小咄




「神田!」
「?なんだ?」
「はい!」
「むがっ!っけほ、テメェこんな甘ぇの食わせやがって、何しやがる!?」
「…初恋の味、らしいですよ」
「はっ?」
「///っだーかーらー、神田と一緒に食べたたかったんです//」
「…初恋の味、か…どうだ?」
「え?」
「初恋の味はしたかよ」
「うーん…レモン風味?」
「そりゃただの香料だ」

ちゅ

「ッ!/////」
「こうすりゃこれが初恋の味になるだろ」
「キザッ//」

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キットカットレモン味から





「ただいま」
「おかえりなさい神田!」
部屋にはいると同居人のアレンが飛んで来た。
目当ては俺の手にある袋。
視線が早く早くと訴えている。
「ほら、言われたとおりたこ焼き買ってきたぞ」
「ありがとうございます〜♪」
ルンルンと聞こえてきそうな足取りに、最初はめんどくさいと思ったが買ってきて良かったと思う。
「あーーーッ!」
居間からアレンの叫び声。なんだ?と覗くと、タコ焼きを前に肩を震わすアレン。
「神田…これはなんですか?」
「は??たこ焼きに決まってんだろ」
「たこ焼きにはソースだと決まってるじゃないですかぁぁ!!」
??アレンの言うことがさっぱりわからず神田は首を捻る。
そういえば屋台の親父が味はなんにする?と聞いて来たとき、あっさりして旨そうだと、ポンズ味を希望したのを思い出す。
「別にたこ焼きはたこ焼きだろうが」
「何言ってるんですか?!ぜんっぜん違いますよ!」
かなり熱くたこ焼き談議を始めたアレンの横に座り、程よく冷めたたこ焼きをしゃべり続けるその口へと押し込んだ。
「むぐっ!」
しばし訪れる沈黙。
眺めていると、ごくんと嚥下しおわり何故かたこ焼きを見つめている。
するといそいそとたこ焼きの前に座り直し手を合わせ残りのたこ焼きを一気に食べ始めた。

「食わず嫌いはいけませんね」
モヤシの偏食が一つ直ったようだ。

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たこやきから





「おら、こんなとこで寝てたら風邪引くだろうが」
「ん〜、もうちょっとだ、け…」
「チッ…たく」

仕方なく上着をかけてやった。
その温もりか、はたまた匂いの為か、頬を緩ませたアレンに、少し幸せを感じた神田は、らしくない…と自分に溜息をついたあと、その傍らに座り自分も目をつぶった。
アレンが起きるまで、なんて自分も大概甘くなったもんだと苦笑しながら…。

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昼寝している人から




「神田、どっちにします?」

そう言って目の前にだされたのは、カップ麺の味噌と醤油味…。

「…てめぇの”ごちそうは”カップ麺かよ」
「そうですけど何か?」
「何か?じゃねぇ!栄養偏るだろうが!何か冷蔵庫にねぇのか?」

バタン−

「なんだこの何もなさはッッ!」
「一人暮しがそんな入れてる訳無いでしょ」
「何が”訳無いでしょ”、だ!あぁ、ちくしょう、何か買いに行くぞ!」
「えぇ〜、今月ピンチだから嫌です」
「〜〜ッッ俺が出すから!」
「行きます!」

(こいつ…)

俺は顔が引き攣りつつ、近くのスーパーに買いに行った。



「ほらよ」

帰って来てキッチンを借りて作ったのは野菜たっぷりレタスチャーハン(米はあったので)
山盛りの方をアレンに渡せば、瞬く間に胃袋におさめてゆく。

「てめ、いただきますしろ!あぁ、米飛ばすな!!」
「うっひゃいかんら」
「食うかしゃべるかどっちかにしろ」

すると黙ったまま掻き込んでゆくアレン。

呆れたまま言っても無駄か…と俺の分にスプーンを入れ…

「おかわり」
「は?」
「おかわり下さい」
「自分で入れろよ」
「そっちのが近いでしょ」
「てめぇ…(怒)」

あまりの扱いに眉を吊り上げた瞬間あいつは満面の笑顔で

「神田の料理すっごく美味しいです」

とのたまわった。

「〜〜〜〜っ、くそ!入れたらいいんだろ入れたら!」
「わ〜ありがとうございます〜」

まったく心のこもってない謝辞。

あぁ…俺は何やってんだ…


溜息と共にチャーハンを皿に盛始めた。


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実家の荷物から




「ッツ!」
「どうした?」
「いや、さかむけが引っ掛かっちゃって…」
「血が出てんじゃネェか」
「ひぁ!神田、何舐めてんですか?!つッッ!」
「消毒」
「(に何かなるかぁぁぁあ!!しかも何だその上目使いは!)ちょっ止めて下さいっ!ッぃあ、ぁやめ…」





「止めろっていってんでしょうがッッ!!」

ドガァッ!!!

「グハッッ!!…モヤシてめっ…左手で生身のみぞおちを;;」
「勝手に触るからですよ。許可無く触ってんじゃねぇよ(黒アレン笑み)」
「;;」

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さかむけから




愛の取調べ〜事情聴取〜



「おい、モヤシ…最近俺から避けてたのは何でだ?」
「え?!何言ってるんですか!神田の気のせいじゃないですか?;;」
「…へぇ」

(あ、ヤバイ…)

「ちょっとこっち来い」
「や、放してくださいっ!」
「今から体に聞いてやるよ」
「何言ってんですか!馬鹿!変態!」
「いつまでその虚勢が続くかな?」

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百均から





「はぁ〜、暑っ」
「なんて恰好してやがる?!」
「わ!ちょ神田!タオル暑いです!」
「うるせー!他のやつに肌見せてんじゃネェ」
「はぁ?温泉なんだから裸になるの当たり前でしょう!」
「湯舟は百歩譲っていいとして休憩場所ではちゃんと隠せ!襲われてーのか?!」
「お、襲われるって…;;みんなが神田しゃあるまいし」
「お前今の自分の色気わかってねーのか?垂れ流しやがって」
「はぁぁ?!何言ってんですか!この変態!バカンダ!」
「テメェ…っ、お前のそんな姿見てもいいのは俺だけなんだよ!」
「ぎゃっ!離してください!みんな見てますからぁぁっ;!」
「見せ付けてんだよ」

そう笑った神田に眩暈を覚えた。

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スーパー銭湯から







あきゅろす。
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