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小説 1−15
時にはちょっと乱暴に・3 (R15)
 異変は、ランニングシャツを脱がされたところから始まった。
 背中をトンと押されてベッドにうつ伏せに倒されて、両手を掴まれ後ろにぐいっと捻られる。
 えっ、と思う間もなく、両方の手首にぐるぐると何かが巻き付けられた。さっき脱いだランニングかも知れない。そう思ったのは、その布が生温かったからだ。
「ふえっ、ちょっ……」
 焦って振りほどこうとしたけど、それは阿部君に止められた。
「こら、暴れんな。暴れるとせっかくのがほどけんぞ」
 せっかくの、って言われてビクッとする。これって、その、つまり演出ってヤツなんだろうか? 緊縛プレイ? 手首だけなら、緊縛にはなんないの、かな?
 オレ、いつもみたいな優しいえっちじゃなくて、時には激しく求められたいって思ってたけど、コレは何か違う気がする。

「それとも簡単に外れねーように、シャツ破っとく?」
 くくっと笑いながらの問いかけに、ぶんぶんと首を振る。ランニングシャツ、破られたくない。
 けど、阿部君の「プレイ」はこんだけじゃなかったみたい。
「目隠しと猿ぐつわと、どっちがいい?」
 耳の後ろでこそりと甘く囁かれ、不穏なセリフにカーッとなった。
「めっ……」
 目隠し、って。猿ぐつわ、って。いきなりのアイテムに無茶苦茶焦る。
「目隠しだな、了解」
 了承した覚えもないのに、目隠しって決まったっぽくて更に焦った。後ろ手に縛られたまま、ベッドに転がってあわあわしてると、阿部君は一旦ベッドから降りて、自分のカバンのファスナーを開けた。
 恐々見つめるオレの前で、阿部君が取り出したのはアイマスク、だ。
「ゆうからこっちも持たされたんだけど」
 そう言いながら、ベルト付きの赤いゴルフボールみたいなのも見せられて、ひぃっと慄く。

 ゆう君!?
 友達の顔がパッと頭に浮かんだけど、今はちょっと感謝できない。ゆう君、阿部君に何渡してるの!?
 もしかして、猿ぐつわってそれのことなんだろうか? 前にエロ本か何かで見たことあるけど、自分がしたいとは思わない。
 目隠しでよかった。猿ぐつわよりマシだ。
 いや、やっぱりよくない。目隠し怖い。
「ちょっ、待っ……」
 手を縛られたまま、何とか起き上がろうとしたけど、それより阿部君がベッドに戻って来る方が早い。
「やっ、目隠しっ」
「いーからいーから」
 暴れるオレを取り押さえ、阿部君がオレの頭にアイマスクをずぼっと被せる。
 途端に真っ暗に覆われる視界。端っこの方から薄い光が漏れて来て、真っ暗闇って訳じゃないけど、こんなの初めてでドキッとする。

「さあ」
 って、何が「さあ」なのか、阿部君の何気ない一言が怖い。ぞくぞくしてると、ふいにきゅうっと股間を揉まれた。
「ひゃっ、やっ!」
 いきなりの刺激に、びくんと跳ねる全身。デニム越しじゃない、パンツの薄い布越しに与えられる刺激は強くて、無意識に腰が揺れてしまう。
「気持ちイイ?」
 耳元で囁かれる質問。
 痛いのギリギリの刺激は絶妙に気持ちよくて、甘噛みされるのと同様にヤバい。びくびくしつつも抵抗できないでいると、その内竿を掴んだ手が、怪しく前後し始めた。
 それはヤバい。
 きゅうきゅう揉まれるのもヤバいけど、こしこしこすられるのもヤバい。
「やっ、それダメっ」
 上ずった声で言ったけど、「腰、揺れてんぜ」ってからかうように言うだけで、ちっともやめて貰えない。
 このままじゃ出ちゃう。服を汚すのイヤだ。けど、デニムはもう脱いだし、まだマシ、か?

 いつも自分でするのとは違う、絶妙な刺激に長持ちはしなかった。
「やああっ」
 快感に耐え切れず、悲鳴を上げて射精する。
 湧き上がる解放感、達した絶頂と満足感、そして、ほんのちょっと罪悪感。ああ、パンツ汚しちゃった。そう思いつつ、ぼうっとしてると――。
「あーあ、汚しちまったな」
 楽しそうな阿部君の声が聞こえて、再び背中をトンと押され、ベッドにうつ伏せに倒された。
 誰のせい? なんて訊く間もなく、パンツ越しにお尻を撫でられる。
「これ、汚れちまったし、もういらねーよな?」
 ぺしんと軽くお尻を叩かれ、「むう……」って不満を表して唸る。
 汚したの、阿部君のせいなのに。笑ってるのヒドイ。自分だけ楽しそうなのもヒドイ。
「もお……脱、がせてっ」
 ぷくっと拗ねながらお願いすると、「いーぜ」ってくくっと笑われた。
 薄いトランクスの生地が、阿部君に軽く引っ張られる。けど、そのままそれは、引き下ろされることはなかった。

 ビリッ。
 不穏な音がふいに聞こえて、ドキッと心臓が跳ね上がる。
 ビリビリ、ビー。布を裂くような音は間違いなくオレのお尻の方から聞こえてて、カーッとしてぞーっとした。
「ふ、えっ?」
 パンツ、どうなってんの?
「う、うお、パン、ツ……」
 必死に後ろを振り向いたけど、アイマスクのせいで何も見えない。パンツがどうなったかも分かんない。
「まあまあ、いーじゃん」
 楽し気な阿部君が、パンツはいたままのハズのオレの裸のお尻を撫でる。最初撫でるだけだった手は、その内どんどん強くなって、そのまま尻タブをぐいぐい揉まれた。
 丸出しになってるだろうつぼみにも、イタズラに触れられてびくんとする。

「また今度、可愛いの買ってやっから。今日はノーパンな?」
 なだめるように言いながら、ちゅっとお尻にキスする阿部君。その間も、お尻や太ももを撫でる手は止はまらなくて、「ふあっ」と甘い声が出る。
 パンツを破られた衝撃より、背中にのしかかる重みの幸せの方が強くて、なんだか流されそうになる。
「やべ、興奮して来た」
 ふふっと笑う阿部君は、いつもよりすごく楽しそう。
「舐めて」
 ぐいっと髪を掴まれて、素直に口を開け、阿部君のモノを受け入れる。目隠しで見えないけど阿部君のも既にビンビンで、熱く固く滾ってた。

(続く)

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