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Season企画小説
夢幻・4 (R18)
 くったりと力を抜いた恋人の腰を、ぐっと掴んで引き寄せる。
 三橋が達したからって、そこで攻める手を休める気にはなれねぇ。射精した瞬間、きゅうっと締め付けられて「はっ」と息を詰めはしたけど、もっと長く楽しみたかった。
「イッたな」
 荒い息のまま囁いて、白い体を更に揺さぶる。
 強く突き上げると「あっ」って声が上がんのがイイ。達する前までの切羽詰まった感じじゃねーけど、これはこれでまた可愛い。
 オレの突き上げに合わせて、力の抜けた手足がバラバラと跳ねる。
 ぽっかり空いたままの口に舌を差し込むと、口中も熱くてとろりと甘ぇ。
「し、しろ、あい、いろ……」
 うわ言みてーにか細く呟く三橋は、その閉じたまぶたの奥にどんな景色を見てんだろう。
 ふっと笑ってキスを落とし、快感を追おうと腰を進める。
 なにしろおよそ2ヶ月ぶりだし。突っ込んで揺すって終わりって感じにしたくねぇ。たっぷり時間を掛けて、この甘い体を味わいてぇ。

「三橋、オレはまだイッてねーぞ」
 ぽおっとした頬を撫で、ゆるく揺すりながら上からその顔を覗き込むと、「ふあ……」って弱々しい声が返った。
 さっきまで、ひっきりなしに上げてたのとは違う声。オレの背中に腕を回す力もなくて、翻弄されるままでいるのが愛おしい。コイツをそうさせたのが自分だって思うと、それだけでもうグッと来る。
「しろ……、あっ、たま、ご……」
「卵?」
 意味のワカンネー呟きに笑いつつ、ぎゅっとその体を抱き締める。ちょっと息を整えようと、揺さぶりを止めて息を吐くと――。

「タマゴ、だっ!」
 今までくったりと横たわるままだった三橋が、突然ガバッと跳ね起きて、オレの下から抜け出した。

 突飛な行動に付いてけなくて、身をよじられて交接が解かれる。
 自分で引き抜いておきながら、びくんと一瞬震える体。けどそれを捕まえるより先に、三橋がするんとベッドから降りて、よろめきながら去って行く。
「は? ……はあっ!?」
 ベッドに1人残されて、どうしろっつーんだろう。
 不覚にも呆然としちまった耳に、とてとてと不器用に階段を降りる音が届く。
 よろめきながら階段を降りる様子が頭に浮かび、慌てて敷いてたタオルを引っ掴んで後を追うと――三橋は同じく裸のまま、アトリエの灯りを点けて既に絵筆を握ってた。

「……オレ、まだイッてねーんだけど?」
 低い声での呟きに、三橋からの返事はねぇ。
 イーゼルにいつも立てかけてある真っ白なキャンバスに、直接塗られていく深い青。
 幾つもの色が塗り重ねられ、やがて青はキレイな藍色になり、端に向かって深みを増した。中央に丸く残された部分は白いけど、きっとこの白も三橋の思う「白」じゃねーんだろう。
 頭の中にある「白」を表現するためには、他の色を塗り重ねてくのがきっと必要で、それには藍色よりも更に時間がかかる事なんだろう。
 けど、オレは画家じゃねーし、それを待ってやれる程寛容でもなかった。
 絵筆を止めたのを見計らい、さっとそれを取り上げる。
「さあ、休憩しよーか」
 きっぱりと宣言して後ろから腰を抱き、固いモノを押し付けると、「ふえっ?」って驚かれてニヤッとなった。

 1面がカラス張りのアトリエ、窓ガラスの向こうは夜の庭。外から見たら丸見えだけど、全裸でここにいる以上は今更だ。
 待ってる間に一旦は萎えかけたモノも、十分なくらいにビンビンだし。気持ちも十分高まってる。
 せっかくのローションはすっかり乾いちまってるようだけど、もっと注ぎ足せばいいだけの話だし、再開させる障害にはならねぇ。
 ベッドから持って来たローションを勃起したモノにまとわせ、一息に貫く。
「ああっ、待ってっ」
 ガラス張りのアトリエに響く悲鳴。明るく広い室内に、不似合いな画家の嬌声が響く。
「もう待った」
 そして、これ以上はもう待たねぇ。
 後ろから両腕を掴み、容赦なく突き上げると、三橋は立ったままピンと体を引きつらせ、可愛く高い啼き声を漏らした。

 体勢を変える気になったのは、待望の1発目を終えた後だ。
「ベッ、ド、ベッド、でっ」
 善がり声を上げながら、三橋にねだられて一旦引き抜く。
 1度達したくらいじゃまだまだ治まりそうにねーし、体位を変えて続きをすんのは望むところだ。ただ、ベッドに行くのを許す気にはなれねぇ。
「ほら、ベッドな」
 寝室から持って来た大判のタオルを敷いてやるだけ、親切だと思って欲しい。
 空調の利いたアトリエは裸でいんのには肌寒ぃけど、夢中になってる内に温まる。
「うあ、これじゃ……」
 これはベッドじゃねぇとか何とか、無駄なあがきを始める恋人を引っ掴み、今度こそ逃がさずに留めたのは当然の行動だ。

「はぁい、ゴロンしてくださーい」
 努めて優しい口調で命じ、タオルの上に引き倒す。
 三橋は逃げようとしてか四つん這いになったけど、こっちにぷりんと向けられる尻も、熟れて色付いたつぼみも、男を誘ってるようにしか見えなかった。
 丸くて白い尻を掴み、遠慮なく覆い被さって再びオレの情熱を埋め込む。
「ああんっ」
 貫いた瞬間に上がる悲鳴は、気のせいじゃなく甘かったから、きっと三橋も満更じゃねーんだろう。
「キャンバスに見られてるぜ」
 くくっと笑いながら突き揺すり、「やあっ」って上がる声を楽しむ。
「待っ、て、待っ、恥ずか、しい」
 床に突く手を片方上げて、恥らうように顔を覆う様子が可愛い。けど、さっきまで全裸で絵を描いてたくせにって考えると、その抵抗には説得力が足りなかった。

「絵、続けてもいーんだぜ」
 揺さぶりながらの言葉に、ぶんぶんと三橋が首を振る。
 「もう、しない、からぁ」って啼くのが聞こえたけど、構わず揺さぶって追い上げる。
 薄暗い寝室で白いシーツに泳がせんのもいいけど、明るいアトリエでこうして攻めるのも悪くねぇ。
 今、この天才画家の脳裏にはどんな景色が浮かんでんだろう。
 今度はマジで絵筆を持たせ、最中に存分に描かせてやんのもいいなと思った。

(続く)

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