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小説 1−13
白鬼の里帰り・11 (R18)
 「激しくして」と妃にねだられたから、王は遠慮しなかった。妃の細腰を強く掴み、拓いた穴を剛直で貫く。
「ああっ」
 衝撃にレンが悲鳴を上げた。それに構わず最奥まで穿ち、しなやかな体を抱き締める。
 自らの大きさを馴染ませるよう、タカヤがじっとしていたのはほんの数分。自分を見上げる琥珀色の眼差しに我慢できなくなり、タカヤは腰を揺らし始めた。
「は、あ……っ」
 甘さの混じった声を上げ、レンがタカヤにしがみつく。
 それに煽られるまま、妃の体を強く突き揺する。激しくするよう求められた以上、期待に応えるのが男としての矜持だ。
 容赦ない突き上げにベッドが軋み、ギシギシと音を立てた。だがそれもやがて妃の嬌声に気を取られ、タカヤの耳には入らなくなった。
「たか、や」
 泣いているような、上擦った声でレンが夫の名前を呼ぶ。
「ふあ、ん、あ、あ……」
 王が突き揺する度、レンの甘い声が漏れる。

 自分のものだと思った。
 誰にも渡さない。カノウにも、ミホシの軍にも、ルリ王女にも返さない。レンはもう、タカヤだけの妃だ。
 この腕に抱く度いつも思う事だが、独占欲には限りがなかった。後から後から湧き上がり、タカヤにレンを溺愛させる。
 だが国王の溺愛をもって、国を決して傾けないのがレンという存在だ。
 タカヤのように知略が回る訳ではないが、愚かではない。他国の情勢には少々疎いが、説明すれば呑み込みも早い。最強の武人、軍の要、兵士たちの心を掌握し、魅了して先頭に立つ王妃。
「レン」
 湧き上がる愛おしさに駆り立てられ、腰の動きを速くする。
 妃が「ああっ」と高く啼くのが嬉しい。こうして彼を啼かせている現実が誇らしい。この愛すべき存在に選ばれたのは自分だけだと、誇りを持って信じられる。
「ん、あっ、もっと」
 大きな瞳を快感に閉じ、妃が甘い声でねだった。それに応じて更に攻めると、細い体がびくびくとわななく。

 悲しみや悔しさの涙より、レンにはこうしてタカヤの与える喜悦の涙の方がふさわしい。
「もっと、何?」
 妃の両脇に片ヒジを突き、引き締まった白い脚の片方を抱え上げ、角度を変えて中を穿つ。
「ああん、もっ、とっ」
 喘ぎ声を上げながら、ぎゅっと背中に腕を回してくる様子に心が沸き立つ。
 唇を重ね、舌を差し入れると彼の口中はとろりと甘い。
 何が甘いのか、なぜ甘いのか、タカヤにももう分からない。王妃レンのどこもかしこもアベ王には甘くて、夢中にならずにはいられない。
 動きながらのキスは、そんなに長くは続かなかった。ついばむような口接けを繰り返し、互いの吐息を混ぜ合わせる。
「タカヤっ、好きっ」
 上ずった声で愛を告げられ、王も「オレも」と言葉を返す。照れ臭そうに告げられる愛もいいが、こんな風に夢中になって、思わずぽろりとこぼされるのもいい。

「愛してる。お前はオレのだ」
 キッパリと告げ、繋がったままで小柄な妃を抱き起し、ヒザに乗せると、レンは「んんーっ」と声を上げて、タカヤの首元に抱き着いた。
 再び唇を重ね、下から突き上げながら舌を絡める。レンもタカヤのヒザの上で、なまめかしく腰を上下させた。
 こんな風に、積極的にレンが動くのは珍しい。普段、主導権を王が握って離さないからというのもあるが、閨においてはレンは受け身だ。
「ん、う……」
 絡め合う舌の隙間から、レンの甘い声が漏れる。それに煽られてタカヤの呼吸も荒くなり、股間がますますいきり勃つ。
「気持ちいーか?」
 キスの合間に訊くと、「ん、もっと」ととろりとした声でねだられた。まだ足りないと言われると、期待に応えたいと思うのはもはや本能だ。
「レン」
 愛おし過ぎて、気が遠くなりそうだと思った。もっともっと、激しく突き上げて奥の奥まで穿ちたい。そんな狂暴な欲が沸き起こり、アベ王から冷静さを奪い取る。
 衝動のまま乱暴に妃の体をベッドに倒すと、レンは「あ……」と声を上げ、期待に満ちた目でタカヤを見返して微笑んだ。

 激しく愛されたいという顔だ。無茶苦茶に揺さぶられ、タカヤに愛を刻まれるのを望んでる。少なくとも、タカヤにはレンの笑みがそう見える。
 そう、そして実際、「もっと」とねだられている。
 それまでも遠慮などしていなかったが、そこからは余裕すら消えた。名前を呼び合うこともなく、笑みもなく、「もっと」とねだられることもない。
 激しく激しく、ガンガンと腰を打ち付け、妃の体を穿って揺する。レンももう、睦言を漏らすことはできそうになかった。
「ああああああっ、んんああああっ」
 甲高く善がり声を上げ、しなやかな背中を反らしてタカヤの激情を受け止める。
 妃が首をブンブンと振る度、汗に濡れた髪がシーツを打った。悶え善がり、タカヤの腕に爪を立てるレンは、今この時、何も考えていないに違いない。
 タカヤもまた、同じだった。
 互いの頭にあるのは、伴侶への愛と性愛の悦び、「気持ちよさ」と「愛おしさ」の心だけ。

 2人の腹は、レンの散らした白濁でいつの間にか濡れていた。
 レンの胎内にもタカヤの放った精が散らされ、結合部から泡を立てて淫らな音を漏らしている。
 レン程ではないが、タカヤもまた日頃から鍛えている体の持ち主だ。
 戦ができるだけの体力は、何度性交を重ねても尽きない。またタカヤのレンへの独占欲と征服欲にも限りがなく、タカヤは鬼というより獣になって、王妃の体を貪った。

(続く)

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