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小説 1−8
くろがね王と王妃の祭り・6 (R18) 
「お前の踊りを、もっと見てぇ」
 上から覆い被さり、深く口接けてそう言うと、レンがぶわっと赤面した。
 手を引いて起き上がらせ、代わりに寝台に横たわる。促すように細腰を引き寄せ、「早く」と囁いて、赤くなった頬を撫でる。
 猫みてーに、オレの手に頬をすり寄せてくんのは、無意識だろうか?
 おずおずとオレにまたがる仕草。妃にして1年、何度となく抱いて来たのに、いつまで経ってもウブさが抜けねぇのは、マジ、反則だと思う。
 オレの腹をヒザ立ちでまたいだレンの尻に、香油を絡めた指を埋める。
「あ……ん……っ」
 甘いうめき声。
 なまめかしく仰け反る、白い身体。

 敢えて取らずにいた金銀の首飾りが、レンの動きに合わせてしゃらんと揺れる。
 淡い色の髪に、月の光をまとわせて、濡れた目でオレを見下ろす愛おしい少年。今朝も貫いたばかりだっつーのに、その穴はもう慎ましく閉じてて、オレの指をきゅんと締める。
「あ……タカヤ様……っ」
 色を帯びた声で、レンがオレの名を呼んだ。
 もう誰も、オレを「陛下」としか呼ばねぇ。タカヤと名を呼ぶのはレンだけだ。それを許すのも、この先は一生レンひとり。
「愛してる、レン」
 空いた手で頭をかき寄せ、唇を重ねると、レンが薄くて小さな舌を、オレの口中に差し出した。

 オレの胸板に手を突いて、懸命に口接けを返すレン。舌を絡めるたび、「ん……」とか「う……」とか声を漏らして、オレの劣情を無意識に煽る。
 穴を拓く指を増やすと、びくんと簡単に跳ねる体。
「ああ……もう……」
 熱っぽく息を吐いて、レンが甘えるように胸に縋った。
「もう、くだ、さい」
 恥じらって真っ赤になりながら、顔を隠してそう言われたら、許すしかねーだろう。
 ふふっ、と笑える。
 ウブで無垢で可愛くて、オレを夢中にさせる王妃。出会えてよかった。オレのものにできてよかった。

「いーぜ」
 腰を浮かすよう促して、腹に着くほど屹立したモノを、ぐいっと真上に引き起こす。
 はあっ、とレンが息を吐き、真っ赤な顔のまま腰を下ろした。
 ゆっくりと熱い肉に埋められてく感触。
 さっき、早く欲しいってねだったくせに。自分で腰を下ろすのは、やっぱ恥じらいがあるんだろうか? 進み具合がゆっくりで、じれったくてもどかしい。
 熟れて濡れた肉のひだが、埋められた先端にまといつく。
 早く奥まで堪能したくて、細腰を掴んで引き下ろす。同時に下からも突き上げてやると、レンが「あーっ」と高く啼いた。
 優美な体が、なまめかしく揺れる。
「レン、踊れ」
 短く命じると、薄い唇がはくはく開いた。

 オレの肉を体の奥深くに埋めたまま、レンがゆっくりと動き出す。
 さっきの剣舞とは、打って変ったゆっくりな踊りだ。オレの胸に両手を突いて、上下に、前後に、ゆらゆらと踊る。
 月光を浴びて踊るレンの、この美しさは奇跡だ。
 オレだけの舞姫。オレだけに見せる、情愛の舞い。熱い息を吐き、甘い喘ぎ声を漏らして、きれいな肌を晒してる。
「ああ……きれいだ」
 頬が笑みに緩む。
 思ったままのことを口にしたら、レンが踊りながら、恥じらって目を逸らした。
「オレを見ろ、レン」
 戯れに下から突き上げると、「あっ」と悲鳴を上げ、バランスを崩してオレの胸に倒れ込む。
 そのまま腰を引きおろし、ガツガツと数回突き上げて、細い体を抱き締める。

「た、かや様はズルい、です」
 レンがオレの胸に縋ったまま、可愛らしく文句を言った。すりっと甘えるように頬ずりされて、愛おしさが沸き起こる。
「オレはいつも、いっぱいいっぱいなの、に。タカヤ様は余裕、で」
 その言い方も可愛ければ、言ってることも可愛い。
 オレがいつも余裕だって?
「そう見えるか?」
 ははっと笑いながら、細い肩を掴んで体を起こさせると、レンはなまめかしく唇を開けたまま、神妙な様子でうなずいた。

 余裕なんて、初めて抱いたあの夜からとうに砕け散ってたっつーのに。どんだけ抱き潰せば分かるんだろう? 目線1つ、ため息1つで簡単にオレを煽るくせに。
 ぱぁっと笑顔を見せられるたび、どんだけ愛おしさを感じてるか。
 抱き締めて、閉じ込めて、体の奥深くまで貫き、オレというオレの全てを、その身に刻みつけてぇって……いつも思ってんだってこと、ハッキリ言わなきゃ分かんねーか?
「オレはお前に、溺れてる。最初から、ずっとだ」
 腹筋を使って起き上がり、レンを串刺しにしたまま、ヒザに乗せて抱き締める。
 汗ばんだ細い体。
 しっとりとした肌は手のひらに吸い付くようで、好ましくて愛おしい。オレのためにあつらえたような体と心だ。
 愛してる。溺れてる。かけがえのねぇオレの王妃。

 アゴを捉えて上向かせ、深く口接けたまま、体勢を入れ替える。
 分かんねぇなら、分からせてやろう。どんだけオレに余裕がねーか。どんだけオレの想いが深いか。
 白く細い脚を押し開くと、レンがまた恥ずかしそうに、びくんと肩を跳ねさせた。
「お、オレだっ、て……」
 甘く掠れたレンの声。オレの首に、両腕が甘えるように伸ばされる。
「オレだって、最初から溺れて、ます」
 そんな他愛ない反論も、どうしようもなく可愛い。
 可愛がりてぇ、愛してぇって思いと、無茶苦茶に壊してぇって思いは、真逆のようだけど矛盾しねぇ。

 ドクンと、胎内の肉が巨きくなったのが分かったんだろう。レンが小さく息を詰め、期待するように目を伏せた。

(続く)

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