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Season企画小説
オレと先輩とこれからの話+1 (R15)
 冬休みが終わってすぐ、阿部さんに「泊まりに来ねェ?」って誘われた。1月中旬の3連休、センター試験のある頃だ。
 学校はもう自由登校で。でも、大学の自主練に参加するには、まだちょっと早い時期。
 オレは、大学の野球部の方から基礎訓練メニューを渡されてたから、それをこなしながら春を待とうって思ってた。
 そんな矢先の、お泊りの誘いだ。勿論、即答でOKした。
 阿部さんは家を出て、大学の近くで1人暮らしをしてるらしい。
 今回「来ねぇ?」って誘われたのも、そのワンルームマンションで。1人暮らしに憧れるオレは、すっごく楽しみにしてた。

 スポーツ推薦枠を貰って入学を決めた大学では、3月から野球部の寮に入ることになってる。
 同じ親元を離れるんでも、1人暮らしと寮暮らしって、だいぶ違う。
 1人暮らしの方が自由度は大きいかもだけど、ご飯も掃除もお風呂の用意も、全部自分でしなきゃいけないし。大変だと思うんだ。
 理系の大学で、勉強もバイトもサークルもこなしつつ、1人暮らしもできるなんて。阿部さんはホントにスゴイ。
 先月まで家庭教師をしてくれてたこともあって、阿部さんちに泊まりに行くって言ったら、「先生によろしくね」って、オヤに色々持たされた。
 群馬土産の焼きまんじゅうとか、一緒に作ったロールキャベツとか。

 電車を乗り継いで待ち合わせの駅まで行くと、改札の前で阿部さんが待っててくれた。
「よお、よく来たな」
 キリッと整った顔に爽やかな笑顔を浮かべてて、ホントに格好いい。
 重いだろ、ってサッと荷物も持ってくれるし。気遣いが出来て、大人だなぁって、ますます好きになってしまう。
 ぽうっと見つめてたら、「何だ?」って顔を覗き込まれて、ドキッとした。
 頭を撫でてくれる手も、前より優しく感じるのは、やっぱり恋人ってことになったからかな?
「ちょっと歩くぞ」
 長い足で颯爽と歩きだした阿部さんの後を、「はいっ」って素直に返事しながら、一生懸命追い掛ける。
 男同士だから、手を繋いだりはおかしいけど。でも、憧れの先輩と隣に並んで歩くことができるだけで、オレは十分嬉しかった。

 ちょっと歩くって言う宣言通り、阿部さんの部屋は駅から15分くらいの距離にあった。
 駅までは遠いけど、大学のすぐ目の前だ。
「その内1人でも来れるよう、道覚えろよ?」
 そんな風に言われて、これから何度も来ていいんだなぁって思って、それも何か恋人っぽくてドキドキした。
 外階段を軽やかに3階まで上がり、手前の部屋を「どーぞ」って開けられる。
 初めて入った阿部さんの部屋は、ベッドも机も本棚も、全部黒で統一されてて、スッキリ格好いい部屋だった。

「ふおお、スゴイ……」
 感動してると、後ろでカチャッと内鍵を締める音がした。
 背中を緩く押され、慌てて靴を脱いで1歩入る。そしたら今度は肩を押され、壁際に寄せられた。
 あっと思った時には、上を向かされてキス、されてて――。
「三橋、勉強始めるぞ」
 低くて甘い声で囁かれ、耳元をぺろっと舐められると、もう力が入らなくなった。


 キスしたのは初めてじゃなかった。
 オレが告白して、両思いって分かって恋人同士になった日から、阿部さんはオレに何度もキスをしてくれた。
 でも、こんな深いキスしたのは初めてだった。
 ベッドに寝かされて、阿部さんに上から覆いかぶさられてキスされて。
 唾液をたっぷり送り込まれ、それをくちゅくちゅかき混ぜるように舌を動かされて、「んんっ」と変な声が出る。
 もう阿部さんの舌の動きについて行くのが精一杯で、他は何も考えられない。
 息が自然と荒くなる。

 いつの間にかセーターを脱がされて、中に着てた綿シャツのボタンも全部外された。
 温かい大きな手がランニングの中に入って来て、胸の辺りを優しく撫でながら、あっという間に脱がされる。
 うわ、オレ、なんで上半身裸なんだろう? 疑問に思う間もなく、オレの上に乗り上がった阿部さんが、バッとセーターを脱いだ。
 記憶にあるよりもたくましい裸が、目の前に現れてドキッとする。
 野球はサークル程度っていいつつも、くっきり割れた腹筋とか、熱い胸板とか、惚れ惚れする程格好いい。
 じわっと顔を熱くしながら目を離せないでいたら、阿部さんがふふっと笑った。
「そんなに見られたら照れんだろ」

「う、あ、す、みませ、ん」
 今更ながらにハッとして、慌てて両手で目を覆う。けど、その手はあっさりと剥がされて、顔の横に押し付けられた。
 目の前に、大好きな人の格好いい顔がアップで迫る。
 形のいい唇が機嫌よさそうな笑みを浮かべてて、キスされるって分かって、わーっと目を閉じた。
 身動きできないよう押さえつけられて、ねっとりと濃厚なキスされるとゾクゾクした。
 下半身がヤバいくらい張り詰めちゃってて、恥ずかしい。
 
 キスに溺れそうになってると、やがて阿部さんの唇が、首筋から鎖骨の方へ降りて来た。
「ふあっ」
 また変な声が出て、カーッと赤面してると「スゲー真っ赤だぞ」って言われた。
 阿部さんの大きな手が、オレの薄い胸板を撫でる。
 無防備な乳首をからかうようにこねられて、ビクッと腰が浮いた。
「敏感だな」
 色っぽく掠れた低い声。くくっと笑いながら、同じ乳首を舌で弄ばれる。変な声がまた出そうになって、オレはぶんぶんと首を振った。

「べっ、勉強、する、って……」
 さっき玄関で言われたセリフを口にすると、ははっと機嫌よさそうに笑われた。
「今してんだろ」 
 ぐいっと顔を寄せられて、耳元で囁かれ、ついでにそこにちゅっとキスされてゾクッとする。
 ハッと息を呑んだら、「ホント敏感だな」って言われた。
 ズボンの前がパンパンでキツくて、今にも爆発しそうでホントにヤバい。
 これが勉強? 何の勉強? 裸になって何するの?

「阿部さんっ、オレ、もうっ」
 目をギュッと閉じ、身をよじって訴えたら、また機嫌よさそうに笑われた。
「まだまだ。基礎問題にもなってねーぞ」
 って。
 そして、カチャッとベルトのバックルを外された。

 そこはホント、切羽詰まった状態になっててヤバい。ヤバいのに――。
 阿部さんは男っぽい笑みを浮かべたまま、オレのズボンを下着ごと脱がせた。

(続く)

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あきゅろす。
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