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Season企画小説
節分・鬼パーティ・3
 司会がゲーム大会っつったから、てっきり定番のビンゴでもやんのかと思ったけど、残念ながら違ったらしい。
 まず始まったのは、自己紹介。つってもフルネームでもねーし、「しまんとでーす」とか「オニボクでーす」とか、名前じゃねーだろ、ってのばっかだった。意味があるのかどうなのか分かんねぇ。
 しかもしりとりゲームを兼ねてて、しまんとの「と」から始まるよう、「酉年生まれのオニボクでーす」とか、「クッキー大好き〇〇でーす」とか、言わなきゃいけねーのが面倒臭ぇ。
 オレの前は「イツキです」って名乗った先輩だったから、適当に「キャッチャーやってます、タカです」っつっといた。
 順番に名前言って回るよりはマシかも知んねーけど、一々しりとりにしてく意味が分かんねぇ。こんな大勢で名乗りあう意味も分かんねぇ。
 ただまあ、あのボンデージの名前が分かったのはよかった。
「りっ、りっ、リンゴ! ……えっと……レンです」
 って。しりとりに気ィ取られて、しどろもどろになってて、リンゴより赤くなってて目立ってた。
 煽情的で挑戦的な格好してんのに、やっぱアンバランスで危うくて、どうにも目が離せねぇ。
 レンのドモりっぷりに皆がドッと笑って、「可愛い〜」なんて声も聞こえてくる。

 先輩にも言われた。
「お前が言ってたボンデージって、アレ?」
 素直に「そうっス」って答えると、なんか「へえ〜」って生温い目を向けられたけど、オレの目はほぼあっちに釘付けだったから気になんねぇ。
 それより、アイツの周りにいる連中の方が気になった。
 あのボンデージを着せたっつーイトコだろうか? 黒と白のゴスロリの格好してる女が、うずくまるアイツの前に立って何やら偉そうに喋ってる。
 何話してんのか気になってゆっくり近付くと、「レンレン」なんて呼ばれてる。
「レンレンって、言うな」
「言われたくないならシャキッとしてよ」
 ゴスロリ女に言い返され、ふむーと不服そうに唸るレンレン。意外と対等っぽい会話だけど、イトコっつーならそんなモンだろうか。
 2人の間にほんわかした好意っぽいのは感じらんねーけど、仲良さげなのにはモヤッとする。

 声をかけるタイミングを計ってると、いつの間にか自己紹介タイムは終わってたらしい。今度はクイズをやるとかで、羽織袴の司会の鬼が再びステージの上に立った。
『では今から、クイズ大会を始めます。ちょっとエッチに聞こえるけどエロじゃない、健全な皆様に健全な答えをお願いします』
 司会の言葉に、「わー」とか「おー」とか歓声が上がる。
 ひゅーひゅーと囃し声を上げてんのは、主催者側の身内なんだろうか? サクラっぽいわざとらしさが気にはなったけど、しーんとするよりはマシかも知んねぇ。
 レンって名乗ったボンデージの男は、周りの様子に押されるようにあわあわと立ち上がり、きょどきょどと視線を揺らした。
 オレと目が合ったのは、その時だ。
 「あ」って顔してオレを見て、ぎくしゃくと小さく会釈するレン。その顔はもうじんわりピンクに染まりつつあって、ボンデージなのにウブっぽくて可愛い。
 「よお」って声かけて隣に立つと、「ど、どう、も」って小声で返事をくれる。まあ、さっきの今だし当然だけど、ちゃんとオレの顔覚えてたみてーだ。

 オレらのやり取りに気付いたのか、ゴスロリ女がオレの方を振り向いた。イトコなのは疑いようもねぇくらい、顔がそっくりでちょっと笑える。
「レンレン、知り合い?」
「どーも、タカです」
 先んじて名乗り、レンの肩に腕を回す。
 裸でむき出しの白い肩は、骨っぽくて華奢で、でもちゃんと男の骨格で、すげーすべすべで触り心地よかった。
「ふーん……」
 ゴスロリ女はオレとイトコとを見比べてから、にこっと愛想笑いを浮かべた。
「ルリです。こっちはイトコのレン。レンは人見知りで口下手だけど、悪い子じゃないので、よろしくお願いします」
 ぺこりと挨拶されりゃ、オレの方も「ああ」とうなずくのが自然の流れだ。
 どうやらこのゴスロリ女は、イトコにくっ付いとくつもりはねぇらしい。オレにあっさりと隣を譲り、イトコに「じゃーね」と手を振って、他の知り合いんとこに去ってった。

 あっさりしてんなぁと思ったけど、勿論、オレとしては好都合だし異論はねぇ。
 放置されて「うええっ」って焦ってるレンをよそに、司会者の鬼が問題文を読み上げる。
『第1問、入れるとどんどん体が熱くなるボウは……』
 オレはステージをちらりと」見て、「ほら、始まるぞ」ってレンの肩を軽く撫でた4。
 するんとした肌はほんのり冷えてて、頼りなさげで寒そう。暖めてやろうかって気になって、ふっと笑える。
「挿れるとカラダが熱くなる棒って、アレだよな」
 くくっと笑いながら耳元で囁くと、レンの耳がじわじわと赤くなった。
 クイズ自体はくだらねぇダジャレだけど、こうして純情なヤツを間近でつつけるとすると悪くねぇ。
『濡れてないと痛くて入らないモノは?』
 とか。
『毛の生えた棒を中で動かすと、中は白いモノでいっぱい。これ何してる?』
 とか。
「えー、何だろな?」
 くくっと笑いながらレンに話しかけ、その不慣れでウブな反応を楽しむ。ここにいるってことは成人済みだろうに、すげー可愛い。

「しっ、しっ、知ら、ない」
 顔を真っ赤にしてる時点で、何を連想したかはお察しだけど、そこまでツッコんで問い詰めてやる程オレの方も鬼じゃねぇ。
 ただ、「顔真っ赤」って頬に触れるくらいはセーフだろう。
 遠目から見ても煽情的な格好だけど、間近で見るとますますエロいボンデージ。
 ぱつぱつのショートパンツの股間は自然にふっくらしてて、イチモツの存在を表してる。それが勃起したらどんな感じになんのか……はみ出しちまったりしねーのかとか考えんのは、男として当然の興味だ。
 肩からウェストへと腕を移して、その細さを確かめる。
 女のくびれなんか別にどうでもいいけど、こいつのこの細さにはすげーそそられてたまんねぇ。
 司会の出すくだらねぇクイズにも、もう興味は湧かなかった。
「お前、何歳? どこ住んでんの?」
 クイズの答えより、こいつの返事の方が気になる。できればもっと一緒にいて、いろんな顔を見たかった。

(続く)

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あきゅろす。
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