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Season企画小説
チョコなオブジェクト・後編 (R18)
 二人きりの部室に、じゅぼっじゅぼっと淫らな音が響く。
「んんっふ、んふ、んん」
 三橋が、オレのを一心不乱にしゃぶりながら、興奮にまみれた声を漏らす。
 上体を支えて畳に突いた手が、じんじん痺れてきた。マジ、底冷えハンパねぇ。
 けど、寒ぃからって「やめろ」って言う気になれねーのは、やっぱご無沙汰だったからだ。別に禁欲気取ってた訳じゃねーけど、なかなか時間も取れなくて……。
「はっ……、三橋っ」
 猫毛を掴んで動きを止めると、三橋が上目遣いでこっちを見た。「んんーん」とくわえたまま抗議してくんの、こいつホント、しゃぶんのが好きだ。

「なあ、もういーよ」
「やら」
 ヤダ、じゃねーよ。それに、くわえたまま喋んなっつの。
「じっとしてっと寒ぃんだよ。ほら、交代」
 オレは強引にそう言って、三橋を畳に転がした。
「あっ、やだ」
 抵抗して起き上がろうとしたけど、三橋の股間も、もう張り詰めてんのがビンビンに分かる。
 自分がされたようにベルトを外し、三橋のモノを掴み出してやると、触ってもねーのに、もう先走りで濡れていた。

「あ……べくん、阿部君、阿部君」
 仰向けに寝転がったまま、三橋がイヤイヤと首を振った。
 イヤなんじゃねぇ。欲しがってる。
 でも――。
「欲しいのは、こっちだろ?」
 オレは、勃起したモノには触らねぇまま、三橋の細腰を引き上げるようにぐいっと横向けた。そして、厚手のパンツを下着ごと引き下ろす。
 いつもなら、全部脱がしてやるとこだけど、寒ぃから、ちょっとだけ。

 白い引き締まった尻たぶを揉みながら広げ、割れ目のすぐ奥に潜む蕾に触れる。
「あっ」
 三橋の声も、期待に満ちている。
 そんなつもりじゃなかったから、濡らせる物は何もなくて、仕方なく唾液だけを指に絡める。
 口に含んだ指は我ながらヒドく冷たくて、これじゃ三橋が可哀想かと思ったけど、今更もうやめらんねーし。
「冷てーけど、我慢な」
 そう予告しながら中指をゆっくり埋めると、こいつの中、スゲー温けぇ。やっぱ指が冷たかったのか、三橋が「ひあっ」と声を上げた。きゅうっと穴が締まる。
 三橋が達して、畳を汚したのが分かった。

「はは、冷てーのよかったか?」
 指を増やしながら訊いてやると、三橋が「ちがっ」とオレを見上げた。
「イジ、ワル」
「はっ」
 拗ねた顔が可愛くて、萎えかけてたモノが張り詰める。
 ちくしょーと思って、2本の指でイイトコを突いてやったら、「んああっ」と高くイイ声で啼いた。

 横倒しだった体を、四つ這いにさせる。
 ダッフルコートをまくり上げると、白い尻が誘うように揺れる。
 3本の指を飲み込んで、蕾がいやらしく開かれる。
「三橋っ」
 指を入れ込んだまま、オレは三橋に言った。
「もっかい舐めて。たっぷり唾つけろよ」
 三橋は素直にそれに従い、オレのを再び口にくわえた。でも、吸い付かねぇ。しゃぶんの好きだけど、挿れて貰うのはもっと好きらしい。
 オレも……こっちのが好きだ。

 はあ、と息を吐く。白い。
 寒いのに、興奮で湯気が立ちそうだ。
 三橋に手を貸して立たせ、壁に手を突かせる。三橋の唾液でぬらぬら濡れたモノを、開きかけの蕾に押し当てる。
 挿れるぞ、なんて言う必要もねぇ。
 待ってるの知ってる。
 知ってるから――遠慮なく、貫いた。

「ああああんっ」
 三橋がまた射精して、壁に白濁が飛び散った。
「服、汚れてねーか?」
 ゆっくり動きながら訊いたら、三橋は喘ぎながら首を振った。
「わ、かんない、ああっ」

 オレの攻めるのに併せて、高い声が部室に響く。
 いつもなら気にするだろう他人の耳も、気配も、何もねぇ2月の日曜日。
「もっと、もっと、奥、奥っ」
 三橋がどんな顔でねだってんのか、見てぇけど見えねぇ。
 ダッフルコートの背中が揺れる。
「んあうっ」
 セーターの隙間から手を差し込んで肌に這わすと、三橋はのけ反って高く啼いた。

 運動中なせいか、まさぐった肌はしっとりと汗ばんでて、ほてってるようだった。
 オレも暑い気がする。
 キスが欲しい。
「こっち向け」
 顔掴んで無理矢理こっち向かせたら、三橋も同じだったのか、長く赤い舌をちろちろ出してオレの唇に吸い付いて来た。
 上からも下からも三橋に吸い付かれて、犯してんのか犯されてんのか、もう気持ち良けりゃいいかって感じ。
「ふううんん、んんふ」
 三橋がエロい声で、キスしながら喘いでる。
「ふうう、ふわ、あっ」
 声に促されて揺さぶんの早くしたら、キスがほどけて、三橋が呻いた。

「ああああ、あっ。ふ、ああああ、あっ」
 細腰を掴み、激しく奥を突き上げて啼かす。三橋がガクンとヒザを崩した。
 でも、構っていらんねぇ。オレの方も限界が近くて、もう出すことしか考えらんねぇ。
 攻める。
 突き上げる。
 貫いて、こする。

「三橋、三橋! 出す、出すぞ!」

 呼びかけても返事はねぇ。もう、すすり泣きしか聞こえねぇ。
「出るっ」
 引き抜いた瞬間、白濁が溢れた。
 手のひらで勢いを殺すけど、ぼたぼたと落ちて床を汚す。
 三橋はもう、尻をなまめかしく突き上げたまま、床に崩れ落ちていた。
 はあはあと、互いの息だけが荒く、白く、吐き出されては宙に消えた。

 どさっと尻餅をついてから、努めて息を整える。
 左手はでろでろだし、畳も壁も、オレと三橋のでヒドイ有様だ。
 幸い、置きタオルが三橋のロッカーにあったんで、それを濡らして全部きれいに拭き取った。
 外は雪が降り始めてた。
 でも、たっぷり運動したせいで、もう寒いとは思わなかった。

「落ち着いたか?」
 全部片付けを済ませてから抱き締めてキスしてやったら、三橋が恥ずかしそうにうなずいた。
「うん、ご、ごめん、オレ……」
 ホントごめんだよな、最初のがっつき、怖ぇくらいだったし。
「いーけどさ。来年は、もうちょっとまともなチョコ作ってくれよ」
 そう言うと、三橋は嬉しそうに笑った。


 雪が降ってるし、夕暮れも近付いてたから、オレ達はさっさと部室を出た。
 帰り道にコンビニ寄って、肉まん食べたりして。それから、三橋の家まで送ってって、こっそり長いキスして別れた。
 部室でセックスしたり、畳汚したり、コート着たままだったり……そういう背徳感に興奮してたせいなんだろう。オレとしたことが、あの卑猥チョコ、持って帰んの忘れちまった。

 それに気付いたのは翌朝、アレを発見した誰かが大騒ぎしてからで――。
 けどオレも三橋も、真っ赤になりながら、「知らねぇ」って言い張るしかできなかった。

  (終)

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