彼女の武勇伝
池袋へ来て二日。
当たり前だが今日から高校生活の始まりだ。
長ったらしい校長先生の話しを聞きながらまーくんとみーくんを見る。
二人共、見事なまでに欠伸をして眠そうだ。まさか今日の日を楽しみにして夜も眠れなかったとか……?
「(せっいしゅーん)」
してるねー。(意味わかんないよ、私。)
「(ふぁぁぁ〜。遅くまでチャットしすぎた…、って、紀田君もかぁ。三咲ちゃんは………、何で紀田君を見てキラキラしてんの…?)」
「♪〜」←実は帝人も見てた。
♂♀
「帝人ー、お待たせー!」
「あ。紀田君、三咲ちゃん」
時は進み放課後……、ではないがもう帰り時。今日は入学式だから午前授業なのだ。入学式ヤッフー。
そして幸運な事にみーくんとはクラスは違うがまーくんとは同じクラス。むぅ、みーくんと離れたー。
「今日はどこ案内してやろーかなー」
「あ、僕漫画買いたいんだけど」
「私は料理の本が欲しい」
「じゃあまずは漫画からでいいか?」
「うん、いいよ」
「じゃ漫画が沢山ある店行こう!」
まーくんの案内のもと、ついた場所。そこは…、
「あにめいと?」
「ここ?」
「おう!1階から9階まで漫画やアニメでビッチリ!」
わぁ、すごーい。
アニメも漫画も数えきれない程ある。
エレベーターまで…。絵柄が赤執事な事にビックリ!
♂♀
「凄い!漫画って世の中にこんなにあるんだね」
フと目に付き手にしたのは女の子の麻雀漫画。
それを見ていたら男の人と女の人にツッコミ(?)入れられた。
「あ。遊馬崎さんに狩沢さんじゃないすか!」
紀、田君の知り合いかぁ〜。
「こいつ幼なじみで今日から一緒の高校になったんすよ」
「う、あ。竜ヶ峰帝人っていいます」
遊馬崎さん(と言う人)が何か疑問に思ったのか、「ペンネーム?」と聞いて来た。
その後の狩沢さん(と言う人)も「ラジオ投稿用?」とか「同人誌かもー」とか……。
「あの…、一応本名です」
年上にからかわれるなんて……。
「あ、あれ?」
「? どうしたの?紀田君」
「み、帝人……………。三咲は?」
「え……?」
その瞬間、僕と紀田君の時が止まった気がした。
目の前で狩沢さんと遊馬崎さんが「三咲って誰?」って言ってるけど。
「なぁ、帝人。アニメイト来て何時間経つ?」
「……余裕で1時間ぐらい?」
中をキョロキョロと見て、狩沢さんと遊馬崎さんと話しをしていればそんぐらいは経っている……、はず。
「……………」
サァッと僕と紀田君の顔が青ざめるのが分かった。
「やっちまったぁぁ!」
「どどど、どうしよう!」
「どうしようったって…!」
狩沢さんと遊馬崎さんは「じゃあ捜せばいいんじゃない?」と言っているがそれどころじゃない。
そう、それは………、
「昔、一度だけあいつを連れ回した事があるんすよ」
あんまり乗り気じゃなかった三咲ちゃんを長時間、プラモ屋やゲーセンとかに連れ回した、と言っても大分昔だけど。
いきなりいなくなったと思ったら外に出て、
「ロードローラーをミニカーも同然の様に遊んでたんすよ!」
「それは所謂アレね!」
「アレっすね!」
「「ギャップ萌え!」」
「ちっがーう!」
その後、三咲ちゃんは無事に見付かった。少々の不機嫌付きで。
二人で謝り、何とかマックのハッピーセットで許してもらえたのでした。
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