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蒼い世界に指切り
第1話


「待ってな!この独眼竜政宗が天下をとる!」

男はあの日約束した。
少女の切なる想いを胸に。

 



次の春がやってきた。

ふいに呼ばれた気がして、少女―――いつきは振り返る。

「・・・・・・っ!」

その男は、あの日と変わらない姿で緑の大地に立っていた。


「いつき。」


「安心しな。魔王はこのオレが倒した。」
「・・・ほんとうか!?」
「ああ。」
ほんとうにおら達、もう魔王に怯えなくていいだか?」
「ああ。信じろ。」

信じてた・・・。
ずっと信じて待ってた・・・。けど、

「し・・・心配しただ・・・!
・・・だって、・・・お前さん、あれから全然現れねえから・・・。」
急に涙が溢れ出した。

安心して、嬉しくて、・・・会いたくて、たまらなかったから。

「竜が魔王に食われるわけがねえ、You see?」
政宗は、いつきを優しく包んだ。


「・・・青いおさむらい・・・本当に天下をとっただな。」
「No,オレはただ、オッサン一人を倒しただけだ。天下はまだ遠い。」
「そ・・・うだか。」
「そんな顔すんな。せっかく様子を見に来てやったんだ。笑ってろ。」
政宗は、いつきの髪をくしゃくしゃと撫でた。

「か、髪がぐしゃぐしゃになったでねえかっ。」
結われていた髪を解くと、ウェーブのかかった豊かな銀色の髪が広がる。
「・・・・・・。」
「な、何だべ?」
「気付かなかったが、アンタ結構・・・」

「政宗様、そろそろ奥州へ戻られませ。」
「わかった小十郎、今行く。」

「今、何て言いかけたんだべ?」
「いや、何でもねえ。今日はもう帰るわ。またな、いつき。」


「・・・またな、って・・・また、会えるだか?」



「政宗様のあのような穏やかな顔、この小十郎初めて拝見致しました。」

「Han?」
「いえ、農民達に気をかけるそのお心こそ、大将たる器に相応しいものと存じます。」

「なあ小十郎、」
政宗は前を見つめたまま薄く笑う。

「あいつ、将来美人になるぜ?楽しみだ。」


「・・・政宗様!?」






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あきゅろす。
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