ると、阿部さんは整った顔に凶悪な笑みを浮かべてた。

 ホントのホントに誤解されてる訳じゃなさそうだけど……。

 ……怒ってるのが、よく分かった。

(続く)

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