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060. 絵本



王子様のキスで目覚めたお姫様は二人で末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし−−。



よくある子供向けの絵本の最後はいつも決まったお決まりの台詞で締め括られる。

「くだらない…」

幸せが永遠に続く等。
その二人のことなど誰もわかりはしないのに。

教会の前で読み聞かせる様子をどこか冷めたように通り過ぎる。
出会って、恋に落ちて、結婚して…。
これから二人が作り上げて行く様子はどこにもない。

この暮らしが、思いが物語の二人のように永遠に続くものと現実では言い切れない。

だから、だから−−−。

「おい、モヤシ置いてくぞ!」

目の前を歩く不機嫌な彼。
止まって待ってくれる様子にアレンは少し嬉しくなりすぐ横まで急いで行くと、誰にも見られないように口づけをする。

「?!」

驚いた彼の顔。僕はにっこりと笑いかけ。

「好きですよ」

思いを込めて囁く。


今出来る自分の精一杯を伝える。

二人で絵本のように、なんてありきたりな幸せよりもっと幸せを積み上げられるように−。





−−−−−−−−−−−−−−−−−


あぁ…なんだかアレンくんが黒くてすいません;






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