ひまわり 9 「何笑ってんの?」 『!!、別に…っ』 待ち受け画面に戻して再び鞄に携帯をしまった。 「あのさ」 『ん?』 ―ピロロ□ 手に持っている廉くんの携帯が鳴った。 「あー…、ちょっとゴメン」 私に謝って隣に座ったまま携帯を耳に当てた。 電話か…。 「あ、うん、わかった。 今からそっち行けばいいんだろ?」 電話からは微かに女の人の声が聞こえた。 彼女からなのかな…? 『…』 そう考えただけで胸がキュッと締め付けられた。 「悪い、人待たせてるから…」 『うん、わかった』 スッと立ち上がった。 「じゃ、メールするな!!」 走りながら廉くんは私にそれだけ残して、曲がり角を曲がって姿を消した。 突然現れたと思ったら姿を消しちゃうし…。 『まるで風みたい』 名前と一緒だ。 廉くんが消えた曲がり角をジッと見て、一人でクスリ笑った。 クマのぬいぐるみをギュッと抱えて…。 [*前へ] [戻る] |