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Season企画小説
モーニングコーヒー・4 (R15)
 その後与えられたキスは、濃厚で深い大人のキスだった。
 肉厚の舌を差し込まれ、口中をねっとりと愛撫される。舌を絡められ、キツク吸われ、息つく余裕も貰えない。
「ん……う……」
 声を漏らして、阿部君に押されるまま首を反らす。背中を反らすと更に押されて、ソファにぽすんと押し倒された。
 はっと息を呑むオレに覆い被さって、阿部君がひそめた声でオレを呼んだ。
「三橋……」
 胸がずきゅんと甘く疼く。
「……っ」
 阿部君、って呼び返したいのに、息が詰まって言葉が出ない。
 大きくて温かい手が、オレの頬を撫で、髪をすく。気持ちよさに目を細めると、整った顔が寄せられて、また唇が重なった。

 オレだってオトナだし、キスの経験くらいある。
 けど、こんな風に何もかも奪い尽くすみたいな、強引で情熱的なキスは初めてだった。擦り合わされる粘膜、混じり合う互いの息と唾液。全部委ねて、快感に酔ってしまいそうになる。
「力抜いて」
 阿部君が、こそりと言った。耳元にキスされ、耳を舐められる。
「あ……」
 淡く呻いて顔を横向けると、今度は首筋を舐め上げられる。そんな風にされるのは初めてで、気持ちよさに体がビクンとなった。
 セーターのスソから大きな手が差し込まれ、インナーの下の肌を撫でる。
 脇腹をするりと撫で、そのままセーターをまくりながら、胸へと進んでく強引な手。胸板をするりと触られ、乳首を乳輪ごとつままれて、甘い刺激に息を呑む。
 セーターを更に大きくまくり上げながら、阿部君が胸に顔を寄せた。無意識に身構えるオレの乳首を、肉厚の舌がべろりと舐める。

 股間に熱が溜まり、ビクッとした。
 感じてるの、悟られたくない。赤面しながら息を詰めると、もっともっと愛撫される。
「あ……っ、なんで……っ」
 尋ねる声が、我ながら甘く上ずった。
「イヤか?」
 再びの問いに、ぶんぶんと首を振る。
 イヤじゃない。イヤな訳じゃない。あっという間にセーターをインナーごとはぎ取られ、裸の胸が晒される。
「ああ……キレーだな」
 響きのいい声で、阿部君がふふっと笑った。
 嬉しげな声に、カーッと顔が熱くなる。何がキレイか分かんないけど、誉められると嬉しい。好きの気持ちがあふれ出す。

「張り詰めた筋肉も、投げるための肩も、白い肌も……何もかもすげーキレーだ、三橋」
 阿部君はそう言って、オレの胸を押し撫でた。
 男でも、胸で感じるんだって初めて知った。胸板を揉まれ、乳首をつままれ、乳輪をなぞられ、舐められる。手と舌と唇とで巧みに刺激され、どんどん息が弾みだす。
「あ……ふ……」
 かすかに喘ぎながら目を開けると、情欲に濡れた目が間近にあった。欲しがられてる、と本能で察知して、悦びに震える。
「好き、だ」
 たまんなくなって気持ちを告げると、「オレもだ」って言われた。いつからか訊くと、ずっと前からだって。
「お前、自覚すんの遅ぇよ」
 ふふっと笑いながらのキス。背中に回された手が、裸の腰をするりと撫でる。

「ベッド行く? それともここで?」
 突然の2択に答えらんないでいると、「抱かせて」ってこそりと告げられた。
 首を振るなんて選択肢はなかった。拒むつもりも理由もない。阿部君の首に腕を回し、赤面しながら要望で応える。
「ベッ、ド、で」
 顔が熱い。とんでもなく恥ずかしい。阿部君がくくっと笑うのを聞いて、ますます頭に血が上る。
「了解」
 抑えた声は、それでも響きが良くて深くて、鼓膜からオレを痺れさせた。
 手を引いて起き上がらされ、そのまま奥の部屋に連れられる。そこにあったのはセミダブルのベッドで、並んで寝るには小さかったけど、抱き合うには十分だと思った。

 阿部君が服を脱ぎだすのを見て、オレもズボンのベルトに手を掛ける。下着は少し先走りで濡れてて、興奮が丸分かりで恥ずかしい。
 けどそんな恥ずかしさも、阿部君の股間の昂ぶりを見せられて、高揚に変わった。
「これ、何に使うか分かるか?」
 未開封のボトルをどこかから取り出して、ビニールの包装をむしり開ける阿部君。首を振ると、ははっと破顔して、オレをベッドに押し倒した。
 もう何度目かになる、深くて短いキス。
 舌を思い切り吸い上げた後、ちゅっと音を立ててキスが終わる。
 ドキドキしながら彼の様子をうかがってると、いきなり股間に顔を伏せられてギョッとした。
「待……っ」
 待って、と口に出す間もなく、温かく湿った何かに勃起したモノが包まれる。ちゅうっと吸い付かれ、舌を絡められ、快感に腰がビクンと揺れた。

 フェラだ、と悟っても何もできない。
 上手いかどうかとか、そんなことも分かんないまま、いいように翻弄された。あっという間に追い上げられて、射精感がこみ上げる。
「待って、出るっ」
 悲鳴を上げて身をよじっても、阿部君のフェラは止まらない。びゅっと彼の口に放ち、更にじゅうっと吸い上げられた。
 ごくりとそれを飲み下し、「美味ぇ」って言われてカーッと顔が熱くなる。
「チョコケーキもシャンパンも美味かったけど、今のが一番極上だ」
 って。
 惜しむように舌なめずりされ、捕食者のまなざしに縛られる。
 ヒジを突いて起き上がろうとしたけど、肩を押されて寝かされた。覆い被さる阿部君が、腰に、太ももに手を這わす。

「言ったろ、誕生日だって。オレの好きにやらせてよ」
 ひそりと告げる阿部君は、見たこともないくらいのイイ笑顔、で。
「力抜いて、足立てて」
 彼のそんな要求に、素直に従うしかなさそうだった。

(続く)

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あきゅろす。
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