Season企画小説
オレと先輩とこれからの話+4 (完結・R18)
終わったのは、阿部さんが3回出した後だった、らしい。
オレはもう意識が朦朧としちゃってて、よく覚えてない。
途中からうつ伏せにひっくり返されて、お尻突き出した格好で激しく揺さぶられて、ベッドに沈んだ。
阿部さんに縋り付くこともできなくなって、ただもう、されるがままだった。
汗まみれで荒い呼吸をしながら、阿部さんが「ワリー」と言った。
「夢中になっちまって、止めらんなかった」
たくましい腕に抱き寄せられ、ふわっと汗が香って、それだけでドキッとする。
さっきまで、もっと恥ずかしいコトしてたのに。汗ばんだ胸にぴとっとくっついてるのが、たまらなく恥ずかしい。
「ヤベェ、溺れそう」
そんな風に言われるのも嬉しい。普段、お世辞なんて言いそうにない先輩だから、余計に嬉しい。
「阿部さん……」
広い背中にだるい腕を回すと、額にちゅっとキスされた。
くすぐったくて目を閉じると、「もっとか?」って囁かれて唇が重なる。
催促した訳じゃなかったけど、物欲しそうな顔してたかな?
最中にされたのとは違う、余裕のあるキス。ゆったり差し込まれた舌に舌を絡めると、気持ちよくて「んっ」と喘いだ。
「キス好きだな、お前」
くくっと笑われて、またキスされたけど否定できない。
だって阿部さんの体は筋肉質で、どこもかしこも固いのに、当たり前だけど唇と舌は柔らかい。キスする時、それを感じてすっごくドキドキする。
「はい、好き、です」
掠れた声でそう言うと、優しく笑ってまたキスをくれた。
そのキスが深くて長くて。気持ちよさについ身じろぎをすると、体の奥から何かがつうっと流れ出て、ビックリした。
「あっ」
思わず声を上げてから、何が出て来たのか分かって、カーッと赤面する。阿部さんの精液、だ。
黙って真っ赤になってると、不思議そうに「何?」って訊かれた。
「さ、さっきの、阿部さんの、が、奥から……」
正直に言いながら、自分でも恥ずかしいこと言ってるなって思って、ますます顔が熱くなった。
「お、オレ、しゃ、シャワー……」
慌てて起き上ろうとしたけど、直後、ガクンと腰から崩れた。下半身に、まるで力が入らない。
代わりに阿部さんが起き上って、「無理すんな」って優しく頭を撫でてくれた。
「ごめんな、ムリさせちまった」
すまなそうに言われて首を振ったら、「お詫びに」ってお尻をスルッと撫でられた。
「あ……っ」
そのまま、まだ閉じられない穴の縁を触られて、びくっと体が跳ね上がる。
「ほら、じっとしてろ、掻き出してやっから」
甘く叱るように言われても、じっとなんてしてられない。
「い、い、いい、です」
ぶんぶん首を振ったけど、結局は逆らえなかった。腰の下にバスタオルを引かれて。
脚を大きく開かされ、恥ずかしい格好にされて、指をゆっくり沈められた。
「もう狭くなってんな」
阿部さんはぼそりと呟きながら、差し入れた指をくるりと回す。そのたびに、どろっと液が穴から溢れて、たまらなく恥ずかしい。
感心したように、「どんどん出てくんな」とか言わないで欲しい。
「や、やあっ」
両手で顔を覆うと、「隠すなよ」って笑われた。
「可愛い顔、見せろ」
囁くように言われても、首を振るしかできない。今、顔なんか見せられない。
顔をそうやって隠したまま、変な声出さないようにって必死で口を閉じてると、いきなり阿部さんが、内壁の1か所をくぅーっと押した。
前立腺だ、とか悟る間もない。
「あああーっ!」
目の前が一瞬白くなり、思わず叫んで腰を浮かした。快感の電流が全身に走って、破裂するように射精する。
それから一気に脱力感に襲われて、呆然としてると――。
「スゲーな」
阿部さんが、少し上ずったような声を上げた。
「まだ出んのか、お前。オレなんかもう、きっと何も出ねェぞ」
からかうように言いつつ、彼が差し込んでた指を抜いた。それと一緒に、またとろっと液が溢れてこぼれる。
代わりに、堅く熱いモノがそこにぐいっと押し当てられた。「何も出ない」って言ったくせに。
「ふあ、オレ、ダメ、もう……っ」
悲鳴を上げても、ちゅうちょすらして貰えない。元から開脚させられてた足を、さらにぐいっと押し広げられる。
でも、心の奥のホントのトコでは、密かに期待してたから――。
ズズッと一気に奥まで串刺しにされた瞬間、オレは迷わず、阿部さんの背中に縋り付いた。
阿部さんがようやく最後の射精を終えたのは、外が暗くなってからだった。
そりゃ、阿部さんちに来たのはお昼過ぎてからだったけど、まだ陽が高い内だったのに。何時間えっちしてたんだろう? 考えるのもちょっと怖い。
「ホント、ワリー。我慢できなかった」
阿部さんは謝ってくれたけど、頬が緩んでる。
汗かいたな、って黒い髪を掻き上げる仕草が、すっごく余裕だ。同じハジメテのハズなのに、なんかズルい。
ズルいけど格好良くて、更にズルい。
「2年半、ずっと我慢して来たんだぜ。仕方ねーだろ?」
って。そんな風に言われたら、怒ることもできない。
逆に、こんな格好いい人にずーっと好かれてたんだなって思うと、嬉しくて幸せで、胸の奥が熱くなる。
「痛いトコねーか?」
くしゃくしゃとオレの髪をかき混ぜる手も優しい。
さっきまでは激しかったけど……「予習して来た」っていう言葉通り、頼もしくリードしてくれた。
どこも痛くないです、って言って安心させてあげたかったけど、啼き喚き過ぎて声が出ない。
代わりにこくんとうなずいて、にへっと笑って見せたら、「良かった」って言われた。
「じゃあ、これからいっぱい反復学習できるな」
って。
えっ、って思ったけど、それすらも声にならない。
これから……オレ、どうなっちゃうのかな? 一瞬不安が沸き起こったけど。
「好きだぜ」
優しい口調でそう告げられ、爽やかに笑われたら、もううなずくしかできなかった。
オレも、この格好いい先輩が好きだった。
(終)
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