翌日は朝8時に起こされた。
スッゲーよく寝たせいか、頭はハッキリしてるけど、体がダルくて仕方ねェ。
いつの間にかデニスも帰って来てたみてーで、3人で一緒に朝メシを食った。
ドライフルーツたっぷりのシリアルに、サラミと卵入りの温野菜サラダ、昨日の残りのミネストローネ、それからシンプルなヨーグルト。
朝にガッツリ、夜は少な目に食べんのがイイとか、前にレンから聞いたのはいつだったっけ?
「イタリアは、ヨーグルトよく食べるみたいだ、よ」
レンから話しかけられても、ダルくて「あー」としか返事できねェ。
「Why don't you go to the spa today?」
デニスにもゆっくりな英語で言われたけど、頭ん中で翻訳するより、レンが応える方が早かった。
今「spa」って言ったか? スパへ行けって?
ミラノにスパなんて、都合よくあんのかな?
けど、よく考えたらローマ時代にもデカい公衆浴場あったってくらいだし、イタリアって風呂文化だよな。
じゃあ、もしかして大理石で囲まれたような、ローマっぽいスパがあったりもするんだろうか?
掻き込んだシリアルを咀嚼しながら、デニスとレンの会話をぼんやりと聞く。
「Is that spa open from 9 a.m.?」
レンが早口じゃねーせいか、何となく聞き取りができて、5mmくらいテンションが上がった。
イタリア語じゃなくて英語で話してくれてんのは、オレのためなんだろうか?
どっちにしろ早口で喋られると会話に付いて行けねーけど、確かに多少は聞き取りできる分、英語の方が気が楽だ。
「Though he was tired, did you let him overwork?」
デニスに言われて、「What!?」ってレンが赤面しても、つまんねー嫉妬なんかしないでいられる。
ふっ、と笑ってるとレンと目が合った。
赤い顔で上目遣いにむうっとされて、可愛くて色っぽい。
手ぇ掴んで引き寄せて、抱き締めてキスしてーな……と思ったけど、デニスの手前、それはさすがにやめといた。