Season企画小説
ハプニング・カウントダウン・6 (R18)
主導権はいつも阿部さんにある。
オレとのえっちだけじゃなくて、TVや観客席から何度となく見た試合の中でも、阿部さんはいつも主導権を握ってた。
知的で巧みで、自信たっぷりのリード。
チームの投手陣を導いて、それぞれに気持ちよく投げさせながら、思い通りの試合をさせる。相手打者を翻弄し、見事に試合展開を支配する。
ホームに君臨する采配者。
阿部さんはいつでも自信たっぷりで、余裕があってスゴイ。
いつでもオレは翻弄されるばっかだけど、全部委ねていいんだって、ほとんど本能で分かってた。
身動きできないくらい、厚い胸にキツく抱かれて、思うままに揺さぶられるのが好きだ。
息を奪うようにキスされて、舌をむさぼられるのも好きだ。
「ああ、イイな。たまんねぇ」
少し掠れた声で誉められると、それだけで電流が走るくらい嬉しい。甘い吐息に酔いそう。
視界がぶれるくらいの揺さぶり。
かと思うと、丹念に最奥をこねるように突かれて、たまらず叫び声が漏れる。
「ああっ、んん――っ」
のけ反って、身悶える。
どうされても気持ちイイ。
身体の中をみっしりと満たされて、溶け合うくらい擦られる。
乱れまくったオレと比べて、阿部さんはずっと余裕で。オレが欲しがるまま、存分に激しくしてくれたけど、自分のペースは崩さなかった。
意地悪く煽られて、恥ずかしいコトいっぱい言わされた気がする。
久し振りのえっちだったし、数日間のお預けも結構効いてたみたいで、なんかもう、無茶苦茶だった。
「阿部さん、あべさんんんっ」
善がりながら、もう何度彼の名前を呼んだだろう?
脳が焼けつくような快感、気持ちイイことしか考えられなくて、際限なく阿部さんを求めてしまう。
何度達したかも、もう自分じゃ覚えてない。
ハッキリ射精できたのは最初の数回で、後はもう何が出てるのか、出てないのか、自分じゃ認識できなかった。
ずずっと胎内から阿部さんのモノが抜かれて、衝撃に「あんっ」と喘ぐ。
ぽっかりと大穴の空いた体は、自分でもひどく頼りない。
体腔に点けられたままの炎が、彼の肉を欲しがって揺らぐ。まだまだ消えそうになくて、どうにかして欲しくて、泣きそうになりながら目の前の男にねだった。
「阿部さん、おね、がい……っ」
とんでもなく恥ずかしいこと、してると思う。
男に貫かれ、好きに体を扱われて、それが最高に幸せだなんて、あまり大きな声じゃ言えない。
はふはふと空気を求めて開いた口を、阿部さんの唇に塞がれた。
「ん、ん……っ」
肉厚の舌に舌をべろりと舐められて、快感に甘い声が出る。思わずぎゅっとしがみつくと、ふふっと楽しそうに笑われた。
「待ってろ」
自信満々な声。阿部さんは少し息を乱してて、けどやっぱ余裕で、いつも通りだった。
「すぐにコレをお前ん中にぶち込んで、もっかい無茶苦茶善がらせてやる」
返事はしたくてもできなかった。
「あ……、っ」
胸がいっぱいで、言葉にならない。
傲慢なセリフの似合う阿部さんは、なんて格好いいんだろう。
謙虚な姿なんて想像できない。いつも自信満々で、パワーとオーラが溢れてる。
手早くゴムを着けたらしい、阿部さんがオレの上に影を落とした。大きな体に覆い被さられ、支配される予感に心が震える。
阿部さんが、来る。
「ふあっ、ああ……っ」
甘えを含んだ悲鳴と共に、巨大な肉杭が打ち込まれた。
焦らすように緩く抜き差しされて、思いがけない感触に悶える。
「んんっ、いやっ」
もっと奥に欲しいの、分かってるくせに。
ぶんぶんと首を振り、声なき望みを込めて阿部さんの背中に縋りつく。
「何がイヤって?」
からかうような声に目を開けると、上気した端正な顔が笑みを浮かべて間近にあった。
何度見ても格好よくて、好きで、魂が縛られる。
「焦らすの、イヤ、です」
正直に言うと、笑顔のままでキスされた。
そのままぐぐっと奥深くまで串刺しにされて、塞がれた口中に悲鳴を上げる。
「んんーっ!」
深い。気持ちイイ。熱く腫れた粘膜のひだが、巨根を迎え入れて悦び、きゅうきゅうとまといつく。
中が無意識に締まったの、自分でも分かった。
貫かれた場所から甘い痺れが波のように広がって、びくびくっと全身が跳ねる。
「ホントいーな、お前」
阿部さんが、低く掠れた魅力的な声で、オレの耳に囁いた。
「お前のこと、全世界に見せびらかしてぇ。けど同時に、誰にも見せたくねぇ」
「お、オレもっ!」
嬉しい言葉に上ずった声で答えると、ご褒美みたいにちゅっと軽くキスされた。
こうして独占欲を示されるたび、愛されてるなって自覚する。
立場の差はまだ歴然とあって、隣に並び立つことすら、今のオレには夢でしかないけど。でも、やっぱ「イイ」って言われると嬉しい。
イイのは投球? それともえっち? それとも全部ひっくるめたオレ自身だろうか?
たちまち早く、激しくなる抜き差し。
「あっ! んっ、ふあっ、ああっ!」
甘えた声を漏らしながら、快感に素直に意識をゆだねる。
――気持ちイイ。もっと。抱いて欲しい。口に出せない恥ずかしい望みを、心の中で存分に叫んだ。
「はっ……くっ、スゲェ」
阿部さんが、荒い息の中で言った。
オレの体で気持ちよくなってくれるの、恋人としては最上級の幸せ、だ。
「ふあ……あっ、あべさん……!」
身体の奥から白い衝動が込み上げて、もう何度目かの絶頂を迎える。
一瞬意識が遠くなったけど、容赦なく強く揺らされて、気絶することも許されなかった。
(続く)
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