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Season企画小説
雷電くん・後編 (R15) 
 べろり。
 あり得ない場所を舐められる気配に目が覚めた。
「ん……」
 何だろう、スースーする。
 寒い。それに重い。寝返りを打とうとしたけど、体が全く動かない。
 ぶるっと震えながら目を開けると、目の前に真っ黒な頭があって、ギョッとした。
「ふえっ!?」
 悲鳴を上げてとっさに押し退けようとした手に、とがった固い物が触れる。
 角? 角……鬼?
 頭に角を生やした、チビ鬼君のことを思い出し、あっ、と思ったけど、起き上がれない。

 べろり。ぺろ、ぺろ。
 乳首を舐められる感触に、びくっと震える。
「やっ、ちょっと待って」
 上擦った声で言っても、当然待っては貰えなくて、更にちゅうっと吸い付かれた。
 ま、まさか、まだお母さんと勘違いされてる訳じゃない、よね? オレに胸なんかないし……それに、あ、赤ちゃんじゃないんだ、から。
「んっ」
 ねっとりと乳首を舐められて、変な刺激に声が漏れる。
 これ、よく分かんない、けど、赤ちゃんの舐め方じゃない、よね? っていうか、ち、小っちゃい子の悪ふざけでもない、よね?
 幼児にしては妙に重いし、身動き取れないのも何かおかしい。けど、舐められる刺激が気になって、自分の考えに集中できない。
 それにオレ、なんで裸なんだろう? 上半身だけじゃなくて、足元もすーすーしてて、イヤな予感に鳥肌が立った。

「こ、小鬼、君っ」
 気持ち大声を上げて、胸に吸い付く黒い頭に手を伸ばす。両手で角を掴んだ途端――。
 ビリビリビリビリ!
 再び電流が流されて、反射的に悲鳴が上がった。
「あああああああああっ!」

 そうだ、さっきもオレ、同じ目に……! 電流ショックで全部思い出したけど、記憶がハッキリしたのと逆に、今度は腕が上がらない。身をよじることもできなくて、「ひぅっ」と怯えた声が洩れる。
 それだけじゃない。なんか、体が変だ。熱くてだるくて、体の奥が何かぐっしょり濡れてる感じ。
 下半身に熱がとぐろを巻いて籠ってて、解放したくてたまんない。
 勃起してるのが、見なくても分かった。
 恥ずかしくて訳分かんなくて、カーッと顔が熱くなる。脳みそまで熱でとろけて、理性がどんどん消えていく。
「いや……」
 思わず情けない声を上げると、くくっと笑う声がした。
 直後、また乳首に吸い付かれて、そこからビビビッと電流が走る。胸から股間にダイレクトに、雷みたいに走るイナズマ。
「いやっ!」
 叫ぶと同時に射精して、一気に脱力感に襲われる。

「思った通り、感じやすいな、お前」
 低い声が聞こえたのは、その直後だった。
 すっきりとした輪郭、高い鼻、濃い眉……見たこともない青年が、オレに覆い被さってニヤッと笑った。
 誰!? ギョッとしたけど、そのたれ目には見覚えがあって、信じらんない思いに首を振った。
 小鬼君? いや、まさか。でも……。
 ぺろっと唇を舐められ、そのまま唇を重ねられる。
 焦ったのは、それで再び勃起するのが分かったからだ。体温が一気に上がって、でも手足に力が入らない。
 差し込まれた厚い舌に口中を舐められて、あまりの快感にぞくぞくする。
 先っぽからとろとろ何かがこぼれて、まるで壊れた蛇口みたい。オレ、濡れてる。

「だ、れ……?」
 上ずった声で訊くと、青年はニヤニヤ顔のまま、短く答えた。
「鬼」
「お、に、って……」
 そういえば、あの小鬼君もそう言ってた。お名前訊いたら、「おに」だって。あれは、なり切ってた訳じゃないの、かな?
 同一人物? なんでおっきくなってるの?
 夢か現実か、それすら分かんないくらい、ぼうっとして考えがまとまらない。体が熱くて、濡れてて、吐き出したくて、体内にわだかまる熱に焦がされる。
 ぼうっとなってるオレをよそに、鬼を自称する青年は、またオレの胸を舐め始めた。

 べろり。乳首に這わされる舌。もう片方の乳首を指でくりくり刺激され、「ああっ」とたまらず声が上がる。
「いい声」
 そんな言葉の直後、乳輪を甘噛みされて、「ああーっ」と高い悲鳴を上げた。
「なあ、入っていい?」
 低い声が、甘く囁く。
 入るって、どこへ? うちの中? もう入ってる、よね?
 部屋に招き入れた瞬間の、小鬼君の笑みが脳裏に浮かぶ。無邪気そうで可愛い、幼児そのものの笑顔だったのに。目の前の彼の口元は愉悦に歪んでて、真っ黒で、魅力的でたまんない。
「いい?」
 再びの問いかけ、股間をからかうように撫でられて、無意識にびくんと腰が揺れる。
 黒い頭が足元に降りて、オレの太ももをべろりと舐めた。

 なんで太もも? なんでヒザ? 大きな手のひらがヒザ小僧をくるっと撫でて、すくい上げるように折りたたむ。
 急にソコが頼りなく思えて、「待って」って喘ぐように口にした。
 何をされようとしてんのか分かんない。
 何となく分かったけど、分かりたくない。じゅんっと体の奥が潤むような錯覚をおぼえて、いやいやと首を振る。
 なんでオレ? なんで?
 オレはただ、迷子をほっとけなくて、うちに招き入れただけなのに。
「なあ、家主の許可がねーと、入れねぇ。いーだろ?」
 どこかで聞いた吸血鬼みたいなことを言いつつ、2本角の鬼がオレを促す。
 鬼? オニ――。

「もっとビリビリさせてやるよ」
 物騒なセリフに、なんできゅんとなるんだろう?
 名前も知らない鬼なのに。
「入っていーよな?」
 入り口をとんとんノックされ、オレは力無く目を閉じた。

   (終)

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