小説 1−8
ぷるぷるニプル・後編 (R15くらい?)
台所で麦茶を用意してる間に、阿部君はさっそく薬局の袋から買った商品を出して広げてた。
透明だって言ってたけど、白いシートだ。
箱書きには、「ジョギングの時の痛み防止に」とか、「薄着の時のエチケットに」とか、派手な文字で書かれてる。
阿部君の手元を覗き込むと、いい笑顔で「脱げ」って言われた。
教室でバンソウコウ貼った時みたいに、シャツを下からぺろんとめくると、「違うだろ」って。
「全部脱げよ」
「ぜ、全部?」
首を傾げながら、言われた通りシャツを脱ぐと、バーンと胸に現れるのは、昼間に貼ったバンソウコウ。
「ピンク、可愛いな。誰から貰った?」
にこやかに笑ったまま訊かれて、クラスの女子だって正直に答える。
「は、ハマちゃんが、休み時間、訊いてくれて。田島君、に、手伝って貰った」
昼間教室で、「可愛いー」って大笑いされたの思い出して、頬が緩んだ。
「クラスの女子から貰って? で、田島に貼るのを手伝って貰ったのか?」
阿部君も笑顔だ。
「うん」
こくんとうなずくと、さらに「へえー」って笑って……笑ったまま、オレの胸に手を伸ばし、いきなりバンソウコウをビッと片方引き剥がした。
「いっ!」
思わず悲鳴を上げて胸を庇うと、軽い調子で「ワリー」って言われた。
ちっとも悪いと思ってなさそうな、いい笑顔。
「痛かったか? どこ?」
手首を掴んで無理矢理胸を開かれて、あらわにされた胸元をぐいぐい覗き込まれて、ええっ、とのけ反る。
どこ、って。乳首に決まってるのに。
ぐいぐい押されて尻餅を突くと、ガバッと馬乗りにされ、手首を掴んだまま覆い被さられた。
「ここか? ホントだ、腫れてんな」
そんな言葉と共に、乳首をべろっと舐められて、思わず「ひゃあっ」と悲鳴を上げる。
逃げようとしたけど、逃げられない。
なおもぺろぺろ舐められ続け、どうすればいいのか分かんない。
「あ、あ、あ、あ、あべ、くっ!」
カアッと赤面しながら名前を呼ぶ。乳首にちゅうっと吸い付かれ、舌先で乳首をつつかれて、じっとしていられない。
じたじた暴れると、楽しそうに「コラ」って怒られた。
「舐めて治してやってんだろ」
くくっと笑われ、また乳首を舐められて、ぶんぶんと首を振る。
そりゃ、舐めときゃ治るって、小さな傷ならそう言ったりもするだろうけど、どう考えてもそんな舌遣いには思えない。
赤ちゃんの真似? そう思ったけど、それとも違って、自然と息が荒くなる。ちゅくちゅくと湿った音が、胸元にいやらしく響いて、恥ずかしくてたまんない。
ねっとりと先端を舐められ、乳輪をくすぐられ、唾液を絡めてなぶられる。
なんで阿部君、こんなこと?
お、オレが痛いって言ったから?
「も、いっ、いい、よっ」
声を上擦らせながら遠慮したけど、阿部君はやめるどころか、楽しそうに笑った。
「それって、もっとやっていいってことか?」
って。
「ち、が……っ」
違うって否定しようとした瞬間、もう片方のバンソウコウも、ピッといきなり剥がされた。
「ああっ!」
ちりっとした小さな痛み。
悲鳴を上げた耳に聞こえたのは、くっくっとノドを鳴らして笑う、阿部君の軽い謝罪だ。
「ワリー、痛かったか?」
って。それ、さっきも聞いたのに。文句を言う間もなく、またそこに吸い付かれ、舐められて、上擦った声が漏れる。
「あべっ、くんっ!」
名前を呼んで抗議したけど、まだまだ「治療」はやみそうになかった。
「じっとしてろって」
身をよじっても、抵抗にならないみたい。
阿部君の方が体が大きくて、重くて、どいて貰えないと抜け出せない。呼吸がどんどん荒くなり、頭がもうろうとしてくるのは、なんでだろう?
「あっ……やぁ……」
緩慢に首を振り、弱弱しく抗議の声を出す。
ざらっとした舌の感触。乳首を舌先で転がされ、つつかれ、円を描くようになぶられる。
「お前のココ、柔らかくてぷるぷるだな」
掠れた声で囁かれ、きゅうっと乳輪をつままれ、「ああんっ」と変な声が出た。
オレ、女じゃないのに。なんで乳首を舐められて、気持ちイイなんて思ってるんだろう?
手足に力が入らない。
下半身に異変が起こってるの、分かってるけどどうしようもない。
阿部君にだって、もうバレてると思うけど。それには何も言われなくて、からかわれなくて、ホッとする。
オレみたいな貧相な胸べろべろとしゃぶって、阿部君、何が嬉しいんだろう? どうしたいの?
ひたすら楽しそうな彼の顔を見上げると、「なに?」って訊かれた。
なに、って。こっちが訊きたい。
こ、こんなことしに来たんじゃなかった、でしょ?
「にっぷれす、は?」
呟くように訊くと、思い出したように「ああ」って言われたんだけど。阿部君、もしかして忘れてた?
オレに馬乗りになったまま、手を伸ばして白いシートを掴む阿部君。
「そーだな。こんなパフィーニップルは、封印しとかねーとな」
「ぱふぃー? なに?」
ぽうっとしながら聞いたけど、阿部君は笑うだけで教えてくれない。ジョガーズニップルとどう違うの?
封印って?
機嫌良さそうにニヤニヤ笑って、阿部君がシートから、白い正方形をめくり取る。
両方の乳首にぺたんとそれを貼った後、上の白い剥離紙を、更にゆっくりめくってくと、現れたのは透明な薄いシールだ。
「ほら、できたぞ」
阿部君がそう言って、ケータイを取り出しオレの胸をパシャッと撮った。それを「ほら」って見せられ、画面を見ると、乳輪も乳首もぺたんこだ。
「え……っ」
腫れた乳首も、さんざんいたぶられた乳輪も、シートの下でぺたんこになってて、なんかそこだけ変な感じ。
恐る恐る上から触ってみると、痛くはないのに指の感触だけがリアルだ。
「な、これならシャツでこすれても痛くねーだろ?」
得意そうに言われてうなずくと、どんと肩を押されて寝かされた。
「じゃあ、どんくらい効果があんのか、検証な」
いい笑顔で笑われて、再び乳首を舐められる。
「やああっ」
身をよじったけど、抵抗にはならなかった。
突っぱねたくても手足に力が入んなくて、逆に縋るみたいな格好になる。
シート越しに遠慮なく舐められ、ナマとは違う感覚に、ぞくっと震えた。じたじた暴れる気力もなくて、「あ……っ」と掠れた声が出る。
「なあ、明日から、オレが毎日貼ってやるよ」
いい笑顔で言われて、そんなって思ったけど、「バッテリーだからな」って言われたら、反論はできなかった。
そもそも、バンソウコウだってニップレスだって、貼ってくれるだけなら問題ない。
けど。
「な、舐めるのは、無し、で?」
息も絶え絶えになりながら尋ねると、阿部君はいい笑顔で――。
「それはどうかワカンネーな」
そう言って、もう1枚写真を撮った。
(終)
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