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小説 1−10
媚薬90分 (大学生・阿→三・付き合ってません・R15)
 はあ、はあ、と耳元に届く荒い息。
 オレの胸元にぎゅっと縋る体は、服越しにそっと撫でても熱くて、体温が上がってんのがよく分かる。
 すげー辛そう。
 ぎゅっと寄せられた下がり眉も、荒い呼吸を繰り返す口も、可愛そうなくらい辛そうなのに、どうにもエロい。
 耳まで真っ赤になって、うなじを晒してんのもエロい。
 はあ、はあ、とさっきから繰り返してる、荒い呼吸音もエロい。
「三橋、大丈夫か?」
 親切なオレの問いに、かくかくとうなずく様子はとても大丈夫には見えなかったけど、まあ、それも仕方ねぇ。
 トモダチの顔して宥めるように背中をさすり、ついでにそっと腰もさする。
 尾てい骨のあたりをわざと丸く撫でてやると、腕の中の細い体が、面白いくらいにビクビク跳ねた。

「ん……っ」
 息を詰めて、快感に耐える姿がすげーそそる。
「どうした?」
 しれっと訊くと、ぶんぶん首を振られたけど、何でもねぇってのは有り得ねぇ。もう喋ることもできねーくらい、耐えに耐えてんのは見れば分かる。
 何しろ、三橋に媚薬を盛ったのはオレだし。
 その効きっぷりに驚くことはあっても、症状そのものにオレが驚くハズはなかった。

 この媚薬を手に入れたのは、夏休みが明けてすぐの頃だった。
「おー、阿部。いいモンやるよ」
 大学野球部の先輩にそう言われ、PTPシートに入った白い錠剤を2錠、オレの手のひらに握らせてくれた。
「使った余りで2回分しかねーけど、よく効くぜぇ」
 へらっと下卑た笑みを向けられれば、どういう類のクスリなのかは聞かなくても想像がついた。夏に相当、お楽しみだったみてーだ。
「何っスか?」
 こそりと訊くと、同じくこそりと耳打ちされる。
「媚薬。飲ませて30分後くらいに効いてきて、そっから1時間はデロデロだぜ」
「デロデロ、って」
 照れ隠しにツッコむと、「使えば分かる」って言われた。実際使ってみて、確かになって納得する。これは「デロデロ」以外に表現できねぇ。

「もうデロデロだな、お前」
 シャツ越しに背筋を撫で上げると、三橋がびくびくっと震えて「んんーっ」と啼いた。
 声を上げねぇようにって頑張ってるつもりだろうけど、唇を必死に閉じたって、うめき声までは隠せねぇ。
 啼くと同時に、射精しちまったらしい。やがてじわじわと三橋の7分丈パンツの股間が濡れて来て、たまんねぇくらい興奮した。
「あ、ああん、あべくん……」
 無意識にか、三橋が腰を卑猥に揺らす。
 けど、笑ってみてる余裕はねぇ。オレの方も、限界だ。
 オレの胸元にぎゅっと縋りついたままの三橋を、優しくやんわりと促して、顔をこっちに向けさせる。
 てらてらと濡れた唇ん中に指を2本差し込むと、舌を絡められ、ちゅうっと吸われた。口腔内に指先で触れ、誘うようにくすぐる。
 開けっ放しの三橋の口から、「んっ」って濁音付きで喘ぎ声が漏れた。

 とろんと蕩け切った顔が、すげー可愛い。
 口ん中が気持ちイイって分からせたら、次に挑戦すんのは、やっぱこれが王道だろう。
「なあ、しゃぶって」
 ダメ元で頼むと、意外にも三橋はふらふらとうなずき、オレの股間に顔を伏せた。前をくつろげると、張りつめた股間から臨戦態勢の分身がぽろんとこぼれる。
 吐息を掛けられ、柄にもなく震えた。
 間もなく、ちゅっ、じゅじゅっ、といやらしい水音が、目の前の三橋の口中から響いた。
「はっ……すげ……」
 予想以上の快感に包まれて、初フェラの感触に身悶える。
 技術的に上手いかどうかってのはまた別だけど、癖になりそうなくらいは気持ちイイ。
 くっと息を詰めつつも、歯を食いしばって射精感に堪えた。

「なあ、お前、パンツ気持ち悪くねぇ? 脱いだ方がいーぜ」
 こそりと耳元で囁き、7分丈パンツのウェストに触れながら促すと、三橋はオレのを頬張ったまま、素直に腰を少し上げた。
 つるんとパンツを脱がし、汚れた下着も一緒に脱がす。白くて丸い尻がシャツのスソからちらちら見えて、背徳感がたまんねぇ。
 無防備な尻をオレに晒して、なぁ、何もなしに終わるってことはねーよな?
「もういいぜ」
 三橋の頭を撫で、肩を叩き、つたないフェラをやめさせた。
 ビンビンにそそり立ち、血管すら浮かせたオレの肉根が、三橋の唾液でぬらぬら濡れる。

 クスリの効果が消えるまで、残りおよそ40分。
 三橋を堪能し尽くすのに、そんだけじゃ到底足りそうにねーけど、既成事実を作んのには十分だ。
 頭が蕩けて訳分かんなくなってるうちに、しっかりニオイ付けを済ませてぇ。
「今度はオレが、気持ちイイことしてやるよ」
 ニヤッと笑いながら押し倒してヒザを割ると、ピンクベージュのつぼみが慎ましく、オレの目の前に現れた。
 興奮にゴクリとノドが鳴る。
 三橋の方も興奮してるらしい。一度達したにも関わらず、キレイな色した三橋のソレは、再び臨戦態勢に入ってる。
 そんなの見せられたら、ちゅうちょなんてする理由はねぇ。遠慮なくしゃぶりつき、口に含んで吸い上げながら、目の前のつぼみをゆっくり撫でた。
 1本、2本と指を中に埋めるたび、「ふあっ」と甘い声が漏れる。
 はあ、はあ、と繰り返される荒い息、どんどん真っ赤になってく顔、焦点の合わねぇ瞳……。くったりした体には、オレに縋るだけの力しか残ってなくて、それにもまたそそられた。

 最後までしなかったのは、心も落としたかったからだ。
 自分から欲しがって身悶えするまで、焦らして焦らして快楽を教え込む。今は媚薬でデロデロだけど、その内オレを見ただけで、反射でデロデロにさせてやる。
 残った媚薬は1回分。勿論3回目の分も4回目の分もその後の分も、先輩経由で手に入れるつもりだ。
「え……阿部君……?」
 デロデロだった三橋が我に返ったのは、錠剤を飲ませてから、きっちり1時間半後のことだった。
「お、オレ……うわぁ!」
 短く叫んで顔を覆って、羞恥に悶えてんのがすげー可愛い。
「忘れて! もう、忘れ、てっ!」
 真っ赤な顔を両手で覆い、ぶんぶんと首を振んのも、また可愛い。

 忘れてって言われたって、忘れる訳ねーだろっつの。ついでに言うと、なかったことにもできねぇ。
「すげー可愛かった」
 ぼそっと誉めてやると、真顔のままぴくっと固まんのも可愛い。
 顔も可愛いし仕草も可愛い、からかった時の反応も可愛いし、変顔も可愛い。全裸で震えてんのも、媚薬で蕩けてんのも、我に返って恥らってんのも全部可愛くて、可愛くて可愛くてどうにかなりそうだ。
 いや、どうにかしちまいそうだ。
 ふふっと笑うと、三橋の肩がビクッと跳ねた。
「う、う、う……忘れ、て……」
 半泣きの三橋に顔を寄せてキスすると、真っ赤な顔で叫ばれた。
「うぎゃあっ!」

 色気のねぇ叫びも可愛く思えんのは、多分どうにかなってんだろう。
 病気か? 病気だな? だったらやっぱ、投薬がオレには必要らしい。飲むのはオレじゃねーけど、効果は一緒だ。
「さあ三橋君、次のおクスリはいつ飲もうか?」
 猫なで声で笑いかけると、三橋が「ひぃっ?」と可愛く怯えた。
「それとも、ケツにぶっといお注射してみるか?」
 ぶんぶんぶんぶん首を振っても、拒絶には見えなくて、可愛くて困る。
 媚薬にも三橋にも、中毒になりそうだった。

   (終)

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